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2026年03月18日

資金循環統計(25年10-12月期)~個人金融資産は2351兆円と過去最高を更新、日銀の長期国債保有割合はついに過半割れ

経済研究部   主席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

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1.個人金融資産(25年12月末):前年比118兆円増、前期末比64兆円増

2025年12月末の個人金融資産残高は、前年比118兆円増(5.3%増)の2351兆円となった1。残高はこれまでの最高であった9月末を上回り、過去最高を大きく更新した。年間で見た場合、資金の純流入が26兆円あったうえ、株価が大きく上昇したことで時価変動2の影響がプラス92兆円(うち国内株式等がプラス65兆円、投資信託がプラス18兆円)発生し、資産残高を大きく押し上げた。

次に四半期ベースで見ると、個人金融資産は前期末(9月末)比で64兆円増と7-9月期に続いて大きく増加した。例年、10-12月期は一般的な賞与支給月を含むことから資金の純流入が進みやすい傾向があり、今回も21兆円の純流入があった。さらに、この間に株価が大きく上昇し、円安も進んだことで、時価変動の影響がプラス43兆円(うち国内株式等がプラス24兆円、投資信託がプラス10兆円)発生し、資産残高を大きく押し上げた(図表1~4)。
(図表1) 家計の金融資産残高(グロス)/(図表2) 家計の金融資産増減(フローの動き)
(図表3) 家計の金融資産残高(時価変動)/(図表4) 株価と円相場の推移(月次終値)
(図表5)家計金融資産残高の伸び率(名目・実質) なお、物価上昇の影響を加味した実質ベースの個人金融資産の伸びは前年比2.7%増と7-9月期の伸び(1.5%増)を上回り、2四半期連続でプラス圏を維持した(図表5)。日本の個人金融資産はゼロもしくは低金利の現預金の割合が高く、物価上昇に弱い構造にある。ただし、物価上昇率が鈍化する一方で、株価が大幅に上昇したことで、実質資産残高が押し上げられた。
(図表6)家計の金融資産と金融純資産 また、家計の金融資産(グロス)は、既述のとおり10-12月期に64兆円増加したが、この間に金融負債が4兆円増加したため、金融資産から負債を控除した純資産残高は9月末比で60兆円増の1945兆円となっている(図表6)。
 
足元の1-3月期については、一般的な賞与支給月を含まないことから、例年、資金の純流出が進む傾向がある。一方、足元の株価は年末よりも高い水準にあり、円安も進んでいることから(図表4)、時価変動の影響は明確なプラスに寄与しているものと推測される。トータルでは時価変動のプラス影響が資金の純流出をやや上回っている可能性が高い。

従って、3月末にかけて株価やドル円が足元に対して横ばい圏で推移すれば、3月末時点の個人金融資産残高は12月末時点の残高をやや上回るとみられるが、イラン情勢の緊迫化を受けて、株価が大幅に下落すれば、12月末の残高を割り込む恐れもある。
 
1 今回、2025年7~9月期の計数が改定されている。
2 統計上の表現は「調整額」(フローとストックの差額)だが、本稿ではわかりやすさを重視し、「時価(変動)」と表記。

2.家計の資金流出入の詳細: 投信・国債・社債への流入目立つ

2.家計の資金流出入の詳細: 投信・国債・社債への流入目立つ

10-12月期の個人金融資産への資金流出入について詳細を確認すると(図表7)、例年同様、季節要因(賞与の有無等)によって現預金が純流入(18兆円)となった。純流入の規模は前年同期(18兆円)とほぼ変わらない。

現預金の内訳では、例年同様、賞与の支給等を受けて流動性預金(普通預金など)への純流入(15兆円)が進んだ。

一方、定期性預金(定期預金など)は0.1兆円の純流出となり、3四半期ぶりの純流出に転じた。4~6月期および7~9月期には純流入が続いていたことに加え、この時期は日銀の追加利上げが意識されていた局面でもあった。そのため、利上げ後の預金金利の上昇を見込んで預け入れを控える家計が存在した可能性がある。
 
次に、リスク性資産等への投資フロー(時価の変動は含まない)を確認すると(図表7)、まず代表格である株式等が0.1兆円の純流入となった。純流入は3四半期ぶりとなる。もともと個人投資家は逆張り志向が強いことから、株価の上昇を受けた利益確定売りが重石になったものの、先高観を背景とする流入が若干上回ったと推測される。
(図表7)家計資産のフロー(各年10-12月期)/(図表8)現・預金のフロー(各年10-12月期)
(図表9)家計資産のフロー(4四半期累計フロー)/(図表10)現預金の個人金融資産に占める割合
一方、投資信託は2.9兆円の純流入となった。株式同様に、一部で利益確定売りが生じたとみられるものの、NISAの普及やインフレを追い風として、息の長い純流入が継続している。トレンドを見るために4四半期累計フローを確認した場合でも(図表9)、投資信託への高水準の資金純流入が目立っている。

その他資産では、確定拠出年金内の投資信託(0.4兆円の純流入)で堅調な純流入が続いているほか、国内預金よりも金利水準が高い国債(0.7兆円の純流入)や外貨預金(0.1兆円の純流入)、事業債(0.6兆円の純流入)への資金流入が目立つ。

高インフレによる資産の目減り圧力が続く中、(1)新NISAを活用して高いリターンが狙える投資信託、(2)低リスク資産の中で金利が相対的に高い国債・社債等への資金流入が続いている。
 
なお、現預金が個人金融資産全体に占める割合は、12月末で48.5%(9月末は49.1%)と引き続きやや低下した(図表10)。5割を割り込むのは2四半期連続となる。近年、株高・円安が進み、時価の上昇を通じて資産残高が大きく押し上げられたことが主因だ。また、インフレなどを受けて現預金への資金流入が伸び悩み、投資信託等へのシフトが発生したことも影響している。

3.その他注目点

3.その他注目点:家計の資金余剰は横ばい、日銀の長期国債保有割合は50%割れ

(図表11)部門別資金過不足(季節調整値) 10-12月期の資金過不足(季節調整値)を主要部門別にみると(図表11)、家計の資金余剰が5.9兆円(前期は5.8兆円)と前期から横ばいとなった。一方、民間非金融法人(企業)の資金余剰は0.5兆円(前期は10.2兆円)と大きく縮小した。企業収益は好調を維持しているが、設備投資の持ち直しなどが押し下げに働いたと推測される。

政府部門の資金不足は1.9兆円(前期は1.6兆円の資金不足)へとやや拡大したが、不足は従来よりも小幅に留まっている。好調な企業業績やインフレを背景とする税収の増加を受けたものとみられる。

なお、海外部門は8.2兆円の資金不足(前期は9.6兆円の資金不足)と引き続き大幅な資金不足であった。
(図表12)国債保有シェア 12月末の国債(国庫短期証券を含む)発行残高は1167兆円と、9月末(1185兆円)から18兆円減少した。国債利回りの上昇によって、時価が24兆円目減りしたためだ。

最大の保有者である日銀の国債保有高は12月末時点で503兆円と9月末から21兆円減少した。日銀が段階的に長期国債の買入れ減額を進めているうえ、金利上昇による時価減少が9兆円発生したことも押し下げに働いた。

この結果、日銀の国債保有シェアは43.1%と9月末(44.2%)をやや下回った(図表12)。日銀の保有シェアは2023年末をピークとして緩やかな低下基調にある。また、1年超の長期国債に限ると、日銀の保有シェアは49.0%(9月末は50.005%)となり、ついに過半を下回った。過半割れは2022年6月末以来である。

日銀が長期国債のほぼ半分を保有する圧倒的な存在である点に変わりはないが、その存在感は徐々に後退しつつある。

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(2026年03月18日「経済・金融フラッシュ」)

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