千葉県流山市立小学校で2024年、いじめの被害を訴えた当時4年生の男子児童に対し、学校側が男児に詳しく事情を聴かず、保護者にも連絡せずに済ませたことが、関係者への取材で判明した。男児はその後不登校になり、転校を余儀なくされた。市教育委員会は学校の対応を「不適切な部分があった」と認めており、専門家は「対応の遅れがいじめをエスカレートさせた可能性がある」と指摘している。
学校が作成した市教委への報告書などによると、男児は24年9月ごろ、休み時間に遊ぶ際、複数の同級生から仲間外れにされた。たたかれたり蹴られたりし、9月下旬にいじめによる精神的苦痛を訴えて欠席。母親が学校に連絡すると、同級生たちは担任教諭らに注意され、男児に謝罪した。
しかし10月になると、同級生の一人が再び暴力を振るうようになった。連日のように休み時間に男児の頭を手で押さえて膝で蹴った。頭や首に回し蹴りをし、顔や腹を殴り、下校途中に傘で腹を突いた。男児をばい菌扱いし、所持品を取ったという。10月に担任が見かけて、同級生の暴力を止めることがあった。
11月には男児が学校のアンケートでいじめを受けていることを申告し、担任は男児と同級生を呼んで謝罪させた。ただ、いずれの機会でも担任は男児に詳しい事情を聴くことはなく、母親に連絡もしなかったという。
男児は11月、母親に再び被害に遭っていることを打ち明けた。自分自身にも非があるのではないかと思ったことや、家族につらい思いをさせると考えたことから、言うのをためらったという。
保護者は学校の対応に不信感
母親が学校に連絡すると、学校の聞き取り調査で同級生はいじめを認めた。学校は同級生の登校時間をずらしたり、別室で授業を受けさせたりした。ただ、男児は頭痛や吐き気、不眠などの症状が出るようになり、不登校になった。
母親は「10月の時点で担任から連絡をしてほしかった。9月にトラブルがあったのだから、なぜそこで気にかけなかったのか。学校側の暴力に対する認識が低かった」と訴える。
母親は11月下旬に、頭部打撲や脳しんとうなどの疑いがあるという男児の診断書を学校に提出した。ところが、1週間後に母親が市教委に問い合わせるまで、学校は市教委に診断書が提出されたことを知らせていなかった。
12月に母親がいじめ防止対策推進法に基づく重大事態として対応するよう市教委に要望すると、その3週間後に学校が重大事態発生の報告書を市教委に提出した。
母親は「自分が市教委に連絡しなければ重大事態として調査してもらえなかったのではないか。学校の対応に不信感を持った」と話す。
第三者委員会が調査
男児は26年1月、別の小学校に転校した。母親によると、男児も学校側に「守ってくれなかった」と不信感を抱いていたという。
小学校の担当者は毎日新聞の電話取材に対し、報告書を市教委に提出したことは認めつつ、詳細については「話せない」とした。
市教委によると、この件は第三者委員会が調査を進めている。市教委の担当者は学校の対応について「法律や重大事態の指針を考えると、適切でない部分があったのではないか」と説明する。ただし、具体的に何が問題だったかについては、第三者委が結論を出していないことを理由に言及を避けた。
いじめ問題に詳しい石田達也弁護士(滋賀弁護士会)は学校の対応について、いじめの早期発見や迅速な対処を学校・教職員の責務とするいじめ防止対策推進法8条などの趣旨に反し、「対応の遅れがいじめのエスカレートにつながった可能性がある」と指摘する。【林帆南、中村聡也】