コスプレイヤーがアニメから「手書き文字」を切り抜き“自作グッズ化”で物議…文字に著作権は発生するのか?
「ロゴタイプに著作権はない」は不正確
さらに「ロゴタイプや印刷用書体などの文字には著作権がない」というネット上の意見について、前原弁護士は「やや不正確な認識」だと指摘する。 「たしかに、ロゴタイプや印刷用書体は著作権が認められるハードルが非常に高いとされています。 判断基準のひとつとして知られるのが、印刷用書体の著作物性が争われた『ゴナU事件』(最高裁平成12年(2000年)9月7日判決)です。この裁判では、印刷用書体が著作物と認められるには、従来の書体と比べて顕著な特徴を有する独創性を持ち、かつ美術鑑賞の対象となり得るような美的特性を備えている必要があるとされました。 ロゴタイプについても、『Asahiロゴマーク事件』(東京高裁平成8年1月25日判決)にて同様の判断が示されています。つまり、ロゴタイプのように文字の字体を基礎とするデザインは、美的創作性の高いものでない限り、著作物として保護される創作性を認めることは難しいというのが裁判所の考えです」 この基準を満たす印刷用書体は事実上存在しないのではないかといわれており、前原弁護士も、そのために「文字には著作権がない」という不正確な理解が広まったのではないかと話す。 「一般論としては、文字だけで構成された企業名などのロゴは、著作物として認められにくいでしょう。しかし、美術的装飾が加えられているデザイン性が高いロゴタイプには、著作権が認められる可能性があります。文字に関する著作権のルールは必ずしも明確に整理されているわけではなく、最終的な判断は個別事案ごとに検討されます」 印刷用書体やロゴタイプに著作権が認められにくいのは、文字が情報伝達に欠かせない存在だからだ。もし書体そのものに広く著作権を認めてしまうと、新聞や出版物などで文字を使用するたびに権利者の許諾が必要となり、社会に大きな支障が生じかねない。 「だからこそ、フォントを制作・販売している会社やクリエイターは、フォントデータをプログラム化して著作物としたり、購入時の利用規約(ライセンス契約)によって使用条件を定めたりする形で権利保護を図っています」(前原弁護士)