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Conversation

さて、アラスカ原油は何故アジアに来ないのかの答えはズバリ、1989年のエクソンバルディーズ号による原油タンカー史上最悪の原油流出事故による影響によるものです(リンク参照)。この事故はその後のタンカーの安全基準を大きく変えたり、今でもエクソンの安全基準の根底にあるほど大きな出来事でした。詳細は省きますがこの事故の影響により、アラスカ(以下AK)からの原油出荷は現在に至るまで非常に厳しく制限されています。2016年に米国が原油輸出を再開してからもAKからの”国外輸出”はほとんどされていません(禁止はされてない)。大きな理由に積出港のアンカレッジに寄港できる原油タンカーは事前に厳しい選定を通った特殊な数隻の内航船(内航船はJohn's Act船と呼ばれます)のみで、BP、Cocono、がメインで保有しているいわゆるシャトルVesselと呼ばれる、積み地のAKと揚げ地の米西海岸を行き来するだけに建造された船だけで出荷を行っています。ようはAK港に慣れたこの船のみで出荷を行い、(事故を起こす可能性のある)詳しくない外航船による出荷が制限されているわけです。もう一つAK原油がアジアに来ない理由がこのAlaskan North Slope原油の性質によるもので、簡単に言えば中質sweet原油であまり脱硫のいらない高品質の中質原油なため、中東原油の高硫黄油種に合わせた作りになっている日本も含めたアジアの製油所ではこういった”きれい”な中質原油はあまり相性が合わないことも理由にあります。上記のシャトルvesselも2年半に1回だけ、Dry Dockという船のメンテナンスでシンガポールに向かう機会があり、その際だけon the wayの日本や中国向けに売りに出しますが、それ以外は100%米西海岸に出荷されるわけです。そしてその西海岸はこのANS原油を元に製油所が設計されている経緯があり、西海岸製油所にとってはこの原油は製油所フィードの根幹となっています。次回はカナダ原油は何故バンクーバーから輸出できるのにアジアに来ないのかにしようと思います。 ja.m.wikipedia.org/wiki/エクソンバルディーズ号原油流出事故