【カイロ=佐藤貴生】米・イスラエルが攻撃を続けるイランは、過去に例のない大量のミサイルとドローン(無人機)をペルシャ湾岸諸国に発射して報復した。サウジアラビアやカタールなどで石油・天然ガスの生産停止や削減が相次いでいる。米軍を駐留させて米国の保護を受ける安全保障戦略にほころびが生じ、湾岸諸国では対米不信が広がりつつあるようだ。
ミサイル600発、無人機1900機
湾岸諸国は11日までに、少なくとも約600発のミサイルと約1900機の無人機でイランから攻撃された。大半は迎撃したが市街地のビルやホテルも被害に遭い、市民は不安に陥った。イランの標的は米軍の駐留拠点からエネルギー関連施設に移行し、経済的繁栄の基盤であるエネルギーの生産が危ぶまれている。
湾岸の6カ国はイラン革命の2年後の1981年に「湾岸協力会議(GCC)」を設立した。イラン革命体制への警戒感が設立の背景にあったが、40年以上を経てイランの脅威が現実のものになった形だ。
湾岸諸国の指導者らは「反撃する権利がある」(カタール)などとイランを牽制(けんせい)しているが、現時点で実際に反撃したとの報道は見当たらない。中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、「反撃すればさらに強力なイランの報復を招く公算が大きい」ため、ためらっているとする米専門家の見方を紹介した。