「不同意性交等罪」無罪判決 被害女性は語る 壊されたのは心と身体だけではない 崩れ落ちた未来
オンライン署名
前橋地裁の「不同意性交等罪」無罪判決(3月2日)に抗議するオンライン署名が立ち上がりました。控訴期限が16日に迫っているため、一人でも多くの署名を必要としており、緊急のお願いとなっています。
追記:本件は3月16日に不控訴となり、無罪が確定しました。二度とこのような判決が繰り返されないために、前橋地裁への抗議を続け、集まった署名を提出するようです。
この裁判の被告は福島で復興活動を行っていた50代の男性で、20代の被害者女性はその支援活動に参加していました。
私は毎回、この裁判を傍聴していましたが、今回の無罪判決文は、被告の主張をほぼなぞったもので、被害者の主張は「不自然」「合理性がない」と退けられています。
判決から読み取れるのは、裁判官たちの性暴行、被害者心理に対する無知、無理解、旧態依然とした家父長的な意識です。裁判官たちは「同意のない性行為は犯罪である」という認識はなく、むしろ被害者女性が危険な状況から離れられなくなった心理状態を疑問視しています。
被告は性行為を行ったことは認めています。「同意はあり、自然な形で性交が行われた」と言う被告に対して、女性は「やめてください」と拒否したにも関わらず、腕をつかまれ、性行為を強要されたと述べています。判決は彼女の証言を否定する明確な根拠を示していません。それにもかかわらず、被告の主張を一方的に採用する裁判官の認定はきわめて不当なものです。
「無罪」「有罪」という判断を下す裁判官たちの「遅れた意識(いわゆる家父長的な一般常識)」は致命的な問題をはらんでいます。
判決の問題点については、無罪判決に抗議するオンライン署名の主旨文などで指摘されている通りです。
ここでは被害者女性の了解を得て、判決の中で触れられなかった彼女の言葉にもう一度耳を傾けたいと思います。
以下は意見陳述で性被害を受けた心情を語った言葉です。2次被害、3次被害を伴う裁判のあり方をも、厳しく問いかけています。
意見陳述~なぜ被害者を責めるのか~
「私はこの事件の被害者です。こんなにも辛い裁判になるとは、想像もしませんでした。ほんとうは法廷にも来たくありませんでしたが、被害者として言わなければならないことがあると思い、心を奮い立たせて今、ここにいます」
「事件現場の部屋で私の身に起きたことは、恐怖以外の何物でもありませんでした。
突然被告人が「胸を触らせて」と言って、断ったら声を荒げたこと。急に腕を掴んで襲ってきたこと。「やめてください」と言って胸の前で腕をクロスさせて身を守っても、崩されたこと。その後被告人から「お願いだからずっとそばにいてほしい」「初めて会ったときからかわいいと思っていた」と言われたこと。何が起こっているのか理解できず、ひどく混乱して、とても怖い気持ちでした」
「(望まぬ性行為を強要されて)残った感情は無力感です。もう何をしても無駄だと思いました。望まぬ妊娠への恐怖から、「生でしないでほしい」と言っても「ゴムなんてねぇよ」と吐き捨てられました。年齢が倍以上も離れていて尊敬している人で、腕力でもかなわない。そんな恐怖しかない中で、どうすればよかったのでしょうか」
「事件後、帰宅した私は、混乱して、惨めで裏切られた気持ちでした。自分の身に起きたことを理解するのが辛くて辛くて、泣くこともできず、ただ呆然としていました。自分の人生が終わったと思いました」
「すぐにシャワーを浴びて、体の細胞が取れるんじゃないかと言うほどに擦りました。被告人は避妊をせずに挿入したので、何度洗っても不安でした」
「もし次に同じように悲しむ人がでてきたら、私は自分が言わなかったことで一生苦しむと思いました。(中略)逡巡した結果、これを沈黙すれば、私も誰かを傷つけ続けることになる。そんな未来を受け入れることはできませんでした。そこで警察に行く準備として自分の身に起きたことを記録しました」
「自分に起きたことを書くのは地獄でした。最初に群馬県警に連絡をした時、担当の人に威圧的な態度を取られ、その時点で諦めてしまいそうになりました。警察、検察の調書で何度も詳細を語る必要があり、繰り返し同じ話をしなければなりませんでした」
「被害に遭ったことで私はPTSDを発症しました。(中略)想像を絶する辛さです。毎日溺れながら過ごしているような感覚です。フラッシュバックは予告なく突然やってきます」
「(PTSDの)治療は辛く、「もう殺してください!」と言いたくなる程に、悪夢や事件のことが繰り返し頭に入ってきて、自分でコントロールできない「侵入症状」に苦しみました。被告人と似た風貌が怖い」
「被告人が保釈されたと聞いた時は、息ができなくなりました。また来るかもしれないという恐怖。特に夜に怖くなり、玄関の鍵が閉まっているかを確認しにいく日々」
「被害は終わってくれません。何度も、何度もあの日の夜が、心の中にやってきます。社会の中で「普通に生活すること」が難しくなりました。仕事・生活・人付き合いのどれもが、被害前に戻れません」
「裁判で一番辛かったことは、2次被害です」
「(被告人の)弁護人から、「(部屋には)出口があったのに、なぜ逃げようとしなかったのか」「顔をひっぱたこうとしなかったのか」と聞かれました。大男である被告人が興奮して何をするかわからない状況で、そんなことできるはずありません」
「「なぜ逃げなかったのか」「なぜ大声をださなかったのか」と聞くこと自体が2次被害です。暴力の責任を被害者に押し戻すなんて、悪魔だと思いました」
「「腰を上げないとパンツが脱げないんじゃないか」とか「寝た状態で陰茎が入っていることがなぜ分かるのか」等とも質問され、正気だろうか?と感じました。性被害の尋問と言うのはこれほどに下品であり、被告人の防御という名目があれば被害者に何を言っても許されるのか。言葉の暴力で人が亡くなることもあるのに、裁判であれば全て正当化されるのですか」
「PTSDの辛い治療を受け、(公判への)被害者参加をして自分の尊厳を取り戻し、前へ進もうとしていたのにへし折られました。証人尋問によって、もう人前に立ちたくない、死にたい気持ちになりました。私の人間性や人格をまるごと否定されたと感じています」
「被告人質問だけは見た方がいいと思い、恐怖心と嫌悪感と闘いながら、支援センターの付き添いをお願いして参加しました。その結果、吐き気・震え・怒り・羞恥心が同時に押し寄せる結果となりました」
「(被告人の)一貫して全く反省していない態度。ヘラヘラ笑っている姿。まるで私の苦痛をあざ笑っているようで、私自身が消費されている気分でした。私から誘ったかのように、淫乱かのように。私が述べたという卑猥な言葉は全て被告人の作り話です。「おっぱい」等と言う単語は絶対使わない」
「(被告人へ)他者の痛みを想像してください。もし、あなたの娘が同じことをされたら、あなたはどう思うでしょう。同じように「同意だ」と言い張れるのでしょうか。そんなの気にせずに、すぐに忘れればいいと思うのでしょうか」
「私があの日に壊されたのは、心と身体だけではありません。時間、信頼、夢、そして未来までもが崩れ落ちたのです」
「今ここに私が立っているのは、自分の未来を取り戻すためです。性暴力によって私の未来や尊厳が奪われなかった証だということを示したい」
「私は私の人生を取り戻したいと思います。この国が性暴力を許さない国に変わることを信じています」
私たちの生きている社会はこれでいいのでしょうか。なぜ被害者の方が責められ、苦しみ続けなければならないのでしょうか。責められるべきは他の犯罪と同じように暴力を振るった方です。
勇気を振り絞って声をあげた被害者を、これ以上傷つけることがあってはなりません。


これだけ明確な“拒否の声”が軽視された事が信じられません。 多くの方がこの裁判内容に疑問を持つのは、当然だと思いました。 避妊の拒否も、妻子ある男性がする行動としてとんでもない。ショックで言葉を失いました。 女性の身体は、性欲処理の道具ではない。 妊娠するし、20代女性にも当然、大…
私は真実を判断するだけの資料や情報を持ちあわせていません。ただ、今回両者が一致している点は「性交渉があった」という一点のみです。これは偏見かもしれませんが、何らかの社会的地位にある人が、なぜ、このような破廉恥な行為に至ったのか、と首をかしげたくなります。50を過ぎたいい大人が、自分…