light
pixiv's Guidelines will be updated on March 18th, 2026.
View details
The Works "クー・フーリンの白鷹" is tagged "槍弓" and "オリキャラ".
クー・フーリンの白鷹/Novel by 紅月@ゆっくり更新

クー・フーリンの白鷹

12,300 character(s)24 mins

フォロワーさんに下さいされたのでお捧げします!!!
一部盛大に出張っているのがいますが槍弓ですよ!!!!!
ハピエンです!!!!!雰囲気で読んでくださいね!!!!!

1
white
horizontal


取りこぼされたのはきっと呪いだった。

落とされたのはきっと殺意だった。

失われたのはきっと嫌悪だった。

だから彼は私を好いたのだ。


――――――――――――――――――

「へぇこれが英霊か」
「君が私の『マスター』かね」
「おう!」

そいつは英霊と言う人でも神でも妖精でもない存在らしい。どうしてそんなのがいるのか難しくて理解するのが面倒くさくて、説明しようとするのをとめた。ただ、こいつを喚ぶのにかなり例外的なやり方をしてるらしく、英霊だというのにその能力には制限が掛けられているらしい。詳しくはこいつもドルイド達も教えちゃくれなかった。こいつはオレのために喚ばれたオレの従者なのだという。神の血を引くオレは他人よりも強いから、本気で暴れたくなったらこいつとやり合えと言われた。魔力があって核が壊れなければいくらでも修復できるかららしい。らしいばかりなのはオレはこいつと会ったばかりで、こいつはこいつでこの召喚に納得していないのかオレとも周りともあまり話さないからだ。こいつの名前は教えられていない。

「ゴヴァンと呼ぶことにした」
「了解した」
「フランと迷ったんだが、アンタ、明るくはねぇからな」
「そうか」

ゴヴァンは白い鷹という意味の名だ。フランは明るい赤。こいつは赤を身に纏うからフランにしようかと思ったが、見た目もそうだが中身もなんとなく明るくはないんだろうというのが数日観察した結果だった。ならばなぜゴヴァンなのか、それはつい昨日の事だがこいつと初めて手合わせを行った。白と黒の不思議な形の対剣を両の手に持ち、赤の腰布を翻し舞踊るようにこちらを翻弄し仕留めにかかるその姿は、正しく空の王者に相応しい姿だった。そして、鋭い目をしたコイツの目の色が何よりもオレの記憶に焼き付いた。オレをこのオレを通して誰かを見ているこいつの目が、何よりも腹立たしかった。初手からおかしかったのだ。オレの動きに反応してではなく既に知っていると言わんばかりの動きをする癖に、自分の知っているタイミングとオレの動きが違うのに苛ついた顔を一瞬だけしてみせた。すぐにそれはオレに合わせて修正されたが、結局は終始オレが翻弄されて首に剣を突きつけられて終わった。その時のこいつの表情は勝ったくせにまるで負けたかのような顔で、ふざけるなと怒鳴りたいのを堪えたオレを褒めてほしい。相変わらずこいつは必要最低限以外話すつもりはないならしい。

「ゴヴァン、ゴヴァンはどこだ!」
「なにかね、騒々しい」
「お前の魔術を見せろ」
「今まで何度も見せただろうに」
「違う!姫さん達が魔術のように美味い甘味を作ってくれたと言っていたぞ、オレにも寄越せ」
「人に頼む時の礼儀は教えたはずだが?」
「……オレニモクダサイ」
「了解した」

ゴヴァンとの付き合いも長くなった。クランの番犬を殺してしまう前からいたゴヴァンはオレが影の国に旅立った後、その召喚を解かれるはずだったのをオレが介入して引き止めた。オレはたまたまその話をドルイドがしていたのを聞いてしまっただけだ。今はオレの魔力で現界しているが、相変わらずゴヴァンの全力を引き出せたことはない。ゴヴァンは君相手に手を抜くだと?馬鹿にしているのかと言うが、そうじゃない。ただ未だにオレを通して誰かを見ているから、オレを見ろと言いたい。貴様は誰を見ているんだと、ゴヴァン本人に聞いたことは、一度もない。聞いてもおそらく答えは知り得ない。こいつはきっと誰とは言わないんだろう。付き合いが長くなれば分かることもある。こいつがオレを通して見ているのはオレに似た誰かだ。ゴヴァンがオレの髪を整える時、オレの食事を珍しく作る時、オレと二人で背中合わせで戦う時、時折慈愛と一欠片の諦念を内包する目をする。そして、その目は必ずオレを通した誰かを見ているのだ。

「私は長くこの地に居すぎたんだ」
「だからといってなぁ、ふざけんな」
「私が、私の存在が君の生涯を歪める。本来ここに私は存在し得ない。だというのに居続けた、故にそれを世界は拒絶する。さぁ『マスター』魔力を回せ、魔力を燃やせ、その槍で茨の呪いを刺し穿て、貴様の望んだ二度とすることはない最高の一騎打ちをしようじゃないか」
「ああ、クソ。ならば最後に教えろ、貴様はオレを通して誰を見ていたんだ」
「そ、れは……内緒だ」

ああズルいやつだ。本当に最後まで何も語らず、何も知らせず、何も答えずに行ってしまいやがった。最高の一騎打ちをと言ったくせに、あれは最後まで手を抜いていた。オレは知っている、あれは奥の手をついぞ見せなかったことを。弓兵として戦うに最適なスキルを持っていながら白兵戦に最後まで徹していたことを、オレが魔力を渡して現界している時でも制限が掛けられていた事を!全部知っていた。本当にズルいやつだ。あれは刺し穿つことすら許さず、オレに首を刎ねさせた。

Comments

  • 月城 紗弥
    June 28, 2023
  • ソラト
    December 19, 2018
  • 沼落ちロベリー
    December 7, 2018
Potentially sensitive contents will not be featured in the list.
© pixiv
Popular illust tags
Popular novel tags