「日本はこれからレアアースに困らない」首相発言に第一人者が「いいかげんにしろ」 超遠隔地・南鳥島沖の深海底資源、引き揚げより肝心なのは…
―中国は、なぜ圧倒的な存在になったのですか。 「中国は、過去に鉱物資源の重要性を認識し、長年の政策として採掘できる場所を積極的に探し、関連産業を育成しました。優良な鉱山があり、なおかつ精錬にかかるコストが極端に低い点が非常に重要です」 ―精錬は、どんな作業なのですか。 「掘り出した鉱石を酸で溶かし、有機溶媒などを使って鉱石の中に含まれる混ざり物の中からレアアースを分離する作業です。精錬後には有害な重金属を含んだ廃液や放射性物質を含む廃棄物が残るので、これを処分する必要があります。 中国は環境規制が緩く、ほとんどゼロコストで廃棄物が処分できます。以前に現地を視察した時は、精錬所近くに処分場があり、大きな池に廃棄物をどんどん捨てているのを目にしました。日本やアメリカは環境対策のコストが高いため太刀打ちできません」 ―米国やベトナム、オーストラリアなどにも鉱山はありますね。対抗はできるのでしょうか。
「コストを下げるには廃棄物を処分するため、環境規制を緩めた特区のような場所を設ける必要があるのではないでしょうか。レアアースに限らず、非鉄金属の生産では、とにかく有害物質が出ます。それをどうやって安価に始末するかが勝負になります」 中国は鉱山の発見から採掘、精錬の技術開発までレアアースを生産する一連のプロセスを整備。さらに安い労働力と低い環境対策コストで米国など他国を圧倒し、優位性を確立した。 ▽南鳥島沖のレアアース投資に得はないのではないか 内閣府によると、南沖鳥島沖の深海底には「産業的な開発が可能な規模」のレアアースがあるという。早稲田大や東京大は2018年、この海域に1600万トン以上が眠っているとの試算を発表した。 内閣府は「戦略的イノベーション創造プログラム」の一環で、2018年度から深海底からの採掘に向けた調査や技術開発に着手した。今回、採掘装置が問題なく稼働したことを受け、2027年2月からは1日当たり約350トンの泥を引き揚げる本格的な採掘試験を実施する予定だ。2028年3月までに、コストや産業化の可能性を評価する計画もある。