クーフーリンウォーズ
新しくヒロインXオルタが実装されるそうですね、私のカルデアには全てのクーフーリンの抹殺を志した地球外生命体が実装されました/ヒロインXならぬクーフーリン絶対殺すマンのクーフーリン(アサシン)×エミヤの話、+クーエミ(槍弓と術弓が目立ってます)偏差値低めの話なのでいろいろおかしいところはあると思いますがスルーできる人のみどうぞ…!/ブクマや評価いつもありがとうございます!!お蔭様でルーキーランク72位&44位に入賞しました…!クーフーリン(アサシン)はいいぞ!ちなみに巷で殺クーフーリンがヒーローCと呼ばれているのを目撃し、自分のネーミングセンス/zeroがつらいです…
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時は2016年、人理継続戦争のさなか。
共和国も帝国軍もいないカルデアには、ひとときの平和が訪れていた。
そんな時、突如として宙から現れた2人目の謎の地球外生命体。
それはカルデアに大きな爪痕を起こすことは……なかった。
既に未知との遭遇を終えている上に動くチョコレートや無人島、さらには魔法少女も経験したカルデアの猛者たちにもはや驚かれることなく退治され、地球外生命体は手早く縄で縛られると食堂に転がされるのだった。
襲来した2人目の地球外生命体の逮捕を手伝ったアーチャーエミヤは、床に転がされてもなおギラついた赤い瞳でこちらを睨む存在をじっと見つめる。
ヒロインXと同じ青いパーカーに動きやすそうな短パン、そして一つに結ばれた青い髪と血のように赤く美しい瞳、くすみ一つ無い雪のように白い肌に加えて目鼻立ちの整った人類でも有数の容姿。
クーフーリンだ。紛れもない、クーフーリンだ。
クーフーリンの褒め言葉なら尽きることのないアーチャーは、少々脱線した脳内を軽く振って戻すと、傍らにいる苦虫を100匹は噛んだような顔をしているランサーのクーフーリンへ振り向いた。
「で、今度はどのクラスの君なのかな?」
「こんな服装したことないからな、正史の俺じゃあないだろう。大方オルタと同じ本来ありえない可能性の具現ってところか」
アーチャーとランサーを見上げていた謎のクーフーリンは大きく舌打ちをすると、再度向いた2人分の視線へ清涼な声で叫んだ。
「寄ってたかって殴りやがって!卑怯者め、正々堂々俺に闇討ちされろ!」
「まぁ君が闇討ちという手段を口にする時点で、何者かの湾曲を加えられていると察するには十分だがな」
「おっそりゃあ褒めてくれてんのか?」
紛れもないクーフーリンの顔、クーフーリンの声で、臆面もなく残念な戦法を口にする足元の相手に、アーチャーはため息混じりで首を降る。
褒められてウキウキしている隣は置いといて、アーチャーは視線を合わせるようにしゃがむと、また新たに増えたクーフーリンに問いかけた。
「君の名を聞いてもいいか?ちなみにどこから来たのかも」
「名前なんて俺なんだからクーフーリンに決まって…」
「ぃよくぞ聞いてくれた!!」
ランサーの声を遮ってぴょんと飛び上がった謎のクーフーリンは、両手を縛られた不自由な状態で胸を張ると、手が空いていなかったらポーズをつけていただろうノリノリの様子で名乗りを上げた。
「増え続けるクーフーリンの明日を憂い、一掃を誓った謎の男…サーヴァントユニバースの即死係!そう!俺の名はシャイニージュニアY!!」
「…ちょっと本格的にぶっ殺していいか?これ以上黒歴史を量産する俺は見たくねぇ」
「待て、気持ちはわかるが待て」
ゲイボルグに魔力を迸らせ、爛々と殺気に満ちた目で謎のクーフーリンことシャイニージュニアYへ狙いを定めるランサーをアーチャーが宥める。
ようやく名前が名乗れて満足そうなジュニアに、ヒロインXとはまた違う頭痛を持ち込む相手へアーチャーは小さくため息をついた。
「なるほど、シャイニージュニア…直訳で光の御子か、紛れもない君だな」
「このネーミングセンスで納得するのはやめてくれ」
まとりくすおーだいん…と呟いたエミヤの生暖かい瞳に、近くにいたキャスターが目を合わせてくれなくなった。
見た目からお察しだったが、やはりジュニアも相当物騒な動機でカルデアに来たらしい。自分がクーフーリンをさらに増やす要因になっていることには気づかないのか。せっかく空いていたアサシンのクーフーリン枠をわざわざ埋める本末転倒に気づきながら、アーチャーは優しいのでそれを口にしない。
手を縛られたまま得意げに尻尾をブンブン振っていたジュニアは、目の前でそれぞれ明後日の方向を見ているランサー、キャスター、若い方のランサー、バーサーカーのクーフーリンを見据えた。
「俺はこの時空に巣作るガン、クーフーリンを駆逐するためにやってきた。運のいいことにここには大集合してるようだからな、今ここに勝負を申し込む!」
「だそうだ。ここで断り、後々妙なトラップをカルデアに張り巡らされてはかなわない。とっとと受けてしまったらどうだ?」
「そうだな、こいつが余計なことをほざく前に口封じしちまうか」
「いい年こいて短パン履く自分の姿見せられる俺の気持ち考えろ」
にこやかに不穏なことを口走るキャスターの額には青筋が浮いており、知的を気取っても彼はやはりクーフーリンなのだと察する。
そして一目見た時から地味にダメージを受けていたランサーは頭を抱えた。
マスターに許可を得て新たにひとり増やしたクーフーリンズとエミヤは仮想戦闘空間へ移動した。
乗り掛かった船として審判を請け負ったアーチャーは見事に同じ顔が並ぶ光景に、壮観だな…と遠い目で傍観する。
そして4対1という圧倒的不利な状況で、つい先程カルデアの猛者にボコボコにされたジュニアは何故か不敵に笑い、その揺らがぬ自信に4人のクーフーリンは警戒を強めた。
「来たか、俺に一掃されるとも知らずに…。ふっ、観念しろクーフーリン!俺には無敵のクーフーリン特攻宝具!!『無銘紅棘槍(ひみつボルグ)』があるんだからなァ!!テメェらまとめて消してやるぜ!!」
瞬間ジュニアの手に顕現したものはやはりゲイボルグ、しかし本物を手にするクーフーリン達は瞬く間に理解した。
サーヴァントユニバースから来たジュニアの手にあるゲイボルグは、ゲイボルグであって自分らの持つものとは同じ槍ではない。
因果逆転の呪いを帯びた赤い槍身には魔力が炎のように迸り、ついでに俺以外のクーフーリンぶっ殺す!!という強い意思を感じる代物だ。
ヒロインXも並々ならぬ情熱を注いでいたがジュニアもそれは同じようで、侮ればこの世からクーフーリンという存在は根絶されると直感が理解する。
しかし宝具の真名がわかると同時に、今まで見えてこなかったジュニアのステータスがランサーの瞳にも移り、その瞬間勝負は決まった。
「ん?あいつアサシンクラスなのか。なんだよ、頼んだぜ俺」
「アンザス!!!!」
「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
悲しきかな、クラス相性。
絶対勝利に高笑いをしていたジュニア(アサシン)は、クーフーリン(キャスター)の杖の1振りでHPをギュンっと減らし、黒焦げになって地面へ倒れるのだった。
仮想戦闘空間から戻ってしばらく、プロトとオルタは早々に興味を失って退室したラウンジで、止まることのない泣き声へアーチャーはチラチラと気遣わしげな視線を向ける。
「うっ…う…こんな事ってあるかよ……」
勝敗を審議する余地もなくカルデアのクーフーリンに敗北したジュニアは、すすを付けたままラウンジのソファで丸まってぐすぐすと肩を揺らしている。
せっかく時空を超えて来たのに、結果はすぐに捕えられ、さらに標的のクーフーリンズからは瞬殺されたのだ。とてもイベントになれるような長さが無い冒険譚、ヒロインXよりも切ない終わりに嘆きは尽きない。
動機はおかしくとも、サーヴァントユニバースから来るもの達がたゆまぬ努力をして殲滅を志しているのは知っているアーチャーは、だんだん同情がこみ上げてジュニアへ手を伸ばす。
「ジュニア…」
「アーチャー、敗者にかける情けは優しさじゃねぇぞ。つーかアイツには金輪際関わるな、つけあがる」
お人好しにランサーは戦士の忠告というより、アーチャーが甘やかせばあのジュニアなら尻尾振って懐くだろう未来を想像して口を歪める。
冷たく止めたランサーに一瞬指先は躊躇しかけるが、クーフーリンの泣き声に居てもたってもいられないアーチャーは静止を振り払ってジュニアを覗き込んだ。
「そうは言ってもこれではあまりに哀れじゃないか。ジュニア、おいで。君の敗因を一緒に考えよう、紅茶は好きか?甘い物はいるか?」
「うるせぇ!情けをかけんじゃねぇ!!砂糖は2杯でお願いします!!」
他人に対して甘く、クーフーリンに対してはさらにゆるゆるになるアーチャーは止められるものではなかった。
さらに悪いことにアーチャーは頼られるのが大好きの奉仕体質、ジュニアに対して甘やかさない理由がないアーチャーに、ランサーはげんなりと肩を落とした。
「すっげぇ嫌な予感がする」
「同感だ」
その後、クリティカルダメージを受けたメンタルが回復したジュニアからクーフーリンズは呼び出され、一時的なジュニアのスペースとして貸し出されているラウンジの一つで整列していた。
完膚無きまで敗北しても諦めないところは流石の往生際の悪さ、ギッとこちらを睨みつける血のような赤に闘志は未だ燃え続けている。
「前回は集団戦法という卑怯な技を使われ、遅れをとったが次はそうはいかんぞ。今は群れて図に乗っているがいい。だがな、次俺と相見える時は決死の覚悟を抱いて来い!」
「…ジュニア、人の胸の上で話されては擽ったいんだが」
しかしそれはアーチャーの体の上でだが。
ラウンジのソファへ体を横たえるように斜めに座らせたアーチャーの体の上で、ベッタリとくっついたジュニアにクーフーリンの目がどんどん熱を失い殺意が研ぎ澄まされていく。
「クソ、あいつアーチャーの近くなら安全だと学びやがった。あのプライドの無さ、紛れもないXの身内だな」
風評被害はやめてください!とどこかから聞こえたが今は無視しよう。
鍛え抜かれた豊満な胸筋を枕にして、短パンの素足をアーチャーの脚に絡ませる得意げな顔は明らかにこちらを挑発していて、出来るのなら即刻ジュニアを夜空に輝く星の一つにしてやりたいものだが、至近距離にいる保護者が邪魔して武器を投げられない。
キャスターの杖からミシミシと木が悲鳴をあげる音が鳴り、ランサーもゲイボルグでこちらに舌を出すジュニアを指し示すと予想通りベタ甘のアーチャーに吠えた。
「お前は甘すぎるんだよ!とりあえずお前はどけ!そいつ殺せない!」
「遠路はるばる来たんだ。これくらいのもてなし、常識の範囲だろう。ほら、ジュニア、あーん」
ランサーの抗議を意に返さず、涼しい顔で受け流したアーチャーはクッキーを手にするとジュニアの口に放り込む。
口をハムスターのようにさせてアーチャーお手製のクッキーをもっしゃもっしゃと食べたジュニアは、顔を輝かせてアーチャーの胸へ頬摺りをした。
「俺このジャムが入ったやつが一番好きだ!」
「そうか、今度はもっとたくさん作るからな。口にカスがついているぞ、まったく」
アーチャーがジュニアの口元を指先で擦り、落とした食べかすを取る。そして汚れた指を自らぺろっと舐める姿を目の当たりにしてラウンジの空気は一気に氷点下まで下がった。
アーチャーになんと言われようとこのクソ野郎を殺らねばならぬ。アーチャーのデレに関して敏感なクーフーリンの怒りや嫉妬が頂点に達し、ラウンジがまさに戦場と化そうとしたその時、シュンと扉が開きマシュが顔を出した。
「クーフーリンの皆さん、先輩が呼んでますよ」
開戦の火蓋が切られるギリギリで止められたランサーは、苛立ち紛れに武器を振って背を向けた。
「今日はレイシフトの日だったか。…貴様、夜道に気をつけろよ」
「レアかミディアムくらいは選ばせてやる」
そしてヤンキーのような捨て台詞と殺意の塊のような言葉を残して、クーフーリンズはマシュに続いてラウンジを出ていった。
満ち満ちた殺気を気づかないほどエミヤは鈍くはない、ジュニアに向けられているとわかっていてもあまり心臓によろしくなかった息苦しさに嘆息すると、美しい足をぶらぶらと揺らして寛いでいる地球外生命体へ視線を向ける。
クーフーリンが目の敵にするクーフーリンを倒しに来たクーフーリン…なんだかゲシュタルト崩壊しそうだ。
「君は君以外のクーフーリンを倒すためにやってきたんだよな?」
「そうだ。ぼこぼこ増えて見分けがつかねぇ、クラス全部一人で埋めるなんて笑い話にもならんからな。絶対再戦してあいつらを絶滅させ、俺がこの世界の唯一のクーフーリンになってやるんだ!」
世話をするうちに得た信頼でジュニアはアーチャーへ饒舌に口を開いた。
ヒロインXと同じく同じ顔のものへ強い敵意を抱き、それは今も何ら衰えていないことを聞いたエミヤは不意にジュニアの顔を両手で挟んだ。
これまでの付き合いで警戒心を解いたジュニアは少し驚きながら、むにむにと頬を揉むエミヤへ首を傾げる。
目鼻立ちの整った見慣れた顔、青い髪は整えればサファイアを糸にしたような輝きを持つだろうに貪うさに扱うせいで少し毛質が硬い、瞳は血を固めたような深い赤でくるくると表情が変わる中で戦いでは恐ろしいほどの輝きを放つことを自分は知っている。
大人しくされるがままな顔をじっと見ていたエミヤは、ふっと微笑むとジュニアのキャップを取り、ぱらりと落ちてきたクーフーリン特有の前髪を整えながらにっこりと笑った。
「今でも君は君で、唯一無二の存在だ。たとえ100人の同じ顔を集めようと、絶対に見分けてみせるよ。だからクーフーリン殲滅作戦ということは考え直してくれると嬉しいな、クーフーリン」
やはりジュニアはランサーの獰猛さと軽快さを兼ね備えた顔とも、キャスターの清廉で美しい顔とも、オルタの研ぎ澄まされた武器のような顔とも、プロトの人好きする快活な顔とも違う。
改めて見て確証を得たエミヤは時計をちらと見て、自分にもすべきことがあるため固まったジュニアを体の上から下ろすとラウンジをあとにする。
さて、一人残されたジュニアはメドゥーサの魔眼を受けたように指先まで硬直し、ソファにいたと思うと突然突っ伏した。
耳まで赤くなったジュニアの頭の中で再生されるのは、顔を抑えられたことで直撃を受けるしかなかったエミヤの滅多に見れない純粋な笑顔。霊核まで揺るがすような攻撃を受け、しばらくスタン状態から回復できなかったジュニアは、キャップをかぶり直すと強い意志を秘めた瞳で起き上がった。
「…決めた」
レイシフトから帰ってきたメンバーに、ジュニアと別れてから厨房にいたアーチャーが夕食を振る舞う。
適度に疲れた体に作りたてのほかほかご飯の湯気が身にしみ、メンバーたちから次々礼を言われてエミヤも表情が緩む。ちょうど夕食時とあってカルデアにいたサーヴァントも集まり、厨房で大忙しのアーチャーはカウンター越しに呼び声を聞いて顔を上げた。
「アーチャー!」
そこにはラウンジに置いてきたジュニアが頬を紅潮させて身を乗り出している。
エネミーへの八つ当たりとアーチャーの美味しい夕食で、怒りが静まってきていたクーフーリンズがカウンターの方へムッとした目を向けているのがわかる。
また険悪な雰囲気になる前に要件を聞こうと、エミヤはエプロンで手を拭い小走りでジュニアの待つカウンターへと向かった。
「ジュニア、君も夕食をんっ!?」
瞬間視界を埋め尽くすのは美しい紅色、それは真ん丸に見開かれたエミヤの瞳に気づくとゆっくり弧を描き背筋を震わせるような色気を持って雄の笑みを浮かべる。
痺れた頭のどこかで、そうか彼もクーフーリンだったかと場違いな納得をしたエミヤは、エプロンの襟を離されてようやくジュニアと唇を別れさせることが出来た。
カウンターの向かい側にいるエミヤを引き寄せ、突然キスをしたアサシンのクーフーリンは満面の笑みを浮かべるとまだ驚きで意識がおろそかなエミヤの手を握ると手の甲へキスをした。
「お前の言う通り、1人のクーフーリンになるのはやめる。その代わりにお前の一番のクーフーリンになる!検索ワードでも槍弓から殺弓をメジャーにさせてやる!まずはデイリーランキングからだな!!」
目標改めぴょんぴょんとマフラーの裾を上下させて、これからの計画を得意げに語るジュニアは知らなかった。ここが食堂で、他にもサーヴァントはたくさんいて、そして自分の背後にいる自分と同じ顔をしたふたりの堪忍袋の緒はとうに限界を迎えているのだと。
「おい」
「ウィッカーマンッ!!!」
「ギャァァァァァァァ!!!!!!」
絶対零度の声でgoサインをされたキャスターの詠唱でカルデアの床から木の巨人の腕が出現し、彼らの目の前で堂々とエミヤの唇を奪ったジュニアは消し炭と化した。
これまでの最高火力を更新したキャスターに、慌てて駆けつけたマスターからカルデアで宝具使うの禁止!!と悲鳴が上がるのだった。
おまけ
「お前本当にいい加減にしろよ!俺以外の俺に甘すぎるところをちっとは直せ!」
「少し油断しただけだ。ジュニアなんて可愛いものじゃないか、これも子犬に少しかじられたものだと思えば怒る気も起きないさ」
「俺がやったらUBWコースのくせに…!そんな態度してっといつかお前のところにも自分を殺しに来たって奴が来ても助けてやんね…あ」
「…次からはもっと考えてから喋るようにしてくれよ」
「悪い、元祖自分殺しだったな、お前」
だからジュニアに優しいのかとは聞けないランサーだった。