コスプレイヤーがアニメから「手書き文字」を切り抜き“自作グッズ化”で物議…文字に著作権は発生するのか?
同人文化を許容する公式への“敬意”忘れずに
二次創作やコスプレといった同人文化は、著作権法との関係で常に議論を伴ってきた分野だ。筆者も長く同人文化に触れてきたオタクの一人だが、かつては「グレーな行為だからこそ、公式に迷惑をかけないよう配慮する」という暗黙の了解が共有されていたように思う。 しかし、マンガやアニメの社会的認知が上昇し、同人文化も注目を浴びるようになった結果、同人誌やグッズ制作、コスプレに関するトラブルも目立つようになった。 今年1月に文化庁が公表したWEBページ「著作権について知っておきたい大切なこと」では、ファンアートなどの二次創作について「インターネット上で公開する場合、原則として権利者の許可が必要」と説明している。 一方で、実際にはクリエイターがファン活動として黙認しているケースもあるとし、利用する際は作品ごとのガイドラインの確認が重要だとしている。 ファンが安全に楽しく同人文化を楽しむために気を付けるべきポイントについて、前原弁護士はこう語る。 「二次創作やコスプレは原作あっての活動です。法律に基づくなら、同人誌の多くは著作権侵害に該当するでしょうし、コスプレも基本的にグレーゾーンです。 本来はいつ禁止されてもおかしくないところを、権利者側の『みんなに楽しんでほしい。作品が流行ってほしい』という寛容な心から許されています。 それなのに、作品を好き勝手に使って利益を得るのはダメですよね。同人活動をする際は、公式からお目こぼししてもらっているんだという意識を持って、作品に敬意を払って楽しんでほしいと思います」 SNSでは、完成度の高い二次創作やコスプレが人気を集めることも珍しくない。大勢の人から評価されると、つい「自分の実力が認められている」と感じてしまうこともあるだろう。 しかし、その人気の土台にあるのは、原作やキャラクターの魅力だ。同人活動はあくまで「借り物の世界」の上に成り立っている。そこを取り違えてしまうと、大きなトラブルにつながりかねない。 原作が好きだからこそ、二次創作やコスプレで愛を表現する。文化の原点を忘れず、作品への敬意と節度を持って楽しんでほしい。 ■倉本菜生 1991年福岡生まれ、京都在住。龍谷大学大学院にて修士号(文学)を取得。専門は日本法制史。フリーライターとして社会問題を追いながら、近代日本の精神医学や監獄に関する法制度について研究を続ける。主な執筆媒体は『日刊SPA!』『現代ビジネス』など。精神疾患や虐待、不登校、孤独死などの問題に関心が高い。
倉本菜生