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【Fate】俺とお前で地球は廻せないけど幸せは廻せる【現パ】01/Novel by 木村理真

【Fate】俺とお前で地球は廻せないけど幸せは廻せる【現パ】01

2,708 character(s)5 mins

お待たせしたでしょうか?想像以上の閲覧や評価、ブクマに少しでもお応えしたくて、ほんの最初のかじりだけではありますが、本編のスタートです。只今ちまちまと書いている最中でして、ある程度溜まってきましたら随時アップしていきます。
そういやタイトル長過ぎて番号振れないのさっきまで気付かないでワロタwww
※本編掲載にあたり、設定ページは下げました。たくさんの閲覧、評価、ブクマ、タグ、本当に本当にありがとうございました。心より感謝しています。

■デイリーランキング72位を頂きました。本当にありがとうございます。

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 日本のどこかにある地方都市、冬木市──
 そこには文武両道を謳うが故のユニークな風習と、楽しい事は何でもやってみるかという自由な校風が人気の穂群原大学があった。
 その人気は国内だけでなく、海外からの留学生にも広がっておりここを目当てに来る者も少なくなかった。
 様々な理由、様々な国から人が集まるこの学校と言う小さな箱庭。

 そこで世界を変える事は出来ないけど、平凡な日常を愛する為に二人は出会った。



 足取り軽く青いしっぽを揺らしながら、ランサーは大学の敷地内を突っ切るように目的地へ真っ直ぐと向かっていた。
 しかし、その目立つ長身と容貌と青い髪のせいであちこちから声が掛かり、なかなか辿り着けずにいた。

「ランサーくん、どこ行くのー」
「んーカフェに飯喰いに」
「今から?」
「おう、今から」

 少し呆れたような見覚えのない女子学生にひらひらと手を振りながら、ぽんっと一つジャンプをする。

「おーいランサー、いい加減練習しに来いよー大学祭近いんだしさー」
「あーその内なー」
「そんなんで本番失敗するなよー」
「この俺がそんなヘマする訳ねーだろ」
「言ってろっ」

 どっと湧いた笑い声を背中にランサーは、スキップのような足取りで先を進む。
 只今の時間2時50分。
 ランチにギリギリなこの時間でなければ意味がない。
 漸く見えてきた全面ガラス張りの大学の施設にしては、小綺麗なカフェの重いガラス扉へ手を掛ける。
「いらっしゃいませ」
 耳に馴染んだ心地良い低音が、行儀良く迎え入れてくれた。
「よぉ」
「なんだ、貴様かランサー」
 だがそれも数秒だけ。
 他の客が殆ど居ないこの時間だから許された客を客と思わないこの態度。でもこうでなければ楽しくない。取り澄ましたこの男程つまらないものはないのだから。
 ギャルソンスーツに身を包んだ慇懃無礼のお見本のようなこの男は、ランサーの只今一番のお気に入りだ。カフェの店員と客という立場を1年半近く掛けてやっとここまで近くした事にランサーは深い満足を覚える。
「席、空いてるか?もうちょっとであいつらも来るってよ」
「こんな時間だ。どこでも好きな所へ行くと良い」
「サンキューアーチャー」
 ニっと笑いながら礼を言えば、アーチャーと呼ばれた男は肩を竦めると恐らくメニューを取りにだろう、店の奥へと戻っていった。
 きょろきょろ探しまくって見つけた、奥まった場所にある4人掛けのテーブルの席にランサーは付く。そのタイミングを計ったようにテーブルの上にお冷やとお手拭きが置かれ、そしてメニューが差し出される。こんなキザったらしい真似をするのはアーチャーだけだ。
「今日の厨房担当誰だっけ?」
「斎藤さんだ」
「ん〜フライが上手いんだよなあの人…っし、今日はBランチな」
「カシコマリマシタ」
 狙ったような態とらしい棒読みに、飲みかけた水を吹き出しそうになったのをどうにか堪える。あぁ本当にこの男は楽しくて仕方ない。肩を振るわせながらどうにかこうにか口に含んだ水を飲み込む。

 楽しそうな事は何でもやってみような校風はこんな所にも活きていた。
 たかが大学のカフェと侮るなかれ。
 曜日替わりで3人のシェフがそれぞれの腕前を披露している。従ってその日その日のメニューも一部、そのシェフによって変わってくるという懲り様。
 一番人気のシェフはこのキザで慇懃無礼なアーチャー。
 彼が厨房担当の日には、普段の倍近い客が来ると真しやかに噂されていた。
 しかしそんな噂もアーチャーの料理を食べれば、強ち嘘ではないと思わざるえない。
 見た目は秀でてお洒落でもなく、華美でもない彼の料理は一見すると味そのものすら地味なものに取られそうになるが、最初の一口を口に入れた時のホッと息を吐く優しい味から、食べる毎に沸き上がってくるその食材の旨味への流れは食べる事への快感を与えてくれる。
 シンプルだからこその素材が活きた深い味わい。そんなグルメ番組かグルメ漫画に出てきそうな台詞がつるり、と出てきそうになる。
 かく言うランサーもこのアーチャーの料理に落ちた者の一人だった。
 実はアイルランド人のランサーは留学当初、中々日本の料理が口に合わなかった。マズい、という訳ではなく只単に日本風の味付けが合わないだけだった。そんな時に出会ったアーチャーの料理は、日本だとかそういう概念から外れた、純粋に美味しい料理というものだった。苦手だったものも何か一つ突破口があればそこから新しい一歩が踏み出せるように、そこからランサーも日本風の味付けに慣れていき今では好物は肉じゃがと言えるまでになった。特に少し時間が経ってじゃがいもがほぼ溶けかけるまで味の染みたのを、じゃがいもが溶け出てとろとろになった出汁と一緒に白いご飯に掛けてかっ込むのが大好きだと言う。……本当に外人か?

 ギ、とガラス扉が開かれた音がランサーの耳に入った。
 振り向くと光を背に受けて立つ美しい少女がいた。
「セイバーこっちだ」
 ひら、と手を振ってみせればセイバーと呼ばれた少女は、ふ、と柔らかい笑みを浮かべランサーの元へ向かう。
「遅くなりました」
「いや、俺も来たばっかだし」
「そうでしたか、ギルガメッシュとディルムッドもまだのようですね」
 席に着きながら、ちら、とセイバーが腕時計を見る。時間は2時58分。
「アーチャー私にAランチを!」
 何の迷いもない凛とした声がカフェに響き渡る。そのオーダーにアーチャーが片手を上げ応えた。それを確認しどうにかランチの時間に間に合った事に、セイバーはほっと胸を撫で下ろした。──しかし
「……お前、何回目のランチだ?」
「今日はまだ2回目ですがそれが?」
 ランサーのげんなりとした声など全く気にしない、さらりとした口調でセイバーは世の女性が聞いたら藁人形を握りしめそうな事を言ってのける。

 そう、可憐な小さな白い花を思わせる美しい少女の胃袋は底なしだった。
 これがアーチャーが厨房担当日ならば、最低でも3回はカフェへやってくる。もちろんランチのみで。当然甘いものは別腹です。

 追加オーダーの終えたアーチャーがセイバーの分のお冷やとお手拭きを持って来た。その手にはきっとまた使うであろうメニューを持って。
「お、三大騎士のお揃いだ」
 どこからかそんな声が上がる。

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