そりゃ日本で上場しないわ…PayPayの大成功を見て〈ナスダック上場→100兆円企業〉を狙う日系大企業の実名

3/8 6:30 配信

ダイヤモンド・オンライン

 日本の金融市場に衝撃が走っています。国内最大のQRコード決済「PayPay」が、あえて東京証券取引所をスルーし、米ナスダックでの上場(時価総額約2兆円)を目指す方針を固めました。なぜ日本を代表するフィンテック企業がアメリカを選ぶのか?さらに驚くべきは、このPayPayの成功を受けて、日本初の「時価総額100兆円」を狙ってナスダックへ電撃移籍するかもしれない“ある超大企業”の存在が浮上しました。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)

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● 東証をスルー。PayPayが ナスダックを選んだ理由

 PayPayの上場戦略が話題です。東京証券取引所をスルーしてアメリカのナスダックに上場するのです。その上場時の時価総額が約2兆円と評価されたことが衝撃と受け止められています。

 なぜ日本企業のPayPayがアメリカで上場するのでしょうか?理由は3つあります。

 ナスダックのほうが審査期間が短いこと。フィンテック企業の場合はナスダックのほうが時価総額が高くつくこと。そして今後の海外展開において知名度などの点で有利になることです。

 ではこの上場が成功した場合に、PayPayに続いてナスダックを狙う日本企業は現れるのでしょうか?先に結論を申し上げると、一社、予想外の大企業がナスダックに上場し、日本企業としては初の時価総額100兆円を狙う可能性があります。

 おそらくこの可能性については日本の財界はノーマークだと思いますので、この記事の後半で詳しく述べたいと思います。

 まずはPayPayの上場について整理しましょう。直接の親会社は携帯のソフトバンクとSNSのLINEヤフーですが、より広くとればソフトバンクグループの主要会社です。

● ソフトバンクと米株式市場 押さえるべき3つの歴史

 ソフトバンクとアメリカの株式市場の関係については3つの歴史を抑えておく必要があります。ひとつめは2000年に孫正義氏が「日本の金融市場に革命を起こす」と意気込んでナスダック・ジャパンを設立したことです。

 従来の日本市場にはなかった24時間取引構想をぶちあげて話題を集めましたが、わずか2年後、アメリカのナスダック側が「採算が合わない」という理由で日本からの撤退を決定します。これはソフトバンクにとって「いつかリベンジが必要」な挫折だったのかもしれません。

 ふたつめに2020年のLINEのNY証券取引所での上場廃止があります。LINEは韓国のNAVERの子会社で日米で同時上場をしていました。ところがソフトバンクグループのヤフーと経営統合をすることになり、スキームとしてLINEは上場を廃止し、株式を非公開化しました。

 結果的にLINEがソフトバンクグループの一員になったことで、グループ内にアメリカで上場するメリットやコストについての知見が貯まったことになります。

 3番目に2023年のアームホールディングスのナスダック上場です。

 ソフトバンクグループが2016年に約3.3兆円で買収したイギリス企業ですが、アメリカのナスダック上場に成功したことでこの年の世界最大規模の新規上場となりました。これは孫会長にとっての大きな成功体験です。

 今回のPayPayのナスダック上場には、これらソフトバンクグループの一連の経験が背景にあります。成長性の高いフィンテック企業ですから、東証を飛び越えてナスダックで上場したほうが巨額の資金調達を実現しやすいと考えたのでしょう。

 そして目下のところ時価総額2兆円が見込めるということで、その賭けにソフトバンクグループは勝つことになりそうです。

 これがもし日本での上場だったとしたら、企業としての利益の少なさや日本での高すぎる市場シェアを今後維持できるかどうかが不安視されて、企業価値は1兆円程度に抑えられてしまったのではないでしょうか。

● PayPayの次に ナスダック上場を狙う企業

 さて、この記事の本題はここからです。PayPayのナスダック上場が成功した場合、それに続く日本企業はどこになるのでしょうか?

 東証も日本政府も経団連も想定していないと思いますが、日本を離れたほうがいい日本企業が一社あります。冷静に考えたら「なんで資金を集めにくい日本で上場しているんだろうか?」という企業です。

 それはソフトバンクグループです。

 実際に時価総額で考えてみましょう。直近の3月5日時点でソフトバンクグループの時価総額は約22兆円です。比較してみると、子会社のアームの時価総額は約20兆円、携帯子会社のソフトバンクは10兆円、LINEヤフーは2.6兆円です。

 そう考えると、日本市場ではソフトバンクグループは子会社よりもかなり低く評価されていることがわかります。

 そのソフトバンクグループは、これも皆さんよくご存じの話ですが、今年アメリカでIPOを計画しているオープンAIに約10兆円を投資して13%の株式を保有しています。そのオープンAIの直近の時価総額は8400億ドル(約130兆円)ですが、上場すれば時価総額200兆円が視野にはいってくるのではないでしょうか。

 アメリカの上場企業と比較してみましょう。企業価値はエヌビディアが700兆円、アップルやグーグルが600兆円、マイクロソフトが470兆円規模ですから、オープンAIが200兆円超えになるかもしれないという予測には現実感があります。

 一方で、それと比較してソフトバンクグループの時価総額が22兆円でしかないというのが東証の現実です。

 そもそも孫正義会長は、トランプ大統領にアメリカのAI開発に78兆円を投資すると表明しています。日本の投資家が、ソフトバンクグループの企業価値を巨額の投資計画の4分の1程度としか評価していない状況をどう考えるべきでしょうか?

 「いや、孫さん危ないからね。お金があればどんどん投資するし」
「ソフトバンクグループ、成長しているのは確かだけど、巨額の損失を計上することも多いからな」
「成長よりも目先のお金で評価すべきだよな」

 そんな投資家に囲まれていて、孫会長は本当に幸せなのでしょうか?

● ソフトバンクはナスダック上場で 時価総額100兆円に!?

 もしソフトバンクグループが東証上場を廃止して、ナスダックに上場したとしたらどうなるでしょうか。

 その成長性に投資家が注目した場合、時価総額が100兆円超えというシナリオはありえるでしょう。そうなれば投資計画はさらに加速するでしょうし、これから上場するオープンAI、アンソロピックとともにアメリカ市場で「マグニフィセント10」を構成する未来もありえます。

 スキームとしては複雑で時間がかかりますが、ソフトバンクグループのナスダック上場および東証上場廃止はできない話ではないとだけ説明させていただいて、細部は省かせていただきます。

 さて、とはいえソフトバンクグループは現実的には日本にとどまったほうが有利な点が多々あります。

 まずは国内の金融機関との関係性です。巨額の投資に必要な資金を供給してくれるのは国内の優良な金融機関という構造ができていますから、ここをないがしろにするのは得策ではありません。

● SBの役員と従業員にとって 米国上場の合理性はないが…

 つぎにナスダック上場によるデメリットもあります。まず上場維持のコストは激増します。さらに訴訟リスクも高まります。

 日本なら巨額の損失を出しても、「やや有頂天になる自分があった。今となれば、大変恥ずかしく反省している」と頭を下げれば投資家は応援してくれます。

 しかし、ナスダック上場で大赤字を出して株価が大幅に下落したとしたらそれでは済まないでしょう。

 さらには後継者も日本人ではなく、GAFAM出身のインド系アメリカ人が台頭するでしょう。

 経営幹部にとっては職場環境が激変します。これらのデメリットを考えるとソフトバンクグループの従業員や役員にとっては、グループをナスダックに上場させる合理性は「ない」と考えるべきでしょう。

 合理性はないのです。たったひとりの例外を除いては。それが孫正義会長です。なにしろ毎日、人間ではなくAIに経営相談をしている方ですから、私たちが思いもよらない結論に到達する可能性は常にありえます。

 おそらく孫会長はすでにAIに尋ねているでしょう。

 「PayPayが成功したら、次はどこをナスダックに上場させようか?」

 するとAIはこう言うかもしれません。

 「次はお前だ」と。

鈴木貴博

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最終更新:3/9(月) 8:55

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