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べオウルフがエミヤをあんちゃんと呼ぶとクーフーリンが困る/Novel by 乾パン

べオウルフがエミヤをあんちゃんと呼ぶとクーフーリンが困る

6,389 character(s)12 mins

オペレーター嬢に粉かけてたというエミヤさんとオペ子さんの話を考えていたら真坂の贋作者イベ復刻で歓喜乱舞v→仕事忙しくなる→マテリアルでベオウルフの「気に入らないが気に入った」に滾る→バレンタインイベ復刻で狂喜乱舞→仕事忙しくなる→セイバー復刻で狂気乱舞→仕事忙しくなる(今ここ)

…3月にUP出来ればよかったのですが、上記の理由でズルズルと遅くなりこの体たらく…

全年齢ですが腐向けです。
腐向けです。大切な事なので2回言いました。
最後の最後に槍弓(付き合ってない前提)な表現があります。

あとオリジナルオペ子が出てきます。

沢山のブクマそして感想有難うございます!
オリジナルオペ子出す時点でこんなに感想を頂けるなんて思っていなかっただけに感謝しか御座いません!
有難うございます!

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べオウルフがエミヤをあんちゃんと呼ぶとクーフーリンが困る
~カルデアオペレーター嬢の事情~


彼女にとってその日は厄日だった。

元々国連所属のオペレーターとして勤務していた彼女は、その能力を買われ辺境の地、カルデアに派遣となった。
初めこそ稀有な職場への移動に心躍らせたが、実際は左遷と変わらぬ人外魔境。
それでも結果を出そうと様々な情報の管理報告を行っていた彼女はある日恐怖のどん底に叩き落とされた。

それは『人理焼却』。
2016年以降の人類史が焼却されたという恐るべきものだ。
更には人為的に引き起こされたカルデアの物理的破壊。
唯一人のマスター適正者を除いてほぼ全員優秀な『魔術師』が重体、危篤状態に陥った。

何より、世界の滅亡から取り残された通常能力者の己たち。
助かったとはいえ、外からの補給も救助も望めない、時空と時間から取り残された無力な漂流者だ。
更には技術経験者、魔力保持者、有力、有能な技術者術式者が軒並み不在と言う深刻な状況。
知識の乏しい己らが血眼になってこの施設を運用している状態だ。

しかも頼みの綱の人類最後のマスター適正者は専門知識に乏しく魔術においても素人同然。

そして何よりおぞましいのが「サーヴァント」と呼ばれる過去の英霊たち。
英霊と言えば聞こえは良いが要は幽霊だ。

そんな幽霊亡霊を足りないスタッフの替わりに召喚するという。
正気ではない。
寧ろ狂気の沙汰だ。

 ルネサンス期の天才を自称する技術部のトップ。
 「おかあさん?」とすれ違うスタッフの顔を一人一人覗き込みながら暗い瞳で問いかける子供の幽霊や
  唸り声を上げながら岩の斧を持ってうろつく大男の幽霊、
 「じゃんぬぅぅう」と叫びながら魚の様なギョロっとした目を爛々と輝かせる魔術師の幽霊。
見かけは人の英霊達も、各々武器を携え、何処かしら人間ならざる匂いがする。
そんな人外の魑魅魍魎と廊下ですれ違うなどもはやホラー映画だ。
そして止めの一撃が彼女を襲う。

資料を両手いっぱい抱え、小走りにDrロマニの元に急ぐ彼女は軽い眩暈を覚えて手元の書類をいくつか床に落とした。
それを拾い集めていると背後からに声が掛けられる。
「よぉ忙しそうだな嬢ちゃん」
大丈夫か?と声を掛けてきたアイルランドの英霊は見かけこそ美麗だが
人間ではあり得ない青い髪、そして深紅のその瞳の瞳孔は猫の様に縦に切れている。
その瞳孔が獣の目の様にキュウっと細まるのが見えてついに彼女はフっと意識を手放した。

限界であった。



逃れようとも逃れられぬ悪夢にうなされながら眼が覚めれば医務室のベットに横たわっていた。
起き上がると隣の部屋に居たドクターが顔を出す。
「よかった、クー・フーリンが血相変えて君を連れて来た時はどうなるかと思ったけど無事で何よりだ」
人をホッとさせる笑顔を浮かべてロマニが背後に声をかける。
「すまないねエミヤ、後はお願いしていいかな?」
「ああ、ドクターも無理をしないようにしてくれ給え」
答えた男は白髪頭の若者だ。
黒のインナーにカルデアの職員の上着を羽織っている。

「具合は大丈夫かね?」
と声を掛けられ「あ、はい御心配をおかけしました」
と答えると、何か温かい物でも入れようと隣の部屋に引っ込んでマグカップにミルクココアを淹れてきた。
礼を言いながら受け取り一口啜ると、得も言われぬ香ばしさと甘さに安堵感が胸に湧き上がる。

それにしても生き残った職員に彼ほど特徴的な容姿の者が居たか。
そこまで考えて「あまり根を詰めない事だ、何かあれば我らを頼ってくれ。」
そう優しい笑顔を向けられてホッとした瞬間、張り詰めていた糸が切れた彼女はマグカップを抱きしめて号泣していた。

エミヤという職員はベットの隣の折り畳みイスに腰かけ彼女が落ち着くまで優しく頭を撫でていた。


随分時間が過ぎ、落ち着きを取り戻した彼女が礼を言おうとした時、そこにマシュ・キリエライトが顔を覗かせた。
「エミヤ先輩、マスターが探していました…がちょっと遅れると伝えて置きますね?」
そうニコっと笑って部屋を後にした。
彼女が先輩と呼ぶという事は…
「エミヤさんて若しかして…英霊ですか?」
「ん?ああ、紹介がまだだったな、英霊エミヤだ。近代の英霊でね、機械工学がちょっとだけ得意なんだ」
己を英霊と称した男だが、不思議と恐ろしさは感じない。

柔らかく笑うこの男の淹れたココアは胸のつっかえをすっかり解きほぐしてくれた。
この時点で彼女の中の英霊へのわだかまりは僅かだが減り始めた。

職場に戻る途中、出くわしたクー・フーリンにも医務室に運んでくれた礼を言うと
「嬢ちゃんも無理すんなよ」
と笑い軽く手を振ってくれた。

それでも、英霊全てというと、全く抵抗が無いというのは嘘だ。
恐ろしい物はどうあっても恐ろしい。

それでもその英霊に頼らざる得ないのが今のカルデアだ。

そんな心許ない日々が続いたある日の深夜、当直が回ってきたその日。
たまたまメインフレームのシステムエラーが続き、プログラマー達がオペレーター室を開けていた時、
行き成り自分の使っていたパソコンからピーピーとエラー音が鳴り始めた。
強制終了をしても全く戻らず画面も黒いまま、小一時間格闘して半泣きになっている所に大量の洗濯済みのシーツを抱えたエミヤが顔を出した。
途端にオペレーター室に爽やかな柔軟剤の匂いが広がる。
この近代の英霊は、機械修理、家事全般にも精通しており、嗜好品の少なかったカルデアの食生活の質をぐんと向上させた功労者でもある。

以前助けられた英霊の出現にホッと安堵が滲み出る。

「ビープ音がしてると思えば…一体どうしたのかね?」
それにコレコレシカジカと説明すると「恐らく、メモリーモジュールに異常があるのかもな、見せて御覧」
と言われて席を譲るとエミヤは筐体に手を置き「トレース」と呟いた。

「うん…やはりメモリーボードがソケットからズレているようだ」
プラグを外すと、残りの電力を放電させ、本体のカバーを外し、件のボードをユックリ外す。
いつの間にか手にしたパソコン用のジェットブローで中をさっと掃除をするとソケットに差し替える。
「基盤に伝導性のゴミが溜まると稀に振動が起きる事がある、それが繰り返されるとずれる事もあるさ」
電源を入れ再起動をすると、強制終了からのエラー回復処理の画面に代わり通常起動画面へと変わる。

「それにしても、オペレーター室に職員が一人しかいないというのは頂けないな。」
開いたパソコンのシステムチェックをしながらエミヤが言う。
「今日はたまたまです、メインのコンピューターの調子が悪くてエンジニアの皆はそっちに掛りきりだし。」
しょうがないですと笑うと
「それでも職員は必ず2人以上で行動すべきだな、カルデアは今通常の空間と切り離されているから、外部からの侵入などは無いだろうが、不測の事態が起きてからじゃ遅い」
ダヴィンチちゃんにも進言しておくか、そう呟くように言う。

「さて、ローカルディスクのクリーンアップも無事に終わった、少しは動作も軽くなっているはずだ。」
言われてマウスを操作すると、以前よりスムーズに動いている気がする。
改めて礼を言うと
「君はまだ休めないのかね?」
と聞かれて
「今日は当直なんです、朝9時に交代予定ですから、あと6時間ですね…」
と時計を見ながら呟くと
「では夜食を用意しよう、深夜の食事は控えた方がよいと言われるが、脳の栄養が足りなくては良い仕事が出来ないだろう」
因みに当直は何人だね?と聞かれて4人ですと答えたら
「分かった、彼らの夜食も用意しよう。」
そう言って食堂に赴いたエミヤは30分後、トレーにミルクティと青い花柄の可愛いオーバルプレートに手のひら大のワッフルを幾つも盛って戻ってきた。
それをミーティングテーブルに置くと「こんな物しか用意できなかったが…」と肩をすくめて見せた。

礼を言いながらワッフルをパクリと口にする。
外はこんがりと、中はフワっとしていてほんのり甘い。
口にしたミルクティは甘さ控えめながら、味わい深く、胸の奥から疲労が抜ける様だった。
ほう、と溜息と共に安堵の息を吐き「美味しいです!」と言うとエミヤは「喜んで頂けて何よりだ」と笑う。
戻ってきたスタッフもワッフルに舌鼓を打ち、その日から当直に当たれば夜食が出る様になり職員達のささやかな楽しみとなった。

この時から彼女は時間を見つけてはこの近代の英霊に声をかけて、話を聞いてもらえないかと持ちかけ、そしてよく話した。
話は正しく世間話。
日々の相談から、世話になった英霊の事等。
他の職員も話に加わる様になるのに時間は掛からなかった。

そんな或る日、非番明けの彼女はオペレーションルームに向かう廊下でクー・フーリンにばったり出会った。
「お疲れ様です、えっと、ランサーのクー・フーリンさん」とペコリと頭を下げて挨拶をする。
「今日は非番なんでな、別に疲れちゃいねえが、嬢ちゃんは今から仕事かい?」
「はい、昨日一日お休みを頂いて、この通りすっかり元気です。」
ボブカットの明るい色の髪をふわりと揺らして微笑むとクーフーリンはニカッと笑う
「やっぱ美人の笑顔はイイねぇ、やる気が出るわ」とからからと笑う。
「アラ?今日非番じゃないんですか?」と意地悪く突っ込むと「言葉のあやだ、なんだ元気イイじゃねえか」と機嫌よさそうに更に笑う。

「それにしてもサーヴァントにも非番の日が有るのですね」と聞けば
「あぁ、前は少ないメンバーでレイシフトしていたが随分とサーヴァントの数も増えたしな、逆に無駄な電力を使わねぇ為にも非番を設けているんだと。」
留守番するコッチは暇でつまんねぇけどな、と口を尖らせるとオペレーター嬢はクスクスと笑った。

そんな彼女の笑顔を見ていたクーフーリンはホっと安堵のため息を付くと「前は悪かったな、怖い思いをしちまったろう?」と頭を掻いた。
「え?何がですか?」と返す彼女に「以前お前さんが俺見てビビって倒れちまった時の事さね」と言えば
彼女はコロコロと笑うと「大丈夫です、驚いたのは確かですけれど、エミヤさんからクーフーリンさんの神気に当てられたからだって聞きました。」
くだんの弓兵は「彼は半人半神でね、強い神気を纏っている、通常であれば何も問題は無いが、心身が弱っている時はああいう類の神気に体が付いていかない事もある、きっと君もそれに当てられたんだろう」と言っていたという。
「サーヴァントも元は人間ですし、『英霊の大半は人生の先輩だ』って言われれば確かにそうですものね」

どうやら赤い外套の弓兵はカルデアのスタッフとサーヴァントの橋渡しをしているらしい。
全く面倒見の良いお人好しの弓兵らしい話だ。
面白くなさそうにフンと鼻息をつくクーフーリンに申し訳なさそうにオペ嬢が聞く。
「今度お礼にエミヤさんの好きなもの渡そうと思うんですが、何か御存じありません?」
「そうさな、アイツの好物って言やぁ『人の世話』や『人が喜ぶ事』全般だからなぁ」
「難しいですね…」
「まぁ一番いいのはヤツをこき使って礼を言ってやる事だな」と肩をすくめる槍兵に
「それじゃぁ意味無いです」とオペ嬢は溜息を付く。

其処に噂の弓兵がベオウルフと共に歩いて来るのが見えた。
ベオウルフは北欧の口碑伝説に材を取った、指輪物語など様々な物語の原点となったとされる叙事詩の英雄だ。
クラスはバーサーカー、全身に傷跡を持つ狂戦士である。
そんな筋骨隆々な大男を前にオペ嬢が固まる。

言葉を失うオペ嬢に気がついたのかエミヤが声を掛けてきた。
「やぁ君か、今から仕事かい?お疲れ様。」あれから身体の調子はどうかな等気遣う言葉が続いたその直後、視線はオペ嬢の後ろに向けられた。
「ところでランサー、この非常時にナンパとは実に君らしい。恋多きクー・フーリンの面目躍如と言った所か?」
赤白が皮肉気に口の端をニィっと上げると右手を腰にあてがい、好戦的にねめつけてくる。
「あぁ?巫山戯た事抜かしてんじゃねぇ、っとに一々皮肉言わなきゃ死ぬのかテメぇはっ」
青が怒りを隠そうともせずに手にした赤い槍をブンと一回しし牙を剥く。

「お前ら、暴れ足りんのか?いいぞ俺が相手になってやろうっ」
何故かノリノリで会話に加わるベオウルフ。
瞬間エミヤの顔が真顔になる。
「すまない、つい、駄犬を見ると口が滑ってね。」
「てめ!誰が駄犬だっ!手前こそ小間使いの真似事なんぞしやがって、英霊の名が聞いて呆れるぜっ」
「ほう、では君は食堂で出される食事は不要と言う事だな?あい分かった、その旨ブーティカ達にも伝えておこう。」
「てめぇ!」
「私は『てめぇ』という名では無い。やはり原始人は言葉も通じないか、いや君が喋るのは犬語だったかな?」
そう、口ではランサーを愚弄しながらも、目は生き生きとしているアーチャー。

その時、彼女は気が付いた。
いや、気が付いてしまった。

エミヤがこのような態度を取る相手は目の前のランサーのクー・フーリンのみである事に。

今までエミヤが彼女に紹介して来たどのサーヴァントにも彼は一定の距離を保っていた事に。

兎に角今の流れを変える為にオペ嬢は無理やり話をねじ込む。
「ところでエミヤさん、一緒に来られたサーヴァントは誰ですか?」
盛大に話の腰を折った。

我に返った槍兵と弓兵はふっと視線を外す。
そしてエミヤはその続きを受け取ると
「彼はベオウルフだ、様々な物語の原点ともいえる最古の叙事詩の主だ」
「ナルホドです…」
今一ピンと来ずに曖昧な返事をすると
「先日、ドラゴンステーキが食堂のメニューにのった事が有ったろう?彼はドラゴン捕獲の功労者さ」
とエミヤが付け加えた。

そこでオペ嬢がポンと手を打つ。
「ああ!ステーキの人ですね?凄く美味しかったです!」
御馳走様でした!とにこやかに答える彼女をジッと見ていたベオウルフはバッと勢いを付けてエミヤに視線を移すとエミヤは慌てて眼をそらす。
そんな姿を目にしたベオウルフはニヤリと笑うと
「…そうだ、ステーキの人だ」と答えてエミヤの首を右腕でガッと抱え込むと頭を左手で万力の様にしめ始めた。

「ま!まてベオウルフ!!」
ギリギリと音がしそうな程に締め付けるその手をエミヤが懸命にぱしぱしと叩く。
「あーついでにあのステーキの和風ソースと付け合わせは、このエミヤのあんちゃん作だ。」
ベオウルフが凶悪な笑みを浮かべながら更に手のひらに力を込める。
「ステーキの人か、気に入らんが気にいった、取りあえず殴る」
「これはアイアンクローだっ!」
「ようし解った、あんちゃん覚悟しろ」
「っ!」
懸命にベオウルフの腕を叩くエミヤ。
鬼人の表情でその白髪頭を締め付けるベオウルフ。

そんなエミヤとベオウルフの姿を見るクーフーリンの顔は実に面白くなさそうである。

きっとランサーの彼がエミヤにこのような事をすれば腕を叩くくらいでは済まないだろう。

しかし、だからと言って決して不仲と言う訳ではない事も知っている。
気づかぬは本人同士のみ。

其処まで邪推してオペ嬢は「じゃ、取り込み中みたいなので私は失礼しますね」と爽やかに挨拶をしてその場を後にした。

流石に馬に蹴られる趣味は持ち合わせていない。
まぁ、とオペ嬢は胸の内で一人ごちる。

己の思いに気が付いた弓兵の相談ぐらいは乗ってあげよう。
それがせめてもの恩返しであると。

fin

Comments

  • 華玄
    July 1, 2018
  • あるって
    April 21, 2018
  • そー
    April 14, 2018
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