機械化パロ槍弓:01
こちら【novel/1276892】の設定に、本編が見たい、というありがたいタグを頂き、うっかり勢いで書いてしまいました。あと言いだしっぺの法則のタグも頂いてしまったのd(ry 機械化パロ。解体師ランサーと機械化エミヤのお話です。少しばかり長い話になりますが、お付き合いいただければ、と。 ■タグ、コメ、評価、ブクマ本当にありがとうございます!そしてルーキーランキング入りしてしまって…!恐縮です! なんとか最期までお話を持っていけたらいいなあ
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『ひひひ、おい、来たぜ。新手だ』
頭に直接流れ込んできた声に、閉じていた目蓋を開ける。
自身に繋がれたコードを鬱陶しげに手で払い、けれども立ち上がる事はせず響く声に告げる。
「何人だ」
『んー、ありゃ、一人だわ』
「一人だと」
『そそ。お?こりゃ、随分とオオモノ連れてきやがったぜ』
「知ってるのか」
『知ってるも何も、何で此処にいらっしゃるんですかねえってレベルの有名人だ』
まあお前は知らんだろうよ、と響く声が笑う。
「ふざけていないで私にも解るように説明しろ」
『へーへー。ありゃ180cmはゆうに超えてるな。182…いや、185cmってトコか』
「……で」
『そう焦るなよ。体格は…相当鍛えてるな。ガチムチってほどじゃないが、ほら、何ていうのこういうの。細マッチョ?いや、でも細マッチョっていうほど細くはねぇなあ』
「私で勝てそうか」
『んー、アイツが噂通りの奴なら真っ向勝負はヤベェな。ざっと目測で量ったところ純粋な筋力と速さならあっちが上だ』
「相手はただの人間なのにか?」
まあ相手はバケモノだからなーと笑う声に、眉を潜めた。
たしかに私を壊そうとする人間たちはその生業故人間離れしている者が多いが、それでも遅れを取ることなどなかったのだ。
『今までの奴らとじゃ比べ物になんねぇぜ。コイツは。気ィ引き締めねぇと』
「……奴の名は解るか」
『解るも何も有名人だからねェ。教えて欲しい?』
「……アンリ」
『わかったわかった。おお、コエーコエー』
ひひひ、と、おどけた声が急にワントーン落ちる。
『"解体師ランサー"。これが今回の俺たちの敵だ』
【MACHINA:01】
その手紙が届いたのは、丁度その時依頼されていたナントカとかいう小難しい名前のテロ組織の爆発物を完膚なきまでにカンペキに解体し終えた後の事だった。
差出人不明。切手もなし。
恐らくは直接ランサー宅のポストに投函されたものだろう。
シンプルな白い封筒の中に入っていた一枚のCDROMには、『極秘』とだけ書かれていた。
「なんじゃこりゃ」
怪しい。見るからに怪しい。
明らかに見たら「直この再生が終わり次第、数秒後に爆発する」タイプか、そもそも機器に入れた途端機器がパァになるタイプだ。
それぐらいに怪しい。
"解体師ランサー"こと、クー・フーリンは、その生業故に些か危ないことに巻き込まれやすい。
それは自らの幸薄さも少なからず関係しているのは、悲しきかな、間違いないことなのだが、それ以上に解体師という仕事はどうしても荒事になりやすいからだ。
だがそれでもランサーに来る依頼は小さなものなら近所の引越し時に冷蔵庫をバラバラにしてくれだとかそういうものだったり、大きければ警察のどこぞのお偉いさんから「爆発物を処理してくれ」というものである。
要するに、危ないことに巻き込まれる、と言っても、あくまでそれは表社会においてでしかない。
ランサーの生業である解体師とは、その名の通り様々な物体を解体する者の事を指す。
裏との繋がりが深くなることもそう珍しいことではなく、ひっそりと人知れず仕事をしている者の方が多い。
世間一般に知られるとマズいものを、秘密裏に裏で"解体"していくのが解体師の本当の姿である。
その対象は機械がほとんどであるが、人道的に外れたモノを"解体"している解体師も居るのが現状だ。
よって解体師が表ざたになることなどほぼ無いに等しいのだが、ランサーはその数少ない例外の一人であった。
…"解体師ランサー"。
長い槍状の愛機を振り回し、迅速かつ派手に機器類を解体していく様は一種のパフォーマンスと言っても過言ではない。
そのハデな解体術のお陰か、いつの間にか"解体師ランサー"と言えば知らない人が居ないほど、その名を轟かせていた。
そう、少々、ランサーは表社会において名が売れすぎている状態にある。
裏社会は表社会において名の売れすぎた人物を使うのを嫌う傾向にあり、必然的にランサーの仕事はもっぱら廃工場の精密機械の解体だとか、警察から依頼された場合はどこかのテロ組織が仕掛けた爆発物の解体だとか、そのような仕事ばかりになってしまう。
つまりランサーは裏社会の仕事とはほぼ無縁の状態であった。
なので、正直な話ランサーは現在非常に興奮していた。
差出人不明、見るからに怪しいCDROM。
明らかにヤバい方向の依頼であることに間違いはない。
ランサーがこの職を目指したのは退屈で仕方が無い日常に刺激が欲しかったからで、まあ、現在の状態にも満足はしているが、正直裏社会での仕事に興味がなかったかというとそれは嘘になる。
それに、これは裏を返せば"名の売れすぎた自分に頼らざるを得ない"仕事であり、それは確実にランサーの求める刺激に成り得るものだ。
元々物事を深く考えない性質も相まって、ランサーは得に警戒するでなくCDROMを再生機に突っ込んだ。
ジジ、という不快な電波音と共に暫くピーピーと不規則な短い音が重なる。
悪戯だったか、と再生機からCDを取り出そうとしたところで、カチリという音と共に幾重にも多重録音され、元の声が判別できないほどに加工された音声が再生された。
『……解体師ランサー。君の腕を見込んで頼みがある』
唐突に始まったそれに、CDを止めようとしていた手が止まる。
『我々が君に頼みたいのは他でもない、"機械の解体"だ。ただし、少々表沙汰にしてもらっては困る部類の"機械"に当たる。…此処では余り詳しくは言えん。だが、"人工知能を持った機械"とだけは言っておこう』
「……人工知能?」
なんだそりゃ。眉をしかめる。
あれか。人工知能というと映画や小説とかでよくある機械が自意識をもつというあれか。
だがしかし、それは現代の技術では不可能と言われている。
自我を持っているかのように見せることと、ゼロから自分で考えるのとでは天と地の差だ。
…少なくとも、"表社会"においては、それが常識である。
(…ああ、そうか。だから表沙汰にしてもらっちゃ困るわけか)
人工知能がついたのが偶然にしろ必然にしろ、それの過程に問題があるのかはわからないが、それが表沙汰になってしまえば何かしらの混乱が起きるという事だろう。
もちろん、悪い意味でだ。
『…よって、君に解体を依頼したい。詳しい事は現地で話そう。今から二度、とある住所を言う。そこに案内人を向かわせる。直、再生が終わり次第データが消滅するため、決して聞き逃す事などないよう』
「げ、まじかよ」
慌てて紙とペンを手繰り寄せる。
紙は手ごろなものがなかったので近くに放り投げてあったティッシュ箱に書くことにした。背に腹は変えられない。
二回繰り返された日時と住所を書きとめ、予告通りCDは暫くジジジと不吉な音を発しながらブツリと切れた。
ためしにもういちど再生ボタンを押してみたが、CDが回る音がするだけで何も再生しなかった。
まあ、爆発も、再生機器がダメになったわけでもないようだったので、よしとするしかない。
CDを取り出し、もう何も再生しなくなったそれをゴミ箱に放り投げる。
そしてティッシュ箱に書きなぐられた住所を確認した。そうここから遠くはない。
日程も一週間ほど余裕がある。
どうやら解決するまで出してはくれないようだから、ある程度必要なものは準備をしておけということだろうか。
「…ま、すげぇ胡散臭いけど…」
にやりと口角が上がる。
面白そうだ。と、純粋に仕事内容に心躍らせた。
"人工知能"を持った機械など、そうそうお目にかかれるものではない。
どんな姿形をしているかまったく想像はつかないが、解体云々よりもそっちに俄然興味が沸いている。
表社会では名もしらぬ研究所の"人工知能を持った機械"。
表社会に知られたくないのにもかかわらず、ランサーに依頼してきた理由。
知りたいことは山ほどある。
何より。
こんなに面白そうな案件を、ランサーは放っておけるような性分ではなかった。
******
そして一週間が過ぎ。
ランサーは手荷物を抱え指定された場所へ足を向けていた。
特に隠れた場所でもなく、人通りは少ないが人気がまったくないというわけでもない路地。
そこに一人のパーカーを着た男が突っ立っていた。
「……おい」
「解体師、ランサー様ですね?」
「ああ。そうだ。お前が案内人か?」
「そうです。今からお車をお呼びしますので、少々お待ちください」
男は携帯を取り出し、手短に用件だけを伝えると電源を落とす。
すると、あらかじめ待機していたのだろうか、何の変哲もないワゴン車が目の前に止まった。
今更であるが、依頼人の用意周到さにランサーは舌を巻く。
確かに人通りは少ないが奥まった路地でもなく、ちらほらと目の前を通る人すら居る待ち合わせ場所。
そして自らの財力を誇示するような黒塗りの仰々しい車でなく、ひとたび車道に出れば何台も同じ車種とすれ違うような一般的で庶民的な車。
変に"人に知られたくない"という形をとらないそれは、いかに人目をくらますかを良く知っている。
木は森に隠せという言葉まさにそのままだ。
「随分用心深いんだな」
「はい」
車に乗り込みつつ素直な感想を口にすれば、男は完結に返事をし、それ以上無駄口を叩かない。
こんなところまで徹底してやがるか、と、ランサーは眉をしかめる。
良く行き届いた教育だ。まったく。
車内でも研究所に入るための簡潔な説明以外、ランサーからの問いには「後ほど依頼主から説明がありますので」の一点張り。
ならば世間話でもしようかと話題を振れば、ほとんどが一言か二言で済まされてしまい、まったく会話が続かなかった。
早々に男との会話を諦めたランサーは、ぼんやりと窓の外を見る。
猛スピードで流れる景色を眺めていると、急に目の前の視界が黒く染まった。
「なんだ?」
「此処から研究所までのルートは機密事項になりますので。視界をシャットアウトさせていただきます」
「…そっちから依頼しといて俺を信用してねーって事か」
「ご気分を害されたのであれば謝ります。しかしこれに例外はありませんので」
「そーですか」
本当に用心深い。
恐らくマジックガラスというやつなのだろう。
いくら目を凝らしたところで、うすぼんやりとすら外の様子を伺う事など出来ない。
そうしてますます居心地が悪くなったランサーが不機嫌に足を揺らしているうちに、ガコン、という大きな音が響き、車が完全に停止した。
「到着致しました」
男がそう言うと、扉が開く。
どうやら地下にある駐車場らしい。
促されるまま車を降り、ランサーが大きく伸びをした所で白衣を着た研究員にしてはやけにガタイのいい男が死んだような笑みを浮かべてランサーの前に立った。
気に食わない男だと、一言も言葉を交わしていないのにも関わらず、ランサーは直感で目の前の男を睨む。
これは気を許してはいけない類の人間だ。
「言峰様、ご指示通り"解体師ランサー"様の護送を完了いたしました」
「ご苦労」
言峰と呼ばれた男は言葉と共に片腕を軽く上げる。
「依頼をお受けしていただき、感謝します。"解体ランサー"殿」
「…お前が俺の依頼人か」
「左様。当研究所で代表代理をしております言峰綺礼です。偽名ではありませんのでご安心を」
「クー・フーリンだ。で、依頼内容を詳しく聞かせてもらおうか?」
「…只今ご案内いたしますので少々お待ちを。お話は向かいながらさせていただきます」
随分ともったいぶるものだと、ランサーはフンと鼻を鳴らす。
この男が何を考えているのか表情から読み取れない。
物腰柔らかな丁寧な対応を"演じて"居るのは感じ取れるが、それ以外の事はサッパリだ。
この男は全てが偽者のようで、しかしそれが本物のようにも感じ取れる。
要するに、喰えない。本当に喰えない奴だ。
言峰に促され、電子ロックが施されている扉をくぐる。
白い壁に囲まれた研究所はまるで病院のように生気が感じられない。
「さて、では本題に入りましょう」
カツカツと廊下に足音が響く。
一直線に伸びた廊下には窓がなく、一言で言うなればそれはまったくの異質であった。
「その前に、その胡散臭い丁寧語を止めろ。上っ面の敬意で話されても逆効果だ」
「そうか。それはすまなかったな。一応気を使ったのだが、それも不要であったとは」
クク、と笑う言峰にランサーはますます眉間の皺を深くする。
「一瞬で切り替えるとはな」
「まあそんな事はどうでもよかろう。では、まずこの研究所について説明する」
「手短にな」
「ああ。まずこの研究所だが、見ての通り表社会に一切知られていない極秘研究を進めるための施設だ。よって依頼遂行中は不用意に外には出られない」
「出れないだと?」
「うっかりここの場所がばれてしまっては話しにならんのでな。まあ、そうそう時間はかからんだろう。良くも悪くも」
首から提げたカードを扉に通し、開かれた扉の先にある階段を上りながら、言峰は笑う。
その笑みは、人から好かれるそれではない。
むしろ不快を与えるものだ。
「……で。依頼内容ってのは何なんだよ。いい加減勿体振ってねぇで言えよ」
「そう焦るな。……と、ここだ。止まってもらおう」
長い長い階段を上った先、今までとは違う黒い扉を、先ほどと同じように首のカードを機器に通し、尚且つ暗証番号を入力し扉を開ける。
随分厳重に守られた扉の先には、前面に巨大な硝子窓、そして部屋一面を覆うような膨大な数のモニターと、それを観察する研究員らしき人間の姿が目に入った。
モニターは何一つとして同じ画面は無く、ひっきりなしに何かの数値をたたき出しているようだ。
唖然とするランサーを促し、言峰はガラス窓の前で歩みを止める。
「依頼内容はCDで聞いてもらった通りだ。ランサー、お前には"人工知能を持った機械"を解体してもらう」
「この仰々しい部屋は解体対象を監視するモンなのか?」
「その通りだ。アレは少々厄介でね。これはすべて奴を制御、監視するシステムだ」
「そんなにヤバいやつなのか」
「ああ。それが、アレだ」
言峰が窓の下を指差す。
身を乗り出して硝子で遮られた窓の下を見れば、モニターや見たこともない機械に囲まれた部屋の中心に、何本もの管に繋がれた"モノ”が佇んでいた。
それが目に飛び込んでくるや否や、ランサーはその目を大きく見開く。
それは、どう見ても。
ただの"人間"だった。
「おいどういう事だ」
自分が解体するのは"機械"であったはず。
なのに何故解体対象だと指差された先に人間が居るのだ。
睨むランサーに怯みもせず、言峰はやれやれと首を横に振る。
「アレは機械だ、ランサー」
「嘘つけ。どっからどう見ても人間じゃねーか」
「人間ではない。人間に模してはいるが、あれは機械だ。君も"アンドロイド"というものを聞いたことくらいあるだろう」
「アンドロイド…だと?」
アンドロイド。
映画やドラマに出てくる機械人間がふと脳裏に浮かんだ。
いや、しかしそれはあくまでフィクションの世界でのこと。
それが本当に実在しているのだといわれても、にわかに信じ難い。
「嘘だろ」
「嘘ではない。ここは"アンドロイド"を製造、研究する施設だ。ちなみに奴一体だけではないぞ。奴の検体番号は"838"。現在製造中のものをあわせてもざっと千体はいる」
さらりと当然のように出された言葉に今度こそランサーの口が開いたまま塞がらなくなった。
これが千体。
遠目から見たら人間と何一つ変わらない見た目をしたアンドロイドが千体。
「まあ何百体かはもう使い物にならんがな」という事峰の言葉はランサーには届かなかった。
…まて。
たしか依頼内容は"人工知能を持った機械"だったはず。
あのアンドロイドをそれだと言うのならば、あれはただの機械でなく知能を持っている事になる。
嘘だろ、と、もう何度口にしたかわからない言葉を繰り返す。
つまりアレを解体しろと言うのか。
人間とまったく見た目が変わらぬモノを。
「……これが、"極秘"の理由か」
「まあな。人工知能を持った人間そっくりのアンドロイドが存在するなど世間に知れたらコトだろう」
「だろうな。で、お前はそんな人間と見まごう程のそれを俺に解体しろと」
「その通りだ"解体師ランサー"」
解体師というものはどんなモノであれ"解体"するのだろう、と、言峰は笑う。
途端、ぐらり、と世界が怒りで揺れる。
すんでの所で依頼人を殴りつけようとする腕を押し殺し、苦々しく舌を打つに留めた。
思った以上にこの案件は厄介なものであったらしい。
愉快そうに笑う言峰に毒付き、ランサーはもう一度窓を見やる。
白い髪のアンドロイドはピクリとも動かない。
「…帰らせてもらう。不愉快だ」
苦々しく呟き一歩踏み出したランサーの肩を言峰が止める。
「そうはいかない。最初に言っただろう。依頼遂行中は不用意に外に出られないと」
「だからその依頼を断るって言ってんだ」
「それは困るな。あの待ち合わせ場所に来た時点でこの依頼は受けられたも同然だったのだが。まあ、帰れるものなら帰ってもらっても構わないがね」
「だからそうさせてもら…」
「その場合お前には死んでもらうことになる」
急に落ちた声のトーンに驚いて言峰の顔を見れば、その顔からは一切の感情が消え去っていた。
これは脅しでもなんでもない。
本気だ。
本気でランサーを殺すつもりなのだろう。何の躊躇も無く。
「…言峰、貴様」
「安心したまえ。依頼が成功するにしろ失敗するにしろ、きちんと仕事をこなしてくれれば危害を加えはしない」
「クソが。どうあってもタダじゃ帰さねぇってか」
「その通りだランサー。さて、それではまずは解体対象の所に案内しよう。いくらランサー殿と言えど下見くらいは必要だろう」
有無を言わさず視線で進めと命令され、ランサーは舌打ちし渋々それに従った。
逃げるにしろ今それをしてしまってはあまりに不利すぎる。
言峰の思惑通り事が進んでいくことに苛立ちながら、ランサーは部屋の奥にあった階段を降りた。
「これがその部屋の鍵だ」
投げ渡されたそれはUSBのような差し込む形をしており、扉の窪みにそれを差し込むと数秒赤と緑に点滅し、ピー、と音が鳴り響いた。
「検討を祈るよ、ランサー」
ガチャリと音を立てて閉じた扉の向こうに消えていったランサーに、言峰が送った言葉はランサーに聞こえなかっただろう。
こみ上げる笑いを抑えるように、言峰は口を手で覆った。
「他の解体師は三日と持たなかったのでね。さて、"解体師ランサー"殿は一体何日持つことやら」
厚いガラスの向こう側に見えた青い髪をその目で捉え、言峰はこんどこそ堪えきれない笑い声を漏らした。