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イベント係員ランサーと腐男子アーチャー/Novel by ぐんちゃちゃ

イベント係員ランサーと腐男子アーチャー

3,647 character(s)7 mins

唐突に思いついたイベント係員のバイトをしているランサーと腐男子でサークル活動しているアーチャーのお話。当方サークル参加経験が無いので搬入部分などがおかしいかもですがそこはスルーしてください!←ちなみに、補足ですがサークル「赤い悪魔」では凛が主に話を考えてそれをアーチャーが描いてます。器用な彼なら絵だって描けるはず...!最後の方がなんか雑なうえ伝わりにくくて申し訳ないです...力尽きました...(殴)続きは需要があったら書きたいな~なんて。需要なんてないですねごめんなさいテヘペロ☆

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私の名前はエミヤ・アーチャー。
先に断わっておくが、私は腐男子である。
腐男子というのは、俗にいうホモを好みそれに準じた作品などを買い読み見漁り萌えを得るという人種だ。
腐男子というと、まるで本人までもがゲイであるという固定観念が働くであろうが、そんなことはない。
確かに現実世界においても男性に興味を持つ輩もいるが、決して皆が皆そういうわけではない。
実際、私はBL(ボーイズラブ=ホモ)を好みながらも現実世界において同性どころか異性にさえそういった感情を抱いたことはない。(それもそれで問題である)
つまり私は二次元でこそ萌えを探求できるのであって、その反対に現実世界には全くといって興味がないのだ。
そう、全く持って興味がない…はずだった。

なのに。

「…アーチャー?」
「…」
「…ちょっとアーチャー…アーチャーってば!」
「うわっ!?な、なんだね、凛」
「なんだね、じゃないわよ!さっきからボーっとして。お客様がお待ちなのよ!?」
「あ、あぁ…すまない」
「全く…あ、はーい。こちらの槍弓新刊一部ですね。ありがとうございます!」

凛の一声で漸く覚醒した私は、いつの間にかスペースの前にできていた列に並ぶお客を捌き始めた。
私と凛は、共にサークル「赤い悪魔」として同人活動を行っている。
基本流行りジャンルに流されず、自分たちの好むジャンルの同人誌を妄想のままに好き勝手に描き発行しているのだが、これがなぜか毎回なかなかに好評で気づけばそれなりの大手サークルと化していた。
自分たちの描くものが他者に理解され共感してもらえるというのは酷く嬉しいことなのだが、いかんせん私は男性であるためこの状況は未だに少しばかり恥じらうところがあった。
それでもこうして自らもイベントに参加しているのは、同志である者たちとの関わりがやはり心地良いのと、凛という主…パートナーの絶対的な命令があるが故だった。
そんなわけで、毎年恒例の祭典である「コミックマーケット」に今回も参加することのできた私たち赤い悪魔は渾身の新刊「真夜中の性杯戦争」を発行し配布作業をしているわけだが、私には他に気になって仕方がないことがあった。
それというのも…

「はーい、そこのサークル待機列のお姉さん方!ちょい列が長くなってきちまったから誘導に従って移動をお願いします!」

突然ざわめきの中に大きな叫び声が聞こえ、私は思わず自身の目の前にできている列の方へ目をやった。
すると、その列のすぐ横にコミケ(=コミックマーケット)係員専用のTシャツを着て腕を大きく振りながら列を誘導する青い髪をした男の姿があった。
他の係員と協力して私たちのサークルの待機列を手慣れた様子で見事に誘導するその男に、私はまたもや目を奪われてしまう。

彼の名前は知らない。
分かっているのは、彼がコミケやその他大型イベントの係員のバイトとして働いているということだけだ。
私が彼を見たのは去年の春。
同じく同人即売会のイベントで搬入作業を行っている時のことだった。

搬入作業を私に任せ、凛は一人さっさと会場内に一足先に同ジャンルの新刊を漁りに行ってしまっていた。
『全く…少しは手伝ったらどうなのかね』
送られてきた本たちを運びながら目の前に居もしないパートナーに一人文句を垂れていると、油断していたわけではないが会場の床の突起に足を引っ掛けてしまった。
『ッ…!?』
持っていた本ごと前のめりに倒れる。
手が塞がっているため回避をすることもできず、衝突の覚悟に目を瞑ったその時だった。
トサッ
『…?』
来たるはずの衝撃が一向に来ず、その代わりに何か温かいものに包まれる感覚がしてそっと瞑っていた目を開くと目の前には青い男が私を抱きかかえる形でそこに居た。
男が私を見てニッと笑うと同時に全身がカッと熱くなり、同時に今の状況の恥ずかしさに気づき思わず男を突き飛ばしてしまった。
『ってー!突き飛ばすことねぇだろ!』
『う、うるさい!このたわけが!』
『アァ!?せっかく助けてやったのになんだ、その言い草は!?』
『誰も助けてくれなど言っていない』
『…お前なぁ』
はぁと男は溜息を吐くと、私が持っていた本をひょいと奪う。
何事かと私が呆然としていると、振り返った男が言った。
『まだけっこう残ってンだろ?開始時間も近ぇし、手伝ってやるからさっさと運べ』
ぶっきらぼうにそう言うと、男はさっさと本を運びに行ってしまった。
『だから…別に誰も手伝って欲しいなどと言っていないのに…』
そう憎まれ口を叩きながらも、私はその後ろ姿から目を離せなかった。

それからだ。
彼が気になって、会場で見掛ける度に目で追ってしまうようになったのは。

しかしあれ以来声を掛けることは叶わず、今回もこうして遠目から彼の姿を見ることしかできない。
いや、別に彼の名前を知りたいとかもう一度彼と話したいだとか、そういった願望は一切ない…一切ない、はず…。
この燻る想いを持て余していると、凛に今度は頭を一発叩かれた。

「もう!ちゃんと働いてよね!?ほら、さっさと残りの新刊机に出して!」
「はいはい」

サークル名通りの赤い悪魔がビシっと指を指し、まるで主人が下僕に命令するかのように指示を出す。
私が仕方なくいつの間にか残部の少なくなっていた本を新たに取り出そうと背を屈めたとき、その声が真上から降り注いだ。

「あの~、おたくの待機列すげぇンで落ち着くまで俺が整備手伝います」

勝手ながらによく知ったその声と、粗野な言葉遣いに私は顔を上げることができなくなってしまった。
この声はそう…あの男の…。
途端に顔が熱くなり、ドクドクと体中をとんでもない速さで血液が巡る感じがした。
間違いない。
すぐ真横に居るのは、ずっと見てきたあの男だ。
「あぁ、そうなの。ありがと…ってアーチャー!何固まっているのよ!?早く新刊だしなさい~!」
「あっ、待、り…凛!」

痺れを切らした凛により、首根っこを掴まれ無理矢理上を向かされる。
その先にいたのは、予想通りのあの青い男だった。
こんなに近くで彼を見るのは、あの時以来だろうか…。
青く長い髪を後ろで束ね、白い肌に深紅の瞳をした彼の姿につい見惚れていると男がニッと笑った。
その姿に、思わず胸が高鳴る。

「あ、本並べるなら手伝いますよ」
「あ、あぁ…すまない」

他人行儀な言葉遣いに、今度は少しばかり胸がチクリと痛む。
彼はあの時のことを忘れてしまっているのだろうか…?
無理はない。
自分などきっと彼の記憶に留められる程の存在でもないのだから。
あの時からずっと彼を見てきて分かっていたことがもう一つ、それは彼がその言動とは裏腹に酷く優しい心の持ち主であるということだった。
この忙しい会場内で他の係員を労わり、サークル参加一般参加問わず困っていれば手を差し伸べる、そんな姿を私は幾度もなく見てきた。
今だって、面倒であろう列の整備をこうしてかってでてくれたのだからきっとそうなのだろう。
あの時のことも、彼には数多き親切の一つに過ぎないのだ。
だが、私は彼のそんなところが嫌いではない。
そう一人勝手に言い訳をし、改めて本を取り出そうと背を屈めた私に倣い同様にその長身を屈め机の下に覗かせた男の顔が不意に近づく。
その距離に、思わず肩が跳ねた。
耳元で男が笑い、その吐息が耳を掠める。

「よぉ、久しぶりだなアーチャー?」
「!?」
「お前、いつも忙しそうで声掛けられなかったンだけど…なぁ、イベント後に…」

ゴツン!
瞬間、痛々しい音が響き凛はもちろん列の先頭付近にいたお客が一斉にこちらを見た。
「っ~!」
「あ、アーチャー!?ちょっと大丈夫?」
驚きのあまり上げた頭が予想以上に痛み、ガンガンという音のようなものが脳内に響き渡る。
これはきっと頭をぶつけたせいだけではないのだろうと思いながらも、私はその事実を認められず「大丈夫だ、凛」と心配するパートナーに声を掛けることしかできなかった。
全く、この男はとんでもない奴だ。

「大丈夫ですか~?アーチャーさん」

…とりあえず、わざとらしく私の名を呼ぶこの男を後で存分に痛めつけてやろうと決意した。

(イベント後に、二人きりで会えねぇか?)

ここから何が始まるのかは、腐男子で描き手の私にも予想ができなかった。


続く…?


ちなみに


机の下でヒソヒソと会話する二人を列から見ていた腐女子たちがその目を光らせていたことを二人は知らない…。

お粗末様でした!

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