香川にいた“天才中学生ピッチャー”進路のナゾ「父親が“育成計画書”の提出を求めて…だから強豪校は手を引いた」説は本当か? 記者が現地で聞いた真相
2年前、香川にいた“全国優勝投手”はなぜ山口の私立高に進学したのか? 大阪桐蔭をはじめとする強豪校が関心を示した木下瑛二の進路決定ウラ側。【全3回の1回目】 【実際の写真】「強豪20校以上が誘った…山口の怪物ピッチャー“実際の写真”」「人工芝で…超充実のグラウンド」記者が高川学園を訪れた、現地の写真を一気に見る ◆◆◆ 今年の春のセンバツ「第98回選抜高校野球大会」に32校が出場する。そのうち昨夏から“夏春連続出場”を果たしたチームが7校ある。 7傑の一角が、山口の高川学園だ。一般枠出場校では最長ブランクとなる42年ぶりの出場。前回出場は旧校名の「多々良学園」時代であり、現校名では初のセンバツとなる。
「大阪桐蔭を断った逸材」がいた…
昨秋は優勝候補に挙げられた山口大会で不覚を取り、中国大会には県4位校として出場した。地元開催でなければ出場を逃した土俵際から、広陵、鳥取城北、県内のライバルである下関国際という県1位出場校を3連破。決勝では崇徳(広島)に敗れたものの、県4位出場から、鮮やかな“下剋上”を演じた。 その中心にいたのが、エースの木下瑛二である。 入学直後から公式戦登板を重ねた最速146キロ右腕は、2年生だった昨夏の甲子園2試合でも先発を経験。秋は前述した中国大会全4試合を含む8試合に先発し、左打者の内角にも臆せず投じる鋭いスライダーを武器に、投球回を上回る奪三振を積み上げた。 近年のドラフト戦線では、高校生の有望選手がプロ入りに慎重な姿勢を見せる傾向にあるが、木下は「高卒プロ志望」を明言。中国地方の有望株として、センバツでも注目投手に挙がる。 そんなドラフト候補右腕を紹介する際、頻出するフレーズがある。 プロに行くために大阪桐蔭を断った逸材――。 高校進学直前に、有名野球ユーチューバーと対戦した動画では、ナレーションで「大阪桐蔭など多数の名門高校から誘いを受け」と紹介され、チーム関係者は「先輩2人が履正社に行っているんですけど」と述べた。本人が望めば、甲子園優勝経験のある、大阪の二大巨頭に進めたことを示している。
20校以上が勧誘、なぜ高川学園に?
木下の経歴は煌びやかだ。小学生時代は、有望選手の登竜門とされる「NPBジュニアトーナメント」のタイガースジュニアに選出された。中学1年生になると、下級生で争われるヤングリーグの全国大会決勝でノーヒットノーランを達成し、大会MVPを受賞。2年時は、1学年上の先輩たちとともにヤングリーグの春夏秋の全国大会すべてに出場し、夏は日本一の栄冠を手にしている。 これだけ活躍すれば評判になるのも当然で、先の2校を含む、数多くの強豪校が熱視線を注いだ。本人によると「20校以上から話があった」そうだ。 そんな四国のポールポジションと言うべき好素材が、進学先を高川学園に定めると周囲は驚いた。当時から現在に至るまで、木下は理由を問われる度に、「自分が高卒でプロに行くために、一番適した環境だと思ったから」と述べている。 たしかに、高川学園の練習環境は抜群だ。専用グラウンドは2020年に全面人工芝となり、練習が天候に左右されづらい。グラウンド、室内練習場、最新の器具が設置されたストレッチルーム、野球部員が暮らす寮のすべてが学校敷地内に集約され、自主練習にも目いっぱい打ち込める。 甲子園出場も木下の入学時点で春夏3度あり、ヤクルトでプレーする山野太一ら、現役プロ選手もOBに名を連ねる。有力校なのは疑いようがないが、獲得に乗り出した面々が面々であること、地元のチームでもなかったことから、様々な憶測を生んだ。
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