戦場に捨てられた男【第5次槍弓】
軍人パロです。朝っぱらに突如思いついたネタですので、この先とか特に考えてない。誰かこの先書いてくれませんかね?いや、この先とかあるのかな…?てか、槍弓で正しいのか??それすら分からないんですけどー!うん、後階級とか、国の情勢とか、戦争の状態とか、全部なんとなくのノリで書いたので細かいとこは無視でノリで読んでください。でも、この先あったら面白そうだなぁ…誰か…←【追記】2/16ルーキー12位有難うございます♪ヽ(´▽`)/ 朝急に降ってわいたネタ故にこんなに評価されるとは…ブクマも有難うございます!あと相変わらず誤字すいません。
で、これの続きとか、所望されてます…?需要あるなら、か、考えます…
【追々記】え?2/17、ルーキー1位…?( ゜Д゜)…((((;゜Д゜)))あ、有難うございます!続き…つまらなくなりそうで怖いんですが…ちょっと書いてみます…
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軍人パロですが、ノリで読んでくださいね←
建物には火の手が上がり、周りは煙に包まれていた。腹部には先ほど崩れてきた瓦礫によって受けた傷からでたであろう血がじんわりと軍服を染めていく。もともと黒の服でも、変色しているのが分かることがどこか滑稽で、口元に笑みが浮かんだ。
逃げ場など何処にもありはしない。炎に行く手を阻まれ、後ろから迫りくる敵に、その時を悟った。
それと同時に懐に忍ばせていた薬へと手をかける。もし敵方に捕まるようなことがあればと渡されていたそれを、躊躇うことなく口に含んだ。部下である者たちはもう逃がしたのだ、思い残すことはない。
ただ己が捕まることで、己の大切にしている者たちが傷つくようなことがあっては決してならない。その思いだけで、行動に移すことは何と容易いことか。
その薬を渡された時の戸惑いなどなかったかのように溜飲した。なぜか鮮明に喉が鳴る音が聞こえた気がした。
煙に巻かれたせいか、出血からか、意識はすでに朦朧としていた。立っていることも億劫で、近くの壁に背中を預けて、そのまま力なく座りこんでしまう。
誰かの叫ぶ声が聞こえる。聞きなれぬ声から、それが敵であることは明白だが、もう剣を振るうだけの体力は残されてはいない。
炎に巻かれるのが先か、敵に見つかり殺されるのが先か。捕虜となったところで、もう自分には何の価値もないのだが。
『シロウ!必ず、生きて…!』
霞む視界の向こうに一人の少女が見えた。必死に叫ぶ声を聞いたものの、ただ謝罪だけが頭をよぎるばかり。
「約束は、果たせそうにないな…すまない… 」
名前を呼んだような気がするが、それは音になることはなく、ただ周りの音にかき消されていく。
とても大切で、愛おしいと思っていたであろう相手だったと思うのに、顔は思い出すことができない。
そんな自分にさらに自嘲が浮かべば、落ちてくる瞼を抗うことなく閉じた。
これが、今の『己』との別れであることを、はっきりと理解して。
「初めまして?エミヤシロウ少佐」
武器の所持の有無が分かるようにとズボンのみをまとった状態で後ろ手に腕を縛られたまま連れて来られた男を見降ろし、ランサーという字を持つ、クー・フーリンは笑みを浮かべる。
目の前につれて来られた男は、今ランサーの国と戦争にて敵とも呼べる国において、その名を知らぬ者はおらぬといわれる、砦の守護者。
男の国の砦を守り続けていたのだが、このたびランサーの率いる部隊がその砦を落とした。
そのさい、この男は部下をすべて逃がし、一人砦で応戦を続けたというのだから、称賛に値すると、ランサーは考えていた。自分一人の死と引き換えに、部下も、そして国すらも守ろうとした男。
しかしこうして捕虜として捕らえられてしまっては元も子もあるまい。自害して情報を漏らさぬようにするのが賢明ではないかという中で、男は生きて捕らえられてしまったのだから。
「……」
「なんだ?だんまりか?つまらねぇな…お前のことは前から聞き及んでたからな、ぜひ一度手合せでもと思ったんだが…」
服を脱がされているとはいえ、腹部には白い包帯が巻かれている。情報を聞き出すまでは殺してしまうわけにはいかないから、という大義名分で治療をさせた。
男はそれだけあの国において重要な地位に就いていただけではなく、要ともいえる存在であったのだ。
その名を聞いて以降、ランサーは男に会うのを楽しみにしていたのだ。
だが、この目の前に出された男は、敵を前にしているというのに、殺気ひとつみせず、あまつ自分が置かれている状況が分からないとばかりにランサーを見つめてきた。
「すまないが、先ほどのエミヤ、というのが、私の名か?」
「は?」
「此処につれて来られる前から言っているのだが、私は何故此処にいるのか、それすら分かっていないんだ。すまないが説明をもらえないだろうか」
「お前、何を言ってんだ?」
男があまりにも真剣な眼差しでランサーを見上げてくるためか、緊張に張りつめた部屋の中で、思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
捕虜になったからには、己の行く末がどうなるかなど、軍人であれば大体わかっているものだ。
だというのに、男はまるで自分がこの先どうなるのか、想像もつかないといわんばかりの表情で見上げてくる。その表情には、嘘も偽りも見えず、逆にランサーが眉を寄せる羽目になった。
「これは、どういうことだ…」
「中佐、これはおそらく…」
返答をもらえない男はなおもランサーを見上げてくるが、それは今気に留めるほどのことでもない。
小さくうなり声をあげれば、男を連れてきた兵士の一人が重々しく口を開いた。そして、その内容にランサーは驚きに目を見張ることとなる。
「記憶を、消す薬だ?」
「はい。そのようなものがあると、聞いたことはあります」
「捕虜が情報を漏らさないため、だろうが…なら毒を盛ったほうが早いだろ。なんでそんな回りくどいことを…」
「おそらくは、殺すには、惜しい人材だから、ではないでしょうか…?」
「なるほど…情報を持たないとはいえ、安易に殺すには確かに惜しい男だ。向こうも、そして、こちらとしても…」
頭の上で交わされる言葉に意味が分からないとただ眼を瞬かせる男と兵士を交互に見やり、ランサーは納得したように頷いた。
何せ此方の国にまで名が轟くような男だ。殺してしまうには惜しいと、ランサーすらも考える。それならば、男の国からすればどうだ。記憶がなくとも、男の存在そのものがあれば、後でどうとでもなると考えたとしても不思議ではない。
ゆえに、きっと男にその薬を持たせていたのだろう。万一敗れることがあればそのときは、情報を漏らさぬよう、だが、死なさぬようにするため。
きっと記憶があればこの男は自国のために自害を選ぶような人間だ。部下を逃がしてまで自分を犠牲にしたほどの人間が、国を滅ぼすかもしれない情報を、敵に渡すような真似を何があってもするわけがない。
耐えて生き抜くことより、死んだ方が確実と判断すれば、この男は即座にその命を絶つだろう。
その結果から、男にはそう処置をされているのかもしれない。
「ま、眉つばもんかもだしな。とりあえず自白剤を飲ませろ」
「わかりました」
「な、何を…」
「お前の処遇を決めるためのものだ、おとなしく飲め」
兵士が出したそれを本能的に危険と察したのだろう。逃げられるわけもないというのに、体をひねって抵抗する。
その姿にランサーは兵士から薬を奪うと己の口に含み、男に口づけた。
「んっ…」
「いい子だ、そのまま飲んじまいな」
突然のことに目を見張る男の口に薬を舌に乗せて差し入れる。そして喉の奥まで運べば、無理やり呑み込ませた。
急なことに呼吸が止まっていたのか、ランサーが唇を離せば、男は真っ赤になって肩を上下させ、空気を取り入れている。
「で、お前、故郷は?」
「知らない」
「家族は」
「分からない」
「お前の名前は?」
「……思い出せない」
薬が効きだしたころに質問を発するも、男の答えは「知らない」「分からない」がほとんど。
「言わない」ではなく、男は本当に「知らない」のだろう。自分の生まれ故郷も、家族も、守ってきた国はおろか、自分のことすら。
だというのに、男の眼は途方に暮れてはいなかった。そのことが、ランサーの興味を惹き付ける。
記憶がないとはすなわち、今まで自分が歩んできた人生がないに等しい。人生がないとは、その男を形成する考えや性格すらないといっても過言ではないのだ。
それはすなわち、自己の喪失。今ここにいる自分は、ないものと同じはずである。
だというのに、男は確固として自己を露わにし、意思を持った目でランサーを見返してくる。
ただ面白いと感じた。
この男は、面白い。興味深い。殺すには、惜しい。
「なぁ、お前は何でそうしていられる」
「何が?」
「今のお前には何もないはずだ。帰る場所はおろか、自分さえも。だというのに、なぜお前はそんな目で俺を見る」
「言いたいことの意味が分からない。私は私だ。此処にいるという事実がある」
ぞくりと、背中に形容しがたい感覚が走った。
高揚しているような、恐怖しているような、歓喜しているような、すべてが正解で、そのすべてが間違いであるかのような感覚。
ただ、ランサーは男がほしいと思った。
何の情報も持たぬ捕虜を、生かしておく必要はない。
だが、砦の守護者であり、国の要でもある男。殺されることもなく、記憶を奪われ、それでもなお意思を失わぬその姿は、美しささえ感じてしまうほど。
出会って間もない、空っぽの男を、ランサーはどうしようもなく欲した。
「この男の身柄は、俺が預かる」
気がついたときには、口が勝手にそう宣言していた。
この先に起こることなど、考えもせず、ランサーは本能の欲するままに、男を求めたのだった。
お、終わり…?