配当所得の申告、課税所得が配当含め695万円以下なら検討を
投資家のための確定申告ガイド2026(4)
インフレが続く中、資産の目減りを株式投資の配当収入でカバーしようと考える人は増えている。また、企業の株主還元姿勢の強まりもあって、高配当株投資の人気は高まる一方だ。
株式の配当や公募株式投資信託の分配金などは「配当所得」として扱われ、受け取る際に20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)が徴収される。とはいえ、人によっては、確定申告した方がお得になる場合もある。
上場株式等の配当所得の課税方法は上図のように3通りある。申告が必要なのは、②の申告分離課税と、③の総合課税を選択した場合だ。上場株式、公募投信、特定公社債等といった「株式グループ」で売却損を出した人は、配当所得を申告して損益通算すれば、税金の還付を受けることができる。その場合は申告分離課税を選ぶ必要がある。
一方の総合課税は、他の所得と合算して税額を計算することになる。総合課税を選択すると配当控除が受けられるので、下のコラムにある「正味税率」が配当の源泉徴収税率より低い人は申告した方が有利だ。逆に高額所得者が総合課税で申告すると、税率が上がって所得税や住民税の負担が重くなってしまう可能性がある。
申告した方がいいのは配当所得を含む課税所得が695万円以下の人、株式投信なら上表の茶色い線で囲った部分に該当する投信で、配当所得を含む課税所得が330万円以下の人だ。ただし、申告して配当にかかる税金は減ったとしても、所得が増加して国民健康保険料などの負担が増え、トータルでは損になる場合もあるので気を付けよう。
二重課税の税金を取り戻す
米国株や米国上場のETF(上場投資信託)、米国籍の投信などの配当金は、日米で二重課税されている場合がある。その際、申告して「外国税額控除」を受ければ、米国での課税分を取り戻すことができる。ただし、NISA(少額投資非課税制度)口座での取引は、外国税額控除の対象外だ。
外国税額控除には上限があり、米国で徴収された税金が全額戻るとは限らない。所得税では、その年の「外国所得税額」か「所得税の控除限度額」のいずれか少ない方が控除される。なお、控除し切れなかった場合や控除の枠が余った場合は3年間の繰り越しが可能となっている。
(ライター 森田聡子)
[日経マネー2026年3月号の記事を再構成]
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