2007.05.09 Wednesday
「狩野派誕生展」
大倉集古館で開催中の
「狩野派誕生―栃木県立博物館コレクション―」展に行って来ました。 「狩野派」の開祖、初代・狩野正信(1434-1530) この人、伊豆の出身とされていたそうですが、近年の研究で どうやら北関東周辺の出身と判ってきたそうです(びっくり!) 栃木県立博物館コレクションに初期狩野派の作品が多いのもそのためだとか。しかも今回出展されている狩野正信筆・重要文化財「観瀑図」は現在の足利市にある長林寺に古くから伝わる作品だそうです。 この展覧会GW中に行ったのですが、今思い返すと例の「若冲と応挙展」もあり、今年の連休は足利市と妙に関わりがあったことになります。 そしてその狩野正信の子、元信が狩野派の基盤を固めたそうです。 元信は日本人には理解しづらい漢画をより身近なものにすべく努力した結果。。。 伝狩野元信「山水図屏風」 中国のモヤモヤした水墨画とは袂を分かつ当時としては きっと斬新な作品だったのでしょう。 こんな作品もありました。 伝狩野元信「蕪菁図」 牧渓の作品を元にして描いたそうです。この「かぶら」 この一枚だけ見せられて「これが狩野派を築いた人の絵だぞ」 と言われても、ただただ首をかしげるばかりだと思います。 狩野正信、元信親子の作品「狩野派」としてぼんやりとイメージしているものと あまりにもかけ離れているので、正直戸惑いました。 こんな素朴でアクの強い絵が狩野派の出発点だったわけです。 また、扇面図が何点かありました。 初期の狩野派は扇面図をよく描いたそうです。 理由は簡単。手っ取り早く小金が手に入るから。 もうかるわけです。大きな資金源になったようです。 天下人に仕え城の障壁画をどーーんと描くまでには こんな下積み期間もあったわけですね。 「プロジェクトX」or「ガイアの夜明け」で 取り上げてもらえそうです。狩野派。 さて、東京国立博物館所蔵の国宝「観楓図屏風」 これを描いたとされる狩野秀頼の作品も栃博コレクションにありました。 狩野秀頼「布袋図」 秀頼は元信の子供か孫にあたる人物だそうです。 (この辺の作家のことは分らないことだらけです) お父さんもしくはお祖父さんや狩野正信の作品に比べると 随分と垢抜けた感じがします。 顔つきも「松下二仙図」とは違いサッパリしています。 さて狩野元信の孫にあたる狩野永徳の作品は今回一点もありませんでしたが、 狩野探幽(1602-74)の作品はありました。さぁいよいよ真打登場です。 「富士三保清見寺図」 三幅対の真ん中の作品。しかしいきなりこれです。誰の目にも明らかです。違い。 探幽って本当に狩野派の中のキラ星の如く出現した大人物なのですね。 ある種、突然変異のようにさえ思えました。 この作品なんか観てしまうとそれもまんざら嘘には思えなくなります。 「瀟湘八景図巻」 展覧会会場の流れはざっとこんな感じです。 「狩野派」と言っても繋がりがよく分らなかったりします。 会場内に狩野派の系図があったのですが、それがまた複雑で 余計頭の中がこんがらがってしまいました。。。 因みにその系図はこの本からの引用でした。 狩野派決定版 山下 裕二,安村 敏信,山本 英男,山下 善也 wikiの狩野派の解説もかなり詳しいです。 名前だけ残っていて実際にどんな人物だったのか 生没年さえよく分らない狩野派の絵師の作品も多くありました。 例えばこの人。狩野正祐。 「鶉図」 おめでたい鶉の絵です。しかも一羽飛んでいます!さらにメデタイ! 探幽より年長で多少時期もかぶるようですが詳しいことは分らないそうです。 それでは、最後に「今日の一枚」 狩野安信「東坡騎驢図」 長男探幽、二男尚信、安信は三兄弟の末弟。 東大にストレートで入ってしまう天才の兄を持った三男安信。 可哀相なことに安信にはその天賦の才が備わってなかったようで… 人物と動物の大きさといい迫力のなさといい。。。 今風に称すれば「ヘタウマ」なのでしょうが、 江戸幕府お抱え絵師がこれではちょっと(というかかなり困ります) 実際に探幽と尚信に仕事は来ても安信は描かなくていいと言われたとか。 (優しい父、孝信は安信に狩野派宗家を継がせます) 私は安信の作品好きです。探幽と同じ富士山を描いた絵もありました。 感想は…(自主規制) 生まれてくるのが数百年早かったのでしょう。きっと。 安信こそ「新・狩野派誕生」なのかもしれません。 これから注目されるはずです。きっと。多分。。。 「もっと知りたい狩野派―探幽と江戸狩野派」 安村 敏信 おまけ: 大倉集古館の目玉作品、国宝「普賢菩薩騎象像」は現在お出かけ中です。 行き先は。。。栃木県立博物館「特別企画展 慈覚大師 円仁とその名宝展」 なるほど、そういうことなのですね。 この記事のURL http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1007 狩野派は室町時代に御用絵師としての地位を確立し、その後約400年にわたって日本画壇の中心にあり続けました。下野国、現在の栃木県の出身といわれる初代・狩野正信により創始され、その子元信が大成した初期の狩野派絵画を中心に、江戸狩野の立役者・探幽らの作品を加えた、栃木県立博物館による充実のコレクションを一挙に展観いたします。特別出品となる正信筆の名品「観瀑図」(重要文化財、栃木県・大祥山長林寺蔵)をはじめ、東京でのまとまった公開は今回が初めてとなっています。 |