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『幸せな王国』
むかしむかし、それはそれは豊かな国があった
その国では皆が笑顔で幸せに暮らしていた
そんな国が出来たのは長く続いた争いの末であった
隣国との和平を結び、ようやく平和な国となったのだ
その国を平和に導いたのは一人の青年であった
彼が戦に出れば負けることはなく、その国で最も強き者であった
ただ強いだけではなく、周りを心配できる優しき者でもあった
あるときは手を差し伸べる優しさを見せ、またあるときはお腹をすかせた者に食べ物を分け与えた
それ故に人は皆、彼を信じ、彼の目指す理想の国を作ろうとした
彼の理想は皆が幸せに過ごし笑顔で在れる国であった
平和になったその国はまさに彼が目指した理想の姿となったのだ
彼はその後、国を治める王となった
誰もが幸せな王国がここに誕生したのであった
「なあ、じいさん。」
「なんだい?」
「このおはなし、おれのすむこのくにのことなんだよな?」
「ああ、そうだね。」
「だったらなんでおれのまわりにすむひとはだれもしあわせそうじゃないんだ?」
「それはね、今の王様はこのお話の王様じゃないからなんだよ。」
「そうなのか?」
「このお話の王様はたしかに良き王だった……けれど周りの人間が良くなかったんだ。」
「どういうことだよ?」
「士郎にはまだ難しいことかな。」
私は子供の頃、親代わりの切嗣に『幸せな王国』という絵本を読んでもらうのが好きだった。そのお話に出てくる王様は、正義の味方みたいでキラキラと輝いて見えていた。
しかし、いつからかその絵本を読むと決まって切嗣は悲しそうな顔をしていることに気づいた。そんな切嗣の顔を見たくなくて、いつしか『幸せな王国』の絵本を読んで、とせがむことはなくなっていた。
続き楽しみにしてます*\(^o^)/*