減反とおこめ券セットは「最悪」 元農水官僚が語る政府方針の矛盾
「減反」再開と「おこめ券」のセットは最悪。一般の消費者を何重にも苦しめる――。元農水官僚の山下一仁・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹はそう話す。石破茂政権がコメ増産にカジを切ったかと思ったら、高市早苗政権はすぐ元の減反に戻した。米価は史上最高値をつけているが、政府は改革もせず、一部の人向けの「おこめ券」配布でごまかそうとしていないか。そもそも安全保障環境が厳しいのに、国産で賄える唯一の穀物をなぜそんなに減らしたいのか。【聞き手・宇田川恵】
「農政復古」でツケは再び消費者に
――コメ政策が元に戻ります。
◆まさに「農政復古」です。石破前首相が目指した改革は、減反をやめる。するとコメの生産量が増えて、米価は下がる。もし影響を受ける農家があれば、その対象を絞るなどして政府が直接支払いで補塡(ほてん)する、といったものです。米価が下がれば、消費者は楽になるし、国産米の価格競争力は上がって輸出も伸ばせます。これは欧米で普通に行われている農業政策です。
――減反に戻すということは、消費者に高いコメを買わせ、消費者にツケを回すことですね。
◆その通りで、減反というのは、補助金でコメの生産量を減らし、米価を高く維持する政策です。補助金は年約3500億円にも上ります。国民の血税でこんなに多大な財政負担をし、米価をわざわざ上げるのですよ。財政負担をして国民の医療費負担を3割以下に抑えている医療サービスとは全く逆で、とんでもない政策です。
「国が米価にコミットすべきでない」は矛盾
――米価について、鈴木憲和農相は「国がコミットすべきではない」と述べました。どう感じますか。
◆筋が通りません。減反はコメの生産を減らして米価を上げる政策であり、減反を続ける限り、国は米価を上げることに100%コミットしているわけです。鈴木農相の発言を正確に言えば、…
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