特殊詐欺Gはなぜカンボジア目指すのか 経費抑えられ逃げにくく

2019年にタイのパタヤで摘発された特殊詐欺グループが使っていた高級住宅の室内にはIP電話が多く残されていた=関係者提供
2019年にタイのパタヤで摘発された特殊詐欺グループが使っていた高級住宅の室内にはIP電話が多く残されていた=関係者提供

 日本人特殊詐欺グループのメンバーとみられる男性19人が拘束されたカンボジアは、これまでも中国人らが多数拘束されるなど、特殊詐欺グループの一大拠点となっていた。捜査関係者は「日本人グループの摘発は初めてだが、以前からカンボジアには注目していた」と明かし、他にも日本人組織が現地で暗躍する可能性を警戒する。

 中国国営英字紙チャイナ・デーリー(電子版)は1月、カンボジアで拘束された特殊詐欺グループ9人が中国当局に引き渡されたと報じた。9人は計1億元(約19億円)の詐欺にかかわった疑いが持たれていた。

 報道によると、カンボジア当局は特殊詐欺グループの摘発作戦を展開しており、これまでに約490人を指名手配し、240人を拘束したという。

 また、タイ公共放送PBS(電子版)は2022年9月、カンボジアで中国人が作った特殊詐欺のコールセンターで働いていたとされるタイ人男女64人が強制送還されたと伝えた。その多くが、今回の日本人と同じ南部シアヌークビルで、オンライン賭博に関わっていたという。

 政治的に激しく対立する中国と台湾だが、カンボジアでは中国人と台湾人が特殊詐欺で結びつき、17年10月には摘発された計61人が一括して中国へ強制送還されたこともある。

 在カンボジア日本大使館はホームページで、日本を含む外国で「カンボジアに好条件の仕事がある」と勧誘し、到着直後に旅券や連絡手段を取り上げ監禁状態に置き、電話詐欺などに従事させる事案が多数発生していると指摘。被害者、加害者とも外国人のケースが目立ち「日本人を含む相当数の外国人の被害が報告されている」と注意を呼びかけている。

 犯罪組織や特殊詐欺グループがなぜカンボジアを目指すのか。活動の目立つ中国側から見ると、東南アジアの中でも際立つ関係の深さが挙げられる。首都プノンペンには漢字表記が目立ち、中国による不動産投資なども盛んだ。特に、シアヌークビルは中国系カジノも多く「第2のマカオ」とも呼ばれた。

 新型コロナウイルスの感染拡大前の19年は、カンボジアへの旅行客約661万人のうち、中国人は35・7%と圧倒的なシェアを占めた。集団で滞在しても目立ちにくいうえ、言葉や食事などの生活環境にも不自由しないとみられる。

 中国と国境を接するラオスも中国の影響を強く受けるが、東南アジアに詳しい日本人コンサルタントは「通信を含むインフラは、カンボジアの方が整っている」と話す。

 今回、日本人グループがカンボジアに「進出」した格好だが、捜査関係者は「中国人が多ければ、日本人にとっても滞在しやすいだろう」と見る。さらに、カンボジアなら経費も抑えられる。19人の大半は詐欺電話の「かけ子」とみられるが、嫌になっても海外なら逃げにくい。19人はシアヌークビルのリゾートホテルを拠点にしていたが「リゾート地を強調すれば勧誘しやすいのかもしれない」(捜査関係者)。

 カンボジア当局も摘発に力を入れるが、いたちごっこが続いている。世界の汚職を監視する非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」(本部ドイツ)の22年版「汚職指数」によると、180カ国・地域の中で、カンボジアの「清潔度」はアフガニスタンなどと同じ150位。グループが拠点とするのは、そんな事情も背景にあるのかもしれない。

 日本の特殊詐欺グループは、警察の目を逃れるため、東南アジアを中心に拠点を転々とさせており、摘発されたグループには共通点も見られる。

 広域強盗事件で指示役だった「ルフィ」と名乗る人物の可能性がある男性は、フィリピンで身柄を拘束されたが、その前はタイでも特殊詐欺に関与していた疑いが持たれている。

 また、19年3月にタイのリゾート地パタヤで摘発された日本人15人の多くは、フィリピンからタイに入国していた。

 今回のカンボジアでの摘発では、…

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