松井証社長、異業種との資本提携も選択肢-創業家側から承諾済み

  • 企業価値向上に資するなら検討、買収提案の受託は創業家の意向必要
  • 規模追わない戦略堅持、あくまで手数料重視-SBI証や楽天証とは一線

ネット専業証券大手の松井証券の和里田聰社長はブルームバーグとのインタビューで、企業価値向上につながるなら、異業種企業などの外部資本を受け入れる形の業務提携も選択肢になるとの考えを示した。同証はこれまで自主独立路線を貫いている。

  和里田氏は創業者の松井家が株式の58%を保有しており、「買収の受諾などについて現在の経営陣では単独で決められない」と述べた。ただ、「企業価値の向上に資するなら、当社の株式を売却して他社との資本業務提携を検討してもいいと創業家側からは言われている」と明かした。

  松井証は活発な売買を手掛けるアクティブトレーダーを抱えていることが強みだ。総顧客数のうちわずか3%の顧客が委託手数料の9割超を占める。大手ネット専業証券5社の中で唯一、異業種など他社の資本を受け入れていない。しかし、少子高齢化で競争が激しい証券業界での生き残りに向け、他社との連携に対して柔軟な考えを初めて示した格好だ。

  和里田氏は2020年に社長に就任して以降、買収も含めさまざまな提案を投資銀行経由で受けていることも明かした。実際に財務アドバイザーを採用した企業から買収提案があった訳ではなく、具体的に検討している事実はないとも付け加えた。一方で、効果を得られるまで時間がかかると見られることなどから、大手企業グループの傘下に入るような資本業務提携には現段階で否定的な考えを示した。

ネット証券大手5社の提携先と内容

出所:各社ホームページや決算資料からブルームバーグ作成

規模追わない戦略を堅持

  松井証は11月、全国で保険代理店事業を展開するエージェントIGホールディングスと資本業務提携を結び、議決権比率で27.4%を持つ筆頭株主となった。和里田氏は「投資と資産形成は保険分野と親和性が非常に高いと感じていた」と述べ、保険分野は同証の成長戦略の一つだと説明した。

松井証券の和里田社長(8日、都内)Photographer: Ryo Horiuchi/Bloomberg

  和里田氏によれば、同証の総口座数は約170万口座あるが、稼働口座は全体の3割にとどまっている。保険代理店との提携も顧客口座の稼働率を上げるのが狙いだと説明した。

  また「SBI証券や楽天証券に伍していくために、規模を追う戦略は取らない」とも強調した。最近、ネット証券でも取り組みを強化している資産管理型ビジネスではなく、株式売買による委託手数料であるフロー収入を重視する考えだ。

  松井証券の中興の祖である4代目社長、松井道夫氏は20年に社長を退任して、現在は顧問となっている。和里田氏は「松井道夫さんは経営に一切タッチしていない。今の経営の在り方に満足している」と述べた。

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