沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆した事故を受け、船を運航する「ヘリ基地反対協議会」と連携する「オール沖縄会議」は17日、海上での抗議活動の自粛を決める一方、陸上での通常の活動は4月から再開すると発表した。だが、解決すべき課題は山積する。
今回は平和学習中に起きた痛ましい事故だが、令和6年6月には、名護市で抗議活動をしていた女性を制止した男性警備員が、ダンプカーに巻き込まれ死亡するという悲劇も起きている。
かねて危険な抗議活動の問題が指摘されていたが、オール沖縄会議が支持する玉城デニー知事や県議は事故当時の映像をかたくなに見ようとしなかった。事故原因の究明や安全対策に本来、イデオロギーは関係ないはずだが、「不都合な事実」に背を向けるような不誠実な対応だった。
今回の事故でも気がかりなことがある。抗議活動をしてきた女性が17日、慰霊のため、船が引き揚げられた辺野古漁港を訪れ、報道関係者を前に、亡くなった女子生徒(17)について「思いはきっと、『辺野古のこんな無謀な工事はやめてくれ』という意味で辺野古に来ていただいたと思う」と語った。
あまりに一方的な解釈ではないだろうか。
そもそも、先の大戦末期に始まった沖縄戦の実相を学ぶなら大いに意義があるが、移設工事の進む辺野古を見学することが、なぜ「平和学習」なのか。抗議者でもない高校生を小さな「抗議船」に乗せるという行為に問題はなかったのか。安全性は、いかに担保されていたのか。抗議活動を続けてきた人たちは今回の事故、そして突き付けられた問題と真摯(しんし)に向き合うべきだ。(那覇支局長 大竹直樹)