賃上げ5%でも低い? エコノミストが喝「企業は安く働かせすぎ」

インタビューに答える、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト=東京都千代田区で2026年3月12日、宮本明登撮影
インタビューに答える、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト=東京都千代田区で2026年3月12日、宮本明登撮影

 2026年春闘では、労働組合の賃上げ要求に満額回答が相次ぎ、大企業で3年連続となる平均5%超の賃上げも視野に入る。しかし諸外国と比べた日本の実質賃金はこの30年間、低迷が続く。そもそも日本はなぜ、こうも賃金が低いのか。「企業はもっと従業員に報いよ」と説くBNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストに聞いた。【聞き手・加藤美穂子】

利益分け合う「レントシェアリング」

 ――今春闘で、連合はベースアップ(ベア)3%以上、定期昇給を合わせて5%以上の賃上げを目標としています。そもそも日本の大企業の賃上げ水準をどうみますか。

 ◆24、25年と大企業を中心に3%以上のベアや5%超の賃上げが実現し、今年も続く見込みで、一見かなり高水準に感じられます。しかし物価もベアと同程度、上がっています。

 拙著「日本経済の死角」にも書きましたが、過去四半世紀を振り返ると、日本の生産性は時間当たりで約3割上がっているにもかかわらず、実質賃金は下落傾向です。企業はもっと従業員に報いる必要があるのではないでしょうか。連合も、もう少し闘わないと。

 たしかに企業が生み出した付加価値のうち、株主は自ら取ったリスクに見合う収益を得る権利があります。ただし欧州では「レント」と呼ばれる、さらに収益が上がった場合の超過利益を従業員と株主が分け合う「レントシェアリング」という社会慣行があります。(これにより)フランスやドイツは、過去四半世紀で日本よりも時間当たり生産性の改善は弱いのに、実質賃金は上がっています。

 日本企業も昔は従業員を含むすべてのステークホルダー(利害関係者)を意識した経営をしていました。ところが…

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