沖縄県の米国ワシントン駐在事務所が株式会社として設立され、日本の国内法に反して運用されていた問題で、設立を支援した米国の法律事務所の弁護士が7日、県議会百条委で、株式会社以外の形態では駐在事務所を設立できなかったと陳述した。県の出先機関が株式会社を〝偽装〟せざるを得なかったのは、一自治体が政治活動目的の組織を米国に設立する取り組みそのものに無理があったためとみられる。
駐在事務所は2015年、当時の翁長雄志知事が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を米国内で発信するため設立した。知事選の公約でもあり、設立は翁長氏の政治的な実績アピールという側面が色濃かった。
百条委で現地法律事務所の弁護士は、株式会社の形態で政治活動を行う事例が米国ワシントンで一般的に存在するか問われ、回答を避けた。だがそもそも、自治体の業務に政治活動は予想されておらず、県の駐在事務所設立が特異な事例だったことは明白だ。
弁護士も、自身としては初めて経験したケースだったことを認め、法人形態としてはさまざまな選択肢があったが、株式会社以外は実現不可能だったと説明した。
県は米国の政治家や政府機関に対して十分なコネクションを持たないため、実際に辺野古移設反対を訴える活動は、県の委託を受けた現地コンサルタント会社のワシントン・コア社が全面的にサポート。駐在事務所の業務は事実上、同社に丸投げされただけでなく、現地の入出金管理などの業務も同社が担った。
過去に百条委で証言した駐在事務所の幹部は、こうした経緯から駐在事務所が米国政府に法人としての実態を疑われるリスクを懸念したと明らかにしている。駐在事務所の存在が事実上、有名無実化していたことを示唆するものだ。
年間約1億円の経費が投じられてきた駐在事務所は何のために必要だったのか。
2025年6月に閉鎖された駐在事務所について、玉城デニー知事は2026年度県政方針で「基地問題のみならず経済・観光・文化、うちなーネットワークの継承・発展、南米における取り組みとの連携など、幅広い分野での活動に向けて、高い透明性を前提に新たな体制を構築する」と再開に意欲を示した。だが設立経緯などを振り返れば、再開には慎重であるべきだ。(沖縄八重山日報 論説主幹・仲新城誠)