推しは怖…可愛い
一ノ瀬美空ストーリー
一ノ瀬美空、通称 みーきゅん
“あざとい” とよく言われる彼女だけれど
〇〇はそれだけじゃないと知っている
あれは作ったものじゃない
本当に人と繋がることを大事にしている証
その表れでもあると…
リアルの方のミーグリに行った時だ
? 〇〇く〜ん!来てくれたの〜?
えらすぎ〜っ♡
当たらなくてあまり来た事がない
こんないちファンの事を覚えてくれていた
全力で喜んでくれる
その笑顔が大好きで、デレデレの俺は
癒されて、そして励まされた
だけど、あの日
つい出来心で気になってしまった
別メンバーさんのミーグリに応募したのだ
〇 まぁ浮気とかじゃないし
興味本位だし
そんな軽い気持ちだったのだ
悪いとは思う
だけど、みーきゅんの
当たらなかったんだもん
仕方ないじゃん
そう気持ちを切り替えて
みーきゅんの事を一時忘れ…
考えないようにした
そして初めて別の感覚を楽しんだのだ
……そう、あの時知られたなんて
思いもせずにね
大学終わりの放課後
俺は電車に揺られながら
イヤホンをつけ、MVを観ていた
画面の中の彼女はいつも通りキラキラ
胸の中が、ぽっと温かくなる
ニヤニヤが止まらない
〇 ふっ やっぱりみーきゅんだなぁ
独り言のつもりだった
それが口に出ていたなんて思わなかった
それも聞かれていたなんて事も…
つぎの瞬間
「チョン、チョン♪」
肩に軽い指先の感覚
〇 うん?………へっ?
振り向くとそこになぜか推しがいた
? ばあ♪
やっほ〜〇〇くんだよね♪
まるで画面から飛び出してきたみたいに
本物のみーきゅんがいたのだ
〇 ……え、えっ!?
み、みーきゅん!?なんで……!?
美空 えへへっ会っちゃった〜♡
すっごい偶然だね♪
笑顔はいつも通り
だけど、その瞳はどこか深い
吸い込まれるような黒い光
〇 ほ、本物…ですよね?
美 本物だよ〜?見覚えあるでしょ〜♪
そういったみーきゅんは一歩近づく
見上げられるとその可愛さの破壊力は異常
〇 ち、近いですよ//
美 電車だからしょうがないもん
〇 そ、そうですね
画面越しではないリアルみーきゅん
近すぎて、つけてる香水の香りも
直にあびてしまう
美 電車に乗ったらね
見覚えあったお顔さんが見えちゃって
そしたら、MV観てニヤニヤしてた笑
〇 見られてたんだ//
美 うん♪美空の事観て…ね〜♪
オタクのニヤニヤを推しに見られる恥ずかしさ
俺の背中は今汗びっしょり
それにしても…
〇 っていうかなんですけど…
美 うん?
〇 話し続けてますけど、良いんでしょうか?
美 うん♪だってみーきゅんのファンの方だよ?
見つけたら、おーいって声かけなきゃ♪
こんな運命めったにないもん♪
〇 そんな事してて大丈夫ですか?
推しからの声かけは凄く嬉しい
ただ危なくない?
美 え?みーきゅんファンだもん
安全だよ〜?
話しを聞いていくと
どうやら他にもこれまでファンを見つけたら
自分で声をかけているらしい
〇 気をつけて下さいね?
美 うん♪
〇 うっ
マジで可愛い
今、みーきゅんの笑顔は俺だけを向いたモノ
〇 それにしてもよく分かりましたね?
普通気づかないもんですけど
みーきゅんは人差し指を唇にあてた
美 〇〇くんの声が聞こえたからかな?
〇 ……こ、声?
俺は電車の中で
恥ずかしい独り言でも言ってたのか?
美 うん♪“みーきゅんが好き” って
ちゃんと聞こえたよ?
にこっ
〇 マジですか…//
これは恥ずい
推しに聞こえていたなんて
でも次の言葉は違ってて…
美 〇〇くんの心の声がね?
みーきゅんしゅき〜って♡
胸が跳ねる
えっ?ちょっと怖…
美 どうしたのかな?
〇 い、いえ何でもないです!
美 そう?
今のこのシチュエーションは偶然だよね?
ただ、その次の言葉に俺は肝を冷やした
美 でね?〇〇くんさ〜
他の子にミーグリ行ったんだよね?
〇 …えっ?
心臓が止まる
美 どうしたの?
笑顔が素敵な推し
〇 い、いや、それはちょっとした…
美 うん、わかってるよ〜?
みーきゅん怒ってないもんっ♪
明るい声色
だけど瞳は、瞬きすらしていない
美 ただね?
そう、ただハイライトは無くて…
一歩、近づく
電車の揺れよりも、彼女の存在感の方が強い
腕を掴まれた
そして手は滑っていき手を包み込まれる
美 〇〇くんは、みーきゅん推しだからね?
甘さ100%の声
逃げられない、ほどの甘さ
美 だから〜…
次は裏切っちゃだめだよ〜?
絡められた指
溶ろけそうな距離感
美 もしまた他の子に行ったら……
こ、怖い!
みーきゅんは少しだけ、ほっぺを膨らませる
美 〇〇くんの事くすぐっちゃうから♪
〇 ……は?
美 足の裏こちょこちょの刑♡
あとね、メッセージで1日中
“好きって言って?”って言う刑♡
それは怖いというより
普通に恥ずかしいやつだろ
ってか何それ可愛い
っていうか足こちょこちょ!?
ダメですから!!
〇 や、やめて…それ普通にキツいです!
美 でしょ〜笑?
だから、ちゃんと美空の所来てね?
ぱあっと、花が咲くみたいに笑う
美 〇〇くんは、みーきゅんのだもん♪
〇 ……うん
気づいたら、そう答えていた
美 えへへ〜♡
ぎゅーっと腕を絡めながら
みーきゅんは俺の肩に頭を預けた
電車の中なのに
恥ずかしいのに
たぶんこうして出会ったのは偶然だった
けれど運命みたいに完璧
そして俺はもう知っている
俺は、最初からみーきゅんのものだと…
推しは単推しに限ると自覚した
美 ふふっ♪
本当に偶然なのかなぁ〜♡ ボソッ
おわり
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