いいか、しんのすけ。
ボルトは、ワーク側にめねじが必要だ。
それを、下穴のみでめねじがなくても締結を可能にするのがタッピングボルトなんだぞ。
タッピングボルトは、ワークの下穴に対して、ネジ山で抉っていくイメージだ。
だから、めねじがなくても締結ができるわけだ。
相手側を一方の形で押し付けて形成するイメージを転造というが、
通常のタッピングボルトは、ねじ山の転造とは少し違うんだ。
基本的には、タッピングボルトを締結後、
緩めた時点で同じ穴に再締結しても、同じ軸力は得られず、不良となりやすいんだぞ。
抉られた溝はめねじではないということと、
タッピングボルトが再締結時に、1回目と異なる抉り方をしてネジがかからなくなるという、
2つの懸念があるからだ。
また、ワークを抉っていくということは、切り粉が発生する可能性もある。
切り粉の発生が望ましくない組み立て工程では使用が難しいなど、
手軽な部品ではあるが、使用には注意が必要なんだぞ。
一方で、
転造と同様に、ワーク側にめねじを形成しながら締結できるタッピングボルトも存在する。
後々調整が必要なところでも、緩めて再締結ができることは強みだな。
結果的に、タップ加工レスとボルト個数のコスト比較を行い、効果が高い方を選ぶことができるわけだ。
しかし、このタッピングボルトが生まれた背景は、海外の環境にあるんだ。
それは、海外はタップ加工の精度が悪かったことで、
組み立て工程で締結不良が多かったという事情だ。
だから、下穴のみ加工すれば組み立て不良が減るという、
根本的な原因除去をしたのではないかと想定できるぞ。
また、下穴の機械加工精度が悪い、ビビりが発生しやすいとタップはすぐ折れる。
加工工程でも同様に問題が多かったわけだ。
じゃあ日本はどうかというと、タップ加工に関連する設備、工具、そして現場管理が『異常』に優れている。
だから当たり前に加工でき、組みつけられていたので問題にならず、
転造式のタッピングボルトは普及しにくかったということだ。
こう考えてみると、日本の技術力が高い低いという話はよく上がるが、本当にその程度を理解して優劣を語れているのかには注意が必要だぞ。
タッピングボルトの一要素ですら、
機械加工分野で当たり前と思っていることは、
実は当たり前ではないと理解をすることが大事なんだと気付かされる。
日本に足りていないのは、
できている、当たり前としてしまっていることの、理解ではないかと、思ってしまうな。
できていることと、
当たり前であることは必ずしもイコールでは無いという認識が必要だと考えるてるぞ。