コスプレイヤーがアニメから「手書き文字」を切り抜き“自作グッズ化”で物議…文字に著作権は発生するのか?
先月放送されたインターネット番組「ABEMA PRIME」の放送内容が、SNSで波紋を呼んでいる。 【イラスト解説】著作権ってなに? いまさら聞けない基礎知識を紹介! きっかけとなったのは、2月25日の放送回にゲスト出演した女性コスプレイヤーの行動だ。女性は過去に、アニメ作品に登場する「手書き文字」を使った自作グッズを販売しており、その事実が番組内で指摘された。 女性が自作グッズへの文字の無断使用を認めたため、視聴者からは批判が殺到。 一方で「ロゴマークには著作権が発生しても、ロゴタイプや文字(タイプフェイス/フォント)には発生しないのではないか」との意見も見られ、議論が広がっている。 作品タイトルなどのロゴや、映像内に登場する手書き文字に著作権は発生するのか。著作権法に詳しい前原一輝弁護士に話を聞いた。(ライター・倉本菜生)
「手書き文字」に著作権が認められることも
問題となったのは、キャラクターのコスプレ写真と筆文字を組み合わせたアクリルスタンド(以下、アクスタ)だ。筆文字はキャラクター名が記されたもので、アニメ映像内で演出として表示される文字とデザインが一致している。 女性はこのアクスタを約2年前に制作し、コミックマーケットなどで有料で頒布(※同人イベントなどで作品を配布・販売すること)していた。 文字については、過去にSNSで「(文字は)アニメからそのまま引っ張ってきた」と投稿しており、映像のスクリーンショットなどから切り抜いて使用したものとみられる。 この行為は当時からSNS上で問題視され、女性は違反の可能性を認めてアクスタの頒布を終了していた。しかし、今回の番組出演を機に批判が再燃している。 こうした手書き文字に著作権は発生するのか。前原弁護士は「アクスタに使用された文字は、手書きのような字であるため書道作品に近い扱いとなり、著作権が認められる可能性があります」と指摘する。 「文字の著作権を考えるうえで重要なのは、その文字がどのような性質のものかという点です。 ネット上では『ロゴマーク』『ロゴタイプ』『タイプフェイス』『フォント』が混同して使われることもあります。ロゴマークはシンボルとも呼ばれ、企業や作品の理念などを図案化したマーク、ロゴタイプは企業名や商品名などの文字を装飾的にデザインしたものです。 一方、タイプフェイスは文字のデザインそのものを指し、そのデザインを特定のサイズや太さで表現したものをフォントといいます。タイプフェイスやフォントは印刷用書体とも呼ばれます」 そのうえで前原弁護士は、「今回問題となっている、アニメ内で使用されていた文字は、こうしたロゴやフォントとは性質が異なる」と説明する。 「筆で書いたようなかすれが見られ、書道のように個性が表れている文字といえます。書道作品は“飾って鑑賞する”という美術性から、著作物扱いとなるケースが多いです。今回の文字も書道作品に近いという発想で著作物と判断され、著作権が認められる可能性はあります。したがって、著作権侵害が成立する余地は十分にあると思います」 では仮に、著作物と認められた文字を手書きでなぞって使用した場合は、権利侵害を回避できるのだろうか。 「トレース行為は著作物の『複製』に当たるため、やはり著作権侵害が成立します。さらに、キャラクター名が商標登録されている場合には、無断使用による商標権侵害の問題も生じるでしょう」 前原弁護士によれば、もし著作権侵害等があるとして権利者が法的手段に出た場合、「損害賠償請求やグッズ頒布の差し止め、場合によっては在庫の破棄を求められる」という。 「ただし今回のアクスタは頒布が終了しているため、法的対応が取られるとすれば、損害賠償請求が中心になると考えられます。具体的な賠償金額は事案によって大きく異なるので一概に『いくら』というのは難しいです。なお、現在販売していなくても、過去に頒布していた事実があれば、損害賠償請求の対象となり得ます」