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The Works "夕飯はオムライスでよろしく" is tagged "槍弓".
夕飯はオムライスでよろしく/Novel by はすゆき

夕飯はオムライスでよろしく

2,166 character(s)4 mins

タイトルあれですが料理の話ではないです。

カルデア時空、槍弓。

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「!っランサー!!」

複数クラスクエストに駆り出された俺達はかなり苦戦していた。
残り少ない敵をなんとか片付け、ふっと息を吐いた刹那切羽詰まった声。
背後から近づいてきたバーサーカークラスのエネミー。
その時既に俺の戦闘衣は真っ赤に染め上げられ、髪留めを失った髪はバサリと宙に舞っていた。
矢避けの加護も切れ、体力ゲージも残り少なく後ほんの一撃でも戦闘不能になってしまいそうな満身創痍の槍兵にそれは容赦無く襲い掛かる。

「っぐ…ッ!!」

弓兵の声に咄嗟、後ろを振り向き一か八かで体を捩ったが横っ腹を獣の鋭い爪で抉られた。
体力ゲージは振り切れて遠のきそうになる意識に兄貴!!と言うマスターの声が聞こえる。

「っ、こ、んの…っど畜生がァッ!!」

切れそうな意識を自らの傷口を抉ってつなぎ止め、渾身の力でエネミーを槍で振り払った。
叫び声を上げた獣は、しかし致命傷には至らず距離を取ったこちらに向かって低く唸っている。
まだだ、まだ闘える。
ーーーー四枝の浅瀬。
俺は不敗で不退、生あるものの敗走は決して許されない。


「その心臓、貰い受ける」


魔力は満ちた。
雄叫びと共に突進してくる獣に向けて槍を携える。
マスター!と呼び掛ける弓兵の声がし、瞬間自らの身体を巡って漲る力。
この槍は因果逆転の槍、狙うは心臓、放てば必中。

「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)!!」

呪いの朱槍は違うことなく心臓を穿ち、エネミーは俺の目の前で絶命する。
獣の返り血を浴びた俺は更に鮮やかな紅色に染められ、その場にぐたりと倒れ込んだ。

「ランサー!」
「兄貴!」

すぐさま駆け寄ってくる弓兵とマスターにひらひらと手を振って一応は無事であることを伝える。
弓兵に助け起こされ、自分の身体を見るとあまりにも赤過ぎて笑ってしまった。
お揃いだな、なんて茶化せば馬鹿だな君は、と憎まれ口が返ってくるがその顔は僅かに微笑んでいた。
弓兵の戦闘衣もそこそこ満身創痍だが、赤い外套はしっかりと彼を覆っている。

「ごめんね兄貴、私がもっとしっかりしてれば…」
「ばぁか。最後こいつに呼ばれて即座にバフ盛ってくれたろ?最高のタイミングだったぜマスター」

しょげるオレンジ頭を撫でようとして自分の手が血塗れなことに気付いてやめておいた。
気づいた弓兵が代わりにマスターの頭をよしよしと撫でて、マスターが俺と弓兵を交互に見てふふ、と笑う。

「なんか兄貴とエミヤ夫婦みたい」
「っ!?…いきなり何を言い出すんだね君は」
「あ〜エミヤ照れてる〜」

かわいい〜と揶揄うマスターの声に軽く上を見上げれば、褐色の肌が解りにくいが微妙に薄く紅潮しているのが下から見てもわかった、本当にかわいい奴め。
明確に否定をしない弓兵にニヤけていると別働隊で動いていたサーヴァントが駆けつける。
「大丈夫っスかー!」と駆け足で合流したマンドリカルドがマスターを目にしてホッとした顔をし、弓兵に抱えられた俺の状態を見てうえっと声を上げた。

「大丈夫…じゃなさそっス…」
「おう、動けねえけどまあ生きてるぜ」

ひらりと軽く手を上げるとぼたりと血が地面に落ちてうわぁあ兄貴ぃと自分の方が痛そうな表情をするマンドリカルドを嗜めてマスターを託す。
早く帰還準備をしてこい、とマスターとマンドリカルドをカルデアとの通信に送り出して俺は弓兵にそのまま身体を預けた。

「あ〜もう一歩も動けねえ」
「安心しろ、担いで行ってやる」

珍しく素直に労られ、上を見遣るとなんとも柔い表情の弓兵がいた。
これはちょっと甘えてもバチは当たらないやつか?と思いながら少しだけすり寄ってやると先程マスターにしたようによしよしと頭を撫でられた。

「なぁんだよ、そんなに見惚れたか?」
「ふふ、…さてな」

周りには誰もおらず、敵も全て殲滅し周囲に生物の気配はない。
別働隊に居たはずのロビンはマスターとマンドリカルドに合流しているのだろう。
なら通信が終わるまでもう少しいちゃついててもバレやしないよなと思いながら頭を柔く撫でる弓兵の手に甘んじる。

「なぁ、今夜の夕飯サービスしてくれよ。奥さん」
「…仕方ないな、後で食べたいものを言うように」
「お、やった」

おかずを増やしてくれるくらいの予測だったがまさかリクエストを聞いてくれるとは。
今夜の楽しみが増えた俺はあいも変わらず撫でてくる弓兵の手を味わいながら目を閉じて身体を休ませる。
暫く撫でていた手が瞬間離され、なんだ終わりかと思いながら薄く眼を開けると弓兵の手が頬に添えられ顔を上向かせられた。
そのまま控えめなリップ音と共に額に口付けが落とされ…どうやら今日の戦闘の俺は相当『キた』らしい。
滅多に味わえない弓兵からのサービスに満足に動けない自分が恨めしくなる。

「おまえぇ…そう言うことは帰ってからしろよ」
「はは、かっこよかったぞ。旦那様」

極め付けに先程のマスターの言葉を肯定するような振る舞いをされ、今すぐ抱きしめてやりたくなったのに何故!この身体は満足に動かない!
ちくしょう帰ったら覚えてろよ、と俺が動けないのをいいことにここぞとばかりにデレまくる弓兵を、帰還した後これでもかと構い倒したのは言うまでもない話だ。

Comments

  • そー
    September 26, 2020
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