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守護者を護る2人のセ〇ム/Novel by 凍護@コメント嬉しい

守護者を護る2人のセ〇ム

4,917 character(s)9 mins

別名・アイアス改、父と祖父は強かった/じいじこと山の翁とじいさんことアサシンエミヤに溺愛されてるエミヤの話、ちょっかいだそうとしたクーフーリンズがボコボコにされてるので注意(?)エミヤが山の翁をじいじと呼んでいたりと安定の心の広い人向け/山の翁とエミヤのお話に多くの人に楽しんでもらえてとっても嬉しかったです!!そして補足すると、個人的に山の翁は職務を全うする相手にはかなり好感を抱くんじゃないかと、その点目指したものへひたすら手を伸ばして出来ることも出来ないことも努力して努力して磨き続けたエミヤを可愛がるのもおかしくないんじゃないかとこざつけてみました。父祖父に溺愛されるエミヤはかわいい/いつもブクマや評価ありがとうございます!!お蔭様でルーキーランク72位&97位&22位と長いご愛眼をいただけて、とても嬉しかったです!!

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ランサー、キャスター、プロトランサーのクーフーリンが珍しく3人連れ立ってカルデアの廊下を歩いていた時のこと。
やることも無く、また仮想空間で手合わせでもするかと、これといった趣味を持たないケルトの戦士は戻ってきた発想に渋い顔をする。
特にプロトはせんぶり茶でも無理矢理飲まされたようになんとも言えない顔をしている。何故なら、戦士との手合わせはいいのだが、相手が自分の未来である2人となるとやれ動きが悪いだの、やれセンスが無いだの言いたい放題言われた挙句に手玉に取られてボコボコにされるのだ。
プロトも自分の未熟な部分は心得ていて、教えを乞う立場であることも重々承知しているのだが、それを引いても未来の自分を相手にするのは気持ち良くない。
これなら師匠に鍛錬を頼んで3分の2殺しにされた方がまだマシだ…とごちるプロトは、そのまま何気なく足を踏み入れた食堂で見慣れた人物の珍しい姿に眉を上げた。

食堂の隅のテーブルで突っ伏しているのは赤い外套が特徴的な弓兵のエミヤ。未来の自分が散々戦場を同じくしたようで、酒に酔えば二言目にはあいつとは運命で結ばれてると頭の痛くなるような事を連呼している相手だ。
そして自分も元々年下好きのエミヤに可愛がられ、それもあってかカルデアに召喚されてからプロトにとっても赤い弓兵はかなり気になる部類の相手に入っていた。
そんな相手が無防備に食堂なんて場所で寝ている、さらに自分は暇を持て余している所とあればプロトの犬の耳のように跳ねた髪はさらにピョンピョンと浮き足立つ。
「おっエミヤじゃねぇか!ちょっかいかけてやろう!」
「へぇ、あいつが居眠りなんて珍しい」
「疲れてるんだからそっとしておいてやれよ、プロト」
後ろから聞こえるキャスターの咎める声も何処吹く風、今にもスキップしそうな軽い足取りでとんっとんっとプロトはエミヤに近づく。
いきなり抱きついてみればエミヤはどんな反応をするだろうか、驚くか?怒るか?こんな子供のようなことを…と小言が始まるだろうか?どれに転んでも面白い。
プロトはイタズラ好きの子供のような悪い笑顔に顔を染め、格好の獲物へ飛びかかった。
が、その瞬間。

「エーミーギャア!!!」
「「プップロトー!!!???」」
プロトランサーが、消えた!?
神隠しとかそういうものではない、もっと単純に、直接的で、物理的に、プロトのエミヤをイタズラの相手にロックオンした素敵な笑顔は残像を残して真っ逆さまに落ちて消えた。
傍観者を決め込んでいたランサーとキャスターも突然若い自分が消えたのには驚いた。
前触れもなくカルデアの滑らかな白い床に空いた黒い穴、まるで怪物の口のようなそれへプロトの安否を確認しようと、ランサーが慌てて駆け寄ろうとした時。その肩を先に現状を把握したキャスターの手が掴んで止める。
「ちょっ!?あいつ消えたぞ!!大丈夫か!?」
「待て、俺!冷静になれ!カルデアに落とし穴だと?ありえんだろ、つまり誰かの…」
「予想はしていたが…まんまと引っかかるとはね」
キャスターの声は氷よりも冷たい声によって遮られた。
降って湧いた声の主は、アサシンクラス特有の気配遮断スキルを使って姿を隠していたようだ。見えないだけでずっとそこに居たトラップ作成の犯人、スキルを解除したと同時に落とし穴の傍らに現れた血のように赤い武装の色へ2人のクーフーリンは瞬間構える。
「アサシンの方のエミヤ…!」
「お義父さん…!」
アサシンのエミヤは身構える2人のクーフーリンへ底冷えするような暗い瞳を向け、そしてランサーの方が発した耳にするのもおぞましい呼び名へピクリと眉根を寄せる。
「そこの槍を持ったケダモノはもう少し口に気をつけないと知らないよ。僕の銃の引き金はクーフーリンという馬の骨には軽くなってしまうんだ。おっと、犬の骨かな?」
かわいた笑い声を響かせながら次々に重ねられる侮辱へ、同じ釜の飯を食らう仲間だとしてもクーフーリンから灼熱の怒気が放たれた。
食堂は途端に緊迫した空気が流れ始める。戦場の有り様を錯覚するほどの殺気を涼しい顔して受け流すアサシンは、手にしたナイフをポンポンと手のひらの上で投げては受け止めて遊ぶ。
動作は軽くとも顔はひどく険しい。
その原因は明白、対峙した相手が嫌っても嫌っても足りない抹殺予定者の上位に名を連ねるクーフーリンであることと、あまつさえそんな相手がかわいい息子のような存在の眠りを妨げようとしているからだ。
「連日働いて疲れている者の安息を邪魔するなんて、さすが英雄様のお考えは到底僕には理解できない。ケルトというのは礼儀知らずの代名詞だったようだな」
真っ直ぐに振り下ろし、テーブルに突き刺さったナイフは明らかな敵意を演出している。
ランサーもプロトの悪ノリは咎められるべきだと理解し、カルデアで一二を争う功労者たるアーチャーの眠りはなんびとたりとも侵してはならないと己も思っている。
しかし、それはそれ、自分の地雷を踏み抜かれたばかりか故郷にも唾を吐かれて黙っていることなど到底出来ない。

手に紅い必殺の槍を出現させ、ゆっくりとそれを構えたランサーは、散々ガソリンを注いでくれたアサシンをしっかと射抜くと全身の筋力のバネへ力を貯める。
「本当は俺としても寝かしておいてやりたかったんだがな、そんだけ挑発されて黙ってられるか。せいぜい叩き起こされたアーチャーの小言を聞きやがれ!」
瞬間ランサーの姿が消えたと見えたアサシンは、知覚するよりも早く反射的に手にしたマシンガンで青い風の残像へ引き金を引く。
が、それはことごとくランサーの槍によって弾かれ、さらに悔しいことに多くはランサーのスピードについていけずに無駄弾と化す。
「ちょこまかと…ッ!」
ランサーの速度が巻き起こす疾風の尻尾も掴めず、歯噛みしたアサシンが新たな武器を取ろうとしてももう遅い。
瞬く間にアサシンの攻撃と設置されたトラップをくぐり抜けたランサーは、脚のバネを使い跳躍して、ぐっすりと眠るアーチャーの真上へ飛び上がった。
そしてそのまま自由落下を持って手荒いアラームになろうとしたその瞬間。
「アーチャーっぐわっ!!」
「ランサーの俺!!??」
今度こそ誰もいないはずのアーチャーの傍らから剣が出現し、油断していたランサーを彼方へ弾き飛ばした。
湧き上がる影が形になり、人類史にも名高い英雄のランサーに、欠片も存在を知覚させなかったものが姿を現す。
その顔を見た瞬間、キャスターはあっさりランサーが不意打ちされたことに納得した。
誰もいないはず?気配遮断スキル?そんなもの些事に等しいことだ。
そう、あの剣を持ったドクロの仮面の暗殺者にとっては。

「晩鐘は汝、我が孫エミヤの休息を脅かす者を指し示した。せめて祈るがいい、光の御子」
「山の翁…だと!?」
「あいつどんだけ厄介なセ〇ム付けてやがる!!??」
地の底より響くような重厚なる声が骨まで体を震わせる。
現れた巨躯の暗殺者は数週間前に召喚され、そしてエミヤにカルデアの歩き方を習ってからというものいたくあの世話焼きを気に入った初代ハサン。ちなみに通称、じいじ。
助けを感謝するアサシンのエミヤに深く頷き、孫と呼んで可愛がっているエミヤの睡眠の危機に境界の炎が形となってこちらを睨む。
心臓を直に握られたような殺気に、流石のクーフーリンの頬へも汗が一筋流れる。
この世で最も強いものの一つ、父と祖父を前にして、吹っ飛ばされた先ら戻ってきたランサーは改めて槍をバシンと手のひらに打ちつけると、クラウチングスタートのように体を低くさせた。
「よっしゃあ!燃えてきた!絶対あいつにモーニングコールのキスでもしてやるぜ!援護しろ、キャスター!」
「どう考えてもそっとしておくのが懸命だがな。まぁたまには荒っぽいこともやってみますかねぇ!」
ランサーに応じてキャスターの体を取り囲むようにルーンが浮き出る。
光の御子と森の賢者、それに対するは抑止力の代行者と山の翁の祖という世紀の一戦の火蓋は、眠りに落ちた弓兵を起こさないよう静かに切って落とされた。


しばらくして肩を揺らしたエミヤはしょぼついた目を擦りながら身を起こす。
「…ん」
何かとても騒がしい夢を見たような気がする。オラァ!だのアンザス!だのクーフーリンは全員死ね!だの…とても変な夢を。
ぼんやりしていたエミヤはふと自分が硬い机ではなく、それよりも微かに柔らかいものの上に肘をついているのに気づいた。
柔らかい原因は土台に厚い布が被せられているからだろう、その下は鋼鉄の硬さを感じる。いや、硬いが、これは恐らく人間の膝で、膝ということはつまり…
「起きたか、エミヤ」
「っじいじ!?これはっすまない!」
自分の置かれた状況を理解した瞬間上からかかるのは低く重々しいカルデアの祖父の声。
弾かれたように顔を上げたエミヤは慌てて山の翁の膝の上から体を起こし、遅れて熱が集中する頬を押さえた。
まさかかの山の翁に膝枕をしてもらうなんて、ますます座に帰った時の土産話に尽きない体験だ。
わたわたと身支度を整えるエミヤに、膝の上の重さがなくなって心做しか寂しい気持ちがするほどには山の翁もここの生活に慣れてきている。
余談だが邪魔者を仕留めた後、流石に起きかけたエミヤに山の翁の膝を枕にさせてみると、寝ぼけたまま腰にぎゅうぎゅう抱きついてくる展開もあった。恐らく呪腕のハサンあたりが見れば卒倒しそうなほのぼのさだろう。

それを知らないエミヤは意外とよかった山の翁の膝の寝心地をぶんぶん頭を振って払う。
この頃山の翁との関係が加速してダルダルのぐだぐだになってたが、それでもこれはたるみすぎだ。
罪悪感を漂わすエミヤに、仮面で見えぬ表情はゆったりと首を振る。
「案ずるな、我が望んだこと。汝には日頃より世話になっている。疲れは取れたか?」
「それは…もう、とてもスッキリとした気分だ」
妙に物騒な香りのする夢がチラチラと脳裏をちらつくのだが、不思議と気分は晴れやかで、まるで親に見守られて毛布に丸まるような果てのない安心感が体に残っている。
ベッドに横になったよりも食堂の居眠りが心地いいとは不思議なものだ。
「もっと寝ていてもいいんだが。起きるのかい?」
向かい側から聞こえる少し残念そうな声は、単に働きすぎの息子のような存在を案じる色に染まっている。
カルデアで出来たおじいちゃんだけでなく、IFの養父にまで惰眠を貪っていた姿を見られてしまったエミヤは照れくさそうに頭をかく。
「じいさんもいたのか!…まったく、恥ずかしい姿を見せてしまったな」
まだ夢から覚めたばかりで仕草が幼いエミヤの普段とのギャップに微笑んだアサシンは、目覚めの1杯に湯気を立てる湯のみを差し出した。
「飲むか?君のようにうまく入れられないが…」
口ごもるアサシンに、その気持ちがひたすら嬉しいエミヤは花のように顔をほころばせて湯のみを受け取ると、瑞々しい緑茶の香りに混ざって鼻を微かに刺す臭いに首をかしげた。
「ありがとう…。…ん?なにか、焦げ臭くないか?」
「僕のせいかな?お湯を沸かす時少し目を離してしまってね、鍋を焦がしたんだ」
「じいさんらしいな、鍋も限られた物資だ。これからは私がやろう、いつでも頼んでくれ」
ひたすらに和やかで、穏やかな、祖父と父と息子の空気。
それが誰かにまがい物だと笑われるようなものでも、擦り切れた記憶しかないエミヤにとっては何よりもかけがえのない日だまりの庭だった。

たとえその隅で境界の番人の斬撃を受け、現代の優秀な銃火器をこれでもかと浴びせられてぷすぷすと煙をあげる残骸がいようとも。
「…いっそころせ……」
「…ひとおもいにやりやがれ…」

Comments

  • 773h
    August 27, 2018
  • meichi
    June 19, 2018
  • 伯劉りき
    February 18, 2018
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