その心臓はだれの物
キャスニキショタ弓のパロものとなります。
わーい調教物の筆が進まなくてついつい頭にうかんが物語をまとめてしみましたぁ(´∀`*)ウフフ
シリーズ化する予感満載。12歳ぐらいのショタ弓においたするキャスニキが書きたかったので、今後エチシーンを入れる予定ですがまずは前提です。
ツイで呟いたハートフル物語書きたい願望は露と消えたのでした。
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その少年は男をを目の前にして言い放った。
「神など居ない。だから信じていない」
杖を持ち、水色のローブに身を包んだ男は何故と問うた。
「人は皆己の道を己で切り開く。だから神は不要だ。そんな世界には神は居ても意味がない。だから居るはずがない」
なるほどど、男は頷いた。
確かに神は人1人のために何かをすることなどない。崇められることで信仰の力を得て、崇めてくれた彼らが健やかに暮らせるように自然に対して多少影響を及ぼすことも可能だが、基本神はそんなことをしない者がおおい。ただの概念なのだ。
だから少年が言っていることはある意味正しい。
「ならば何故ここにきた」
男はその応えをわかっていながら問うた。
「貴方に恨みはない」
褐色の肌とプラチナの髪、そして鋼色の瞳という稀有な容姿は神の間にもいない。その容姿をもった少年は顔色ひとつ変えず言い放つと、懐に潜ませていた2本の短刀を取り出した。
「だが、貴方を殺さないと私の弟が殺される」
「ほう、俺を殺したとなれば貴様の住む村への加護はなくなるだろう、それでもいいというか?」
挑発するような物言いに、そこで初めて少年の表情が歪んだ。
「加護を授けているのか?であれば何故大災害を止めてくれなかった」
何故と、怒気を孕んだ視線が向けられる。
「・・・あの大災害の生き残りか」
「あの大災害で私達の両親は死に、街は村へと変わり果てた。呪われていると悪評がたち養父も病に倒れた。あの場所のどこに加護があるというのだ!」
ああそうかと男は納得した。
男がこの地域の神として降り立ったのはほんの数年前、その前まえこの地には神はおらず、誰もそれを止めてやることなど出来なかった。大災害は神々のいざこざの本の飛び火であり、本来であれば地域の神がそれをはねのけることで回避することができていたのだが、この地は神が不在だったためにそれができなかった。それ以来、人々は祭壇を作り毎年生け贄に選ばれたものの心臓を生きたままえぐりだし捧げるという儀式を繰り返している。
この地に降り立ってからみたその光景は男からしてみてもありがた迷惑なものであった。
「あの地は呪われている。呪われているだけならまだいい。だがそれで人々は卑屈になり、疑心暗鬼に問わられ荒廃している。それにもかかわらずいない神にすがり、生け贄を送り込み続けている・・・今年は私の弟が生け贄だ」
「生け贄を護るための交渉、にはみえねぇな」
「神を名乗る貴様を殺す。そうすればこれ以上生け贄が必要とされることはない」
「・・・また次の神がきたらどうする?」
「また殺す」
迷いのない目だった。
「俺を殺せばお前の弟は見逃してやると言われたか」
「問答はもはや無用。神を名乗る貴方の命、頂戴させていただく」
そう言い放った青年の目は切羽詰まっていた。
大切な弟が今にも殺されるかも知れない。養父が死んだ今守れるのは兄である自分のみ。神がいなくなれば生け贄という制度自体もなくなる。
弟が生け贄として選ばれた時、村の長がそう少年に告げたことを男は知っていた。
「・・・いいだろう、お前の技量を見てやる。俺を殺せればお前の勝ちだが、それを出来なければお前が俺の生け贄になれ」
「断る」
「あん?」
「私が生け贄になれば、弟を護ることが出来なくなる。弟が立派に育つまで見届けることができなくなる」
生きて帰るのだという強い意志。
「いいねえ、気に入った」
男は言った。
「お前の弟もろとも、俺が面倒みてやろう。そうすれば不満はあるまい?」
「それでも駄目だ。あんたがいる限り生け贄は生まれ続ける」
「お前の村に目に見える形での加護をやろう、そうすればソレもなくなる」
「・・・貴方は、なにを言ってるんだ?」
聡明な少年は小さな頭のなかで必死に考えたに違いない。何度も考えた結果、神と呼ばれるものを殺すしかないという結論に至ったのだ。
弟も護りたいし、弟のように苦しむ子どもや、果ては自分をそうやってそそのかした大人すら護りたいとこの少年は思っている。
(どこの次元でも、お前はかわらねえんだな)
神と呼ばれこの地に降り立った男、クー・フーリンは苦笑した。
「お前のその望み、叶えてやる。全てだ」
少年はぽかんとしてクー・フーリンを見上げた。ようやく歳相応の表情が見えた。
「その代わり、お前が俺に仕えろ。永遠にだ」
お前の全て俺によこせと、横暴で傲慢な言葉をぶつける。
エミヤ・アーチャーという名前の少年は大いに迷った。目の前の男が本当に神なのかもわからない今、その安易な言葉にしたがってよいものかを疑っている。
「・・・目に見える形で、奇跡を起こしてくれるのであれば信じよう」
「疑り深いが神相手にその姿勢はいいことだ、神なんてろくなもんじゃねぇからな」
訝しむ視線を軽くいなし、クー・フーリンは持っている杖でルーンを刻んでゆく。
次の瞬間、何もない空間から突如街にいたハズの弟が現れた。
「し、シロウ!?」
「えッ!?兄貴?な、ここは?ってか兄貴どこいってたんだよ!心配しただろ!いきなりいなくなるなよっ!!」
まだ幼い弟の靴は泥だらけで身体もびしょぬれだった、夏だというのに続く長雨にぬかるんだ道を歩きまわったことがすぐ分かった。
「切嗣がいなくなって、兄貴もいなくなったら・・・おれ、おれ・・・っ!」
濡れたまま弟は兄に縋り付き、安堵で涙をこぼし始める。昔から弟は泣き虫だったが、切嗣が死んでから一度も泣かなくなった。だが唯一の兄を失うという恐怖を感じていたのだろう。やっと見つけた兄を前にしてつくりあげた仮面は崩れ去り、歳相応に泣きじゃくっている。
「・・・すまなかった・・・」
すぐに帰るつもりだったといいながら、エミヤはぎゅっと頭ひとつ分小さな弟の冷えきった身体を抱きしめた。
「これで信じたか?」
兄弟の再開をしばらくみていたクー・フーリンがタイミングをみて声をかける。
「・・・この弟は本物だ、貴方は本当に神のような力があるんだな」
「だから神だってーの」
まだ神といものを信じきることができないエミヤにクー・フーリンは肩をすくめてみせた。
「お前達をこの神殿の神官見習いとして引受よう、何人かいるんだがどれも武人ばかりでな。武芸と野戦料理には長けているがどうも細かいことは苦手だ、お前さん達がいれば俺たちも助かるが、どうだ?」
まだ腕の中で泣きじゃくる赤毛の弟をなだめながら、エミヤは迷いの無い瞳でまっすぐクー・フーリンを見上げた。
「貴方の心のままに。私の命を・・・心臓を捧げよう。マスター」
まだ声変わり前の12-3ぐらいの容姿にもかかわらず、それは一瞬赤をまとった騎士の姿と重なった。
「確かにお前の心臓貰い受けた。エミヤ」
そうして、クー・フーリンの神殿に2人の神官見習いが住まうこととなった。