設計段階でのエクボ(ヒケ)対策について説明します。
表面にできたエクボの解消(ヒケ対策): 設計で対策する成形不良①
この記事では…
(執筆:落合孝明/モールドテック)
プラスチックで製品を製造・量産をする上で、成形不良対策はとても重要です。しかし、成形工程で成形不良を全て防ぐことは難しいため、設計段階から対策をしておくことが大切です。製品設計からどのような成形不良が発生しやすいのかを知り、それを設計に反映することでトラブルのない製造・量産が実現するのです。
この連載では、実際の製品設計時にどんな成形不良が考えられるのか。またその想定される成形不良に対し、設計はどう対策することで事前に成形不良を防ぐことができるのか、具体的な事例をもとに説明します。
エクボ(ヒケ)対策
成形品の表面に凹みの出るヒケという現象は、多くの成形品で見られる現象です。成形品の肉厚が極端に厚くなっていたり、不均一になっていたりした場合に生じやすく、成形品においてヒケという現象はなかなか解消できるものではありません。しかし、その仕組みを理解し、その対策を製品設計に織り込むことでヒケを最小限に抑えることが可能となります。
ヒケは樹脂の収縮率と温度差が原因となって生じる現象です。樹脂は熱すると膨張し、冷やすと収縮する性質を持っています。金型に射出された時の樹脂は膨張した状態ですが、型内で冷却固化すると収縮し小さくなります。樹脂が冷却固化されるときに、均一に冷却固化されるのであれば良いのですが、実際には冷え方にはその部位ごとに差が出てきます。
断面で見た場合、樹脂よりも温度が低く、熱伝導が良い金型に面している表面の方が早く固化し、対して内部は表面よりゆっくり固化します。その際に内部の樹脂は収縮して内に向けて縮みながら固まります。その縮んだ分が『ヒケ』となって成形品の表面に出てしまうというわけです。
樹脂が収縮する以上はヒケを完全に抑えることは難しいですが、極力抑えるように対策を取ることはできます。
【対策例1 肉厚を均一にする】
製品の肉厚が厚ければ、それだけ表面と内部に温度差が生じやすくヒケが出やすくなります。製品の肉厚は最適な肉厚でできる限り均一にすることが望ましいです。
【対策例2 リブの肉厚を薄くする】
リブやボスなどがある場合には特にヒケが出やすいので注意が必要になります。先程まで肉厚は均一にすると書いてきましたが、一般の肉厚とリブの肉厚を均一にしてしまうと、リブの根本が厚肉になってしまい、かえってヒケが生じやすくなります。そのため、一般の肉厚に対して、リブの肉厚は薄肉に設定するのが理想です。
以上のように、設計の観点からヒケを押さえるには最適な肉厚で極力均一に設計し、リブなど交差する箇所は薄肉にすることで対策を行います。
(次回につづく)
ライタープロフィール
著書
『金型設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)『すぐに使える射出成形金型設計者のための公式・ポイント集』(日刊工業新聞社)『プラスチック製品設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)
筆者サイト
これまでカタログや材料メーカー各社のホームページ内に散在していた樹脂(プラスチック)成形材料の情報をPlaBaseに集約しました。 メーカー・樹脂名・物性値など多様な検索方法によって、お客様の目的に合った樹脂成形材料のデータを探し出すことができます。