30歳で子宮全摘「妊娠できない体」に。検診の「異常なし」の裏で進んだがん。彼女が絶望を公表した覚悟
■「子宮全摘」の宣告。自分の命を優先するという決断 ── 医師からはどのような治療方針を提示されたのでしょうか。 鹿乃さん:精密検査をした段階で、がんが子宮頸部内にとどまっているものの、腫瘍の大きさが4cmを超えていることがわかり、医師からは「子宮全摘出がスタンダードです」と宣告されました。一応、頸部の一部だけを切除して子宮を残す選択肢も提示されましたが、がん細胞を完全に切除できる保証はなく、残しても妊娠できるかはわからない。悩んだ末に「自分の命を一番に大事にする」と、全摘を決断しました。
── 30代前半で「もう子供は望めない」と決めるのは、あまりに酷な決断です。 鹿乃さん:本心ではめちゃくちゃショックでした。でも、私はこういう運命を与えられたんだな、と。幸い卵巣は残せたので、将来的に代理出産や養子という選択肢だってゼロではない。可能性を完全に捨てたわけではないと考え、前を向こうとしていました。
■事故後の癒着で難航した手術。「排尿もできない」絶望の夜 ── 入院や治療のつらさ、孤独とはどう向き合っていましたか?
鹿乃さん:私は26歳の交通事故で生死の境をさまよった経験があります。当時を思い出し、「あれを乗り越えたんだから、きっと私は大丈夫」と、自信になっていました。それに、当時は自分の医院を開業したばかり。スタッフたちが私の帰りを待ってくれているのに、立ち止まってはいられない。病院のことが頭にあったから、病気のことばかり考えずに済んだのだと思います。 ── 手術後の経過も大変だったそうですね。 鹿乃さん:事故のときの開腹手術の影響で臓器が癒着しており、手術時間は予定より大幅に長引きました。術後は自力排尿ができず、カテーテルによる尿路感染で高熱も出て。さすがに人の手を借りないと排尿もできない状況には落ち込みましたが、「手術によって体内からがんが消えたんだ」という安心感のほうが大きかった。事故のときの壮絶な痛みに比べれば、耐えられると思えました。