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誰も寝てはならぬ/Novel by 朴

誰も寝てはならぬ

1,452 character(s)2 mins

Fate。槍弓♀幼馴染。現パロのような何かだけどあんまり関係ない。ベッター再録。
拘束系+眠りの浅い槍はいいぞ。

表紙素材をお借りしました。ありがとうございます。
きゆる様 user/75125667

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 ――私の幼馴染には、拘束癖がある。
 ふうっと暗い部屋で目が覚めた。サイドランプのオレンジの明かりが、ほんの少しだけ眩しい気がする。じゃれあいながらゴロゴロしている間にうっかり眠ってしまったらしい。
 手を伸ばしコードを引っ張って明かりを消そうとすると、ぎゅうと我が身の腹を抱きしめる腕に力が入って阻まれる。少しばかり開いた彼我の隙間は即座に詰められ、ぐりぐりとうなじに懐くのは幼馴染の鼻先だ。
「……ランサー」
 眠っていてもなお聞き分けのない背後の男に一つため息。大体、真っ暗でないと今以上にうまく眠れないのはお前のくせに。掛け布団と私の影に隠れるようにしている頭を後ろ手によしよしと撫でてやると、寝ぼけているのかぐりぐりと懐かせられる青い髪に、覚えるのは微笑ましさだけではない。というか体重をかけてのしかかってくるな重い。
 裸の体を抱き込まれるのは、湯たんぽ代わりだと察せられても恥ずかしい。
 私は、拘束の中でごろりと寝返りを打ち、すいよすいよと眠る男のかんばせを眺めた。うむ、よだれを垂らしていても美しい顔だ。
 そうして、お互いに着衣を身に着けずに同じベッドで眠る意味を僅かばかり考える。
 幼馴染か、セフレか、それ以外の何かだろうか。
 単なる憐みの精神かもしれない。それくらい、この男のそれは気軽だった。気軽に男のベッドに誘い、気軽に食らう。私以外にも相手がいるのだろう。当然だ。褐色と白髪、十人並みの容姿。この面貌でまともな男が釣れるわけがないが、それでもこの美しい男に同情を喰らうのは癪に障った。
 背を向けているときは腹。あるいは腕枕の延長上の抱擁。向かい合っているときは、裸の胸をやわらかい双丘に合わせることが好きそうだった。私があおむけになっているときは、横合いから手を伸ばして軽くのしかかってくるのが典型だったし、うつぶせになっているときは獣が下位の者にそうするかのよう、のっしりと乗っかる。
 拘束されていることの欠点は寝返りが打ちにくいということだ。床ずれになったらどうしてくれる――という文句すら、この男は言わせてくれなくて、寝ぼけているなりに私が寝返りを打つときばかりは腕の拘束を緩めてくれる。どの体勢なら男が眠りやすいのかは聞いたことがない。男自身が寝返りを打たないことは心配だったが、最近私を抱えたままダイナミックにぐるんと体勢を変えるのだと判明した。なら何の問題もない。と、言えなくもないかもしれない。ほとんどベッドの外に追いやられたケットを、風邪をひかぬよう引きずってかけなおすのは私なのだが。
「あーちゃあ」
 ふよふよと浮ついたような声で呼ばれることに感じるのは、隠しようもない喜びだ。
 私は、なんだ、と静かな声で返事をする。
 男の眠りは非常に浅い。へら、と私が身じろぎするごとに目を覚まし、だらしない顔で微笑う男の顔に、何度「もうやめないか」と言おうとしたか、この男はきっとわかっていない。
 たまたま私がこいつの筆おろしをしただけだった。君の笑顔は、この気遣いは、この執着は、寝起きの観賞用にもいいだろうほかの女性に向けられるべきものだと私は今でも信じている。
 ああ、もうだからやめてくれないか。うれしそうに体重をかけるな。腕で体を引き寄せるな。私を見つけて、何よりも安堵したような顔をするな。
 宝物を愛でながら隠すよう、守り続ける誓いみたいに、私の目の前で男の白い腕が額を覆って。
 私は目を閉じ、畏れと後悔を抱えながらもすやりと眠った。

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