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【FGO】愛と嫉妬の思い出ごはん【腐向け】/Novel by イラカ

【FGO】愛と嫉妬の思い出ごはん【腐向け】

4,316 character(s)8 mins

ほのぼのご飯話の予定が変な方向に転がったお話。

※古代ケルトご飯は想像上のものです。

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アーチャー、ランサー。それはただ、サーバントのクラスを表すだけの名称だ。
ただ、エミヤ、クーフーリンの間では互いを指し示すものだということは皆が認めることであった。
いろんなところで縁を結んできたが、ここカルデアでの二人の関係は今までの中で一番穏やかなものだった。

「おいアーチャー、この間作ってくれたやつ、あれをつまみに酒が飲みてえ」
「なあ、弓兵。前召還されたところでこんなのを食ったんだが作れるか?」

召還されてから人員の関係でカルデアの管理の一部をサーバントが担っており、アーチャーは食堂の料理を提供するメンバーに入っていた。
時にリクエストされ、それに答えたこともそう少ない数ではない。

「何かわかりようがなければつくりようがないな。特徴をあげてみたまえ。」
「それはアフリカの郷土料理だな。材料があるようなら試してみてもいいがね。これからあげるものを次のレイシフトで探してこい。」

ただこれまで頼まれたものは、互いが出会った土地や時代で見たもの、口にしたことがあるもの、これまで彼が提供したことがあるものであって、これまで『それら』が依頼されたことはなかった。


「おいキャスター覚えているか。そういや昔、こんなのがよくでてきたよな。」
「ああ、あれか。」

だから彼が話の中で口にした料理は、ただ仲間との思い出話の中にでてきたものであり、決してリクエストではない。
でも相手が自分の料理を幸せそうな顔でほおばるのを見るのは悪い気分ではなかった。
これまで少なくなってしまった人数にも負けず頑張ってきたスタッフの慰労の為、彼らの郷土料理や思い出の味をたびたび提供してきた彼は、槍兵に内緒で、彼の記憶もあいまいな料理の再現に取り組み始めた。

話の中で上がっていた料理は、野鳥を焼きそれを野菜と香草で煮て岩塩で味をつけたものであった。
それらの食材を使って、おいしいものを作るのは簡単だ。しかしそれは食材が同じだけの料理であり、彼らの思い出のものではない。

・・・情報が必要だ。

フェルグスや、スカサハ、ディルムッド、フィン・マックールと彼らの関係者からさらに食材や味についての話を聞く。話に上がった料理に興味がわいたという言い訳付きで。

ここカルデアで使用されている肉や香草や野菜などの食材は現代までに品種改良されたものであり、また同じ食材でも産地や育成環境で味が変わる。その時代やその地域で育ったものが必要なのだ。

アーチャーが手伝っているのは食堂だけではない。人間の負担を減らすため施設の整備、修理部品の複製といった自身が可能な範囲で手を尽くしていた。それらの仕事やレイシフトの合間をぬって彼は食材探しや試作に努めた。

※※※

「うん、最近はここの味に慣れてしまっていたが、かつて慣れ親しんだ味はやはりうまいものだな!おかわりだ!!」
「ふふ、面白い。よくぞここまでたどり着いた。」

香草の中には現代に残っていないものもあり、味の調整に思ったより時間をとった。
だが完成品をこれまで情報提供してもらってきた皆に提供し太鼓判をもらえた。後は彼の口に合うかだ。彼の思い出の味であるといいのだが。

皆に礼をのべ、投影したエプロンを消し、かの人を探しに食堂からでる。廊下を歩いているところでふと気づく。

(かなり余計なお世話なのではないか?)

いきなり自信がなくなってきた。今回は比較的穏やかとはいえ、もともとの性格が合うものではなく、開口一番に嫌味が飛び出すような間柄だ。
つい尽力してしまったが、あまりいい感情を抱いていない相手からこんなものを出されては槍兵が引いてしまうのではないか?
だんだん遅くなった足がついに止まった。食堂に戻ろう。できてしまったものは仕方ないから味を調整して別の料理にしようか。

引き返そうとしたその瞬間に声をかけられる。

「久しぶりじゃねえか、なあ。アーチャー」

ああ、私はやっぱり運が悪い。

若干不機嫌そうな相手の顔に余計強く思うが、彼は簡単に逃がしてくれそうになかった。

「ランサー」
「お前にしちゃあ大分明るい顔で出てきたが、用事は終わったのか?」
「いや、」
「大分大切な用事だったみてえじゃねえか」

普段だったらそんな苛立った顔で声をかけられたなら、1,2つ嫌味で返すところであったが自分の想像で落ち込んだところであったためなかなか難しい。どんどん近づいてくる彼から離れようとするがそんなことは許されず腕をつかまれる。続く言葉にさらに冷や汗が止まらなくなった。

「叔父貴や師匠、ディルムッドたちのところをうろちょろしてるかと思えば、俺たちには近づかない。」
「カルデア内を動き回っているくせに食堂には顔を出さない。飯はつくってるのにな」
「レイシフトで一緒になっても戦闘が終わればマスターを他に任せてすぐいなくなる。」

色々怪しまれている。
クーフーリンズに近づかなかったのは、つい、ばれないようにするためだったのだが。元々が同じなのだから、思い出の味も同じだろう。出来がいいようなら彼らにも提供する予定だった。
食堂にいなかったのはやっぱり時間が足りなかったからだ。日々の食事は作ったが提供はほかの皆に依頼した。その時間を試作や食料探しにあてていたのだ。
レイシフト先では戦闘の合間や休憩時間で、似たような食材がないか探したり、野鳥を狩っていた。
ここまで気づかれていれば、いぶかしむのも当たり前。食べてもらうつもりのない今となっては全部裏目に出ている。

「…まあ、いろいろあってな。もう終わったからいつも通りだ。」
「そうか。」
「今日からは食堂にもでるつもりだ。
戦闘でも、こんなことにはならないだろう。」
「ならいい。で、そのいろいろは教えてもらえるんだろうな。」
「その必要はあるのか。」
「ないと思うのか。」

いい加減手を離してもらえないだろうか。少し手を動かすが、全然離れない。逆に腕を握る力がだんだん強くなっている。
ここまで来たら理由を言うまで納得しないだろう。真実を混ぜつつごまかすのが一番では。

「覚えてはないかもしれないが・・・ 以前食堂で君たちが郷土料理の話をしていたのが気になってだな」
「試しにつくってみたら案外奥が深くて」
「食材探しからこだわってしまった」
「その、フェルグスやスカサハ達には話を聞いていただけで」
「君たちに言わなかったのはそう、知られるのがはずかしかったんだ。」

話している間中、じっとこちらを深紅の瞳で凝視しており、気まずくて話し方が途切れ途切れになってしまった。がようやく説明し終えたのだ。手に込めた力は抜いてくれたが、どうして腕を離してもらえないのだろう。

「理由は説明しただろう。もういいだろうか。」
つかまれた手をそっとはなそうとして反対の手を伸ばしたところで、その手までつかまれた。

「もうできたのか?」
「なんのことだ」
「お前の事だ。あの顔で出てきたってことは完成したんだろ。料理。」
「お前は食べたことはないんだから他に味を確認してもらっているはずだ。」

「俺にも食わせろ」

ところで、話はかわるがこの話は食堂からそう離れていないところで行われている。試食はおなかが空いている時間が良いだろうと夕方の食事が始まるまでの時間を使い、食堂にはさっきまで試食してもらったメンバーも残っていた。

(入口から顔が見えている…)

ケルトの関係者だけでなく、休憩にきていた他のスタッフやサーヴァントも野次馬している。夕食にむけてその他の人々も食堂に集まってきたため野次馬の群れは膨らむばかり。
身体はいつの間にか壁に追い詰められ、右手は手のひらを重ねた状態で顔の横に抑えつかられている。左腕もつかまれているし両足の間に膝を差し込まれ逃げられないようにされたこの姿ははたから見ると、いや顔も近い!!!

「わかった、わかったからこの姿勢は勘弁してくれ!!」

思わず顔をそむけただけでは足りず目をつぶって叫ぶ。
心臓が痛くて死にそうだ。いやサーヴァントのくせになにを。

「言ったな、アーチャー」

その言葉に身を引くと新たに腕をつかみ直し、食堂に向かうランサー。野次馬の目がうるさいのに全然目に入らないようであった。


●○○

料理を温めなおしランサーに提供する。なぜか当初の目的どおりになってしまった。
他の夕食の邪魔にならないよう食堂の隅の席を選んだが、皆静かだ。絶対こちらを見ている。

「いただきます」

ランサーは手を合わせると食事に手をつめた。本来の調理法であれば野鳥の肉は硬いかもしれないが、それだけは手を加えてほろほろにしてある。希望なら硬さだって完全再現も可能だ。それ以外の味は皆の折り紙つきだ。大丈夫だとは思うが・・・

「うまい」

その言葉に安心する。がそれだけでは不十分だ。内心おそるおそるではあるがこれ以上恥をかきたくないためいつも通りを装って

「思い出の味になっているかね?」
「ああ、懐かしい味だ」

これが聞ければもう満足だ。いつの間にかランサーの表情も穏やかになっている。

「これは再現可能だから希望時はまた声をかけるといい」

そういって席を立とうとしたところ、後ろから思いっきり背中を叩かれた。

「はっはっは、よかったではないか。こいつに食べさそうと頑張っていた甲斐があったな!」

フェルグスの言葉に体が固まるが、それだけにとどまらなかった。

「おいしいだろう、セタンタ。お前の為のものだ」
「御子様のおかげでご相伴にあずかれました、ありがとうなエミヤ!」

追撃が止まらない。

「ごまかそうとしていたようだが親指をかまなくてもあきらかだったからね。」

座に還ろう。

「ああ、俺も最後の言葉でわかったわ。」

いっそ、殺せ。

机の向こうからまた手を取られた。

「なあ、今度からは話も俺に聞いてくれ。俺の為につくるのなら最初から最後まで食べるのだって俺が良い。」

後ろで歓声が上がるのが聞こえる。マスターも混ざっていたのか。
そうだ、キャスターや、オルタ、プロトにもふるまわなければ。こいつが認めたのだから皆もおいしいと言ってくれるに違いない。

ただ今は顔の熱が引くまで立ち上がれそうにない。

ただ喜ぶ顔が見たかっただけで。
どうしてこうなってしまったのだろう!

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