2019年の参院選広島選挙区で初当選後、公職選挙法違反で有罪判決を受けた元参院議員の河井案里さん(52)が朝日新聞の取材に応じた。夫で元衆院議員・法相の克行さん(62)も同じ事件で実刑判決を受けて服役を終え、今はともに暮らす。夫との関係に苦しみながら「政治家の妻」から自身も政治家になり、事件を経て、今に至る心境の変遷を語った。
長い結婚生活の中で、夫婦の危機は何度も訪れたという。
2001年4月に挙げた結婚式の当時、克行さんは前年の衆院選(広島3区)で落選し、返り咲きを目指していた。
結婚式の翌日から選挙活動を手伝った。親しい人もなく、全く知らない土地。当初は夫からのモラルハラスメントを受け、義実家からは「あなたが来てうちは不幸になった」と冷たく言い放たれた。何十回と泣きながら実家に逃げ帰り、そのたびに夫が連れ戻しにきた。
とうとう立ち上がることもできなくなり、うつ病と診断された。でも夫の政治キャリアに傷をつけてはならない、と別れることは選択肢になかった。以来20年、この病に苦しめられた。
政治家にとって「結婚」は、選挙という共同事業のパートナーを得ることだと、案里さんは言う。
よき夫、よき妻という理想のイメージを有権者に振りまき、当選をともに目指す。「政治家の妻として、夫を次の選挙で当選させることを何よりも優先させた」と振り返る。
閣僚の妻が漏らした「でも、私のことじゃない」
ある大物政治家の妻に閣僚就任のお祝いを伝えたときのことだ。
その妻は「でも、私のことじゃないからね」と笑って返した。衝撃を受けた。「努力しても報われない政治家の妻の苦しみが詰まった言葉」と感じたという。
だが、案里さんにとって「政治家の妻」としての生活は長くはなかった。
「あんたは政治家の妻じゃなく、政治家になった方がいい」
夫に背中を押され、03年4月の広島県議選に立候補し、当選し、そこから4期務めた。
そして19年7月、参院選広島選挙区に初挑戦し、初当選。選挙後の組閣で克行さんは法務大臣に就任し、国会議員どうしの夫妻として順風満帆の船出を飾ったかにみえた。
ほどなく、2人の人生は暗転していく。
参院選初当選からの逮捕、法廷でこみ上げた激しい怒り、そして現在の夫で元法相の克行さんとの「妙味な関係」について……案里さんが語ります
■「なぜ、お金なんか配ったの…