(社説)予算案通過強行 議会政治 傷つける暴挙
野党の主張を一顧だにせず、巨大与党の「数の力」で遮二無二押し通す。国権の最高機関である国会を下請けのように扱う政権の姿は傲慢(ごうまん)そのものである。日本の議会制民主主義を深く傷つけた高市首相の責任は極めて重い。
一般会計の総額が過去最大の122兆円超にのぼる新年度当初予算案は、吟味が尽くされぬまま採決が強行され、全野党が反対するなか、自民党と日本維新の会などの賛成多数で衆院を通過した。
衆院予算委員会での審議時間は59時間と、2007年の第1次安倍政権の66時間30分を下回り、00年以降で最短となった。分野別に詳細な審議を行う「分科会」は37年ぶりに一度も開かれなかった。
強引な議事運営は、野党の同意が得られないため、自民党の坂本哲志委員長が職権を連発して決めた。首相が通常国会冒頭の衆院解散で審議入りを約1カ月遅れさせておきながら、3月末までの年度内成立に固執しているためだ。
国民生活への影響を抑えるため、暫定予算を組んで「熟議」と両立させる道もあった。国民の代表である国会が時間をかけて精査し、是非を判断するという財政民主主義の意義を、首相は理解していないというほかない。
自ら先頭に立って、説明責任を果たそうという姿勢も感じられなかった。首相出席の集中審議は2回だけで、計11時間は過去10年で最短だ。少数与党だった石破政権下の昨年の32時間に比べると、3分の1ほどしかない。
首相は衆院選の遊説中、国会で自分ばかりが答弁を求められると、あからさまに不満を漏らしていた。審議時間の短縮には、野党の追及の矢面には立ちたくないという思惑もあるのではないか。
首相は衆院選の大勝で、重要な政策転換に国民の支持が得られたと述べたが、「国論を二分するような政策」で、このような乱暴な進め方が繰り返されてはならない。
これから始まる参院での予算審議は大変重要である。「再考の府」としての存在意義を示してもらいたい。高市政権は参院では少数与党のままだ。連携して政権へのチェック機能を果たせるか。野党の姿勢と力量が問われる。
首相は昨秋の所信表明演説の結びで、聖徳太子の十七条の憲法を引用し、「政治とは、独断ではなく、共に語り、共に悩み、共に決める営みだ」と、「衆議」を重視する考えを示した。少数与党を脱したからといって、お忘れではあるまい。参院では出口ありきではなく、丁寧な審議に応じるよう求める。
- 【視点】
「国民生活に支障を生じさせないように」と高市さんは言いますが、支障を生じさせる時期にわざわざ解散総選挙に踏み切った自身の責任はどこへいったのでしょうか。短時間での強行的な審議を「国民のため」と強調するのは欺瞞的で、まるで熟議を求める野党が足
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