ウトロ出身の歌手鄭雅美さん「古里に歌で恩返し」
小西良昭
劇団四季で11年間活躍した京都府宇治市の歌手、鄭雅美(チョンアミ)さん(44)が3日、古里のウトロ地区で初めてコンサートを開いた。4月末にできた交流施設「ウトロ平和祈念館」の広場を舞台に、「(在日コリアン)1世、2世からバトンを引き継ぎ、歌で恩返ししたい」と、ミュージカルナンバーを歌い上げた。
18歳までウトロで暮らした3世。歌が好きで、民族学校でコーラスを続けた。2003~14年に劇団四季で活躍。ライオンキングの主要配役・ラフィキを1500回演じた。退団後、「日本人でも韓国人でもない、在日という中途半端な立場が嫌で。私が何者かを知りたくて」。ルーツをたどり4カ月間、韓国で過ごした。慶尚南道の祖父母の古里も訪ねた。「在日として誇らしく生きると答えが出せた。迷いがなくなった」
この日の公演は、鄭さんが3千回以上出演したミュージカル「ライオンキング」の主題歌「サークル・オブ・ライフ」で幕を開け、「美女と野獣」などを次々に披露。民謡「故郷の春(コヒャンエポム)」は朝鮮語で、約100人の聴衆と歌った。
この日のアンコールは再び「サークル・オブ・ライフ」。「生命の連環をさす曲名のとおり、亡くなった1世、2世が空から戻って来ている思いで歌います」。公演後、鄭さんは、「私が住んでいたころと町並みは変わったが、平和の象徴として祈念館ができ、開館行事で歌えて楽しかった」と語った。