教材は生成AIがつくったキャラ 小学生がジェンダーなど学習
生成AI(人工知能)が作ったトランスジェンダーのキャラクターを題材に、ジェンダーやAIについて考える授業が、埼玉県吉川市内の小学校であった。市教育委員会の特任教育支援員の大西久雄さん(65)らが企画し、2月15日に中曽根小学校、3月12日に美南小学校の6年生が学んだ。
両校の授業では、事前に大西さんから「女の子らしい服装を嫌い、スカートをはくことに抵抗を感じ、男の子の服装を好むトランスジェンダーの小学4年の女の子」といった指示(プロンプト)を受けたAIが、架空の「葵(あおい)さん」を作成。葵さんにどんなことが起こるか、どう接したら良いか、児童らで話し合った。
AIは「葵さんに起こりうること」として、嫌がらせやいじめ▽仲間外れなどの孤立させる行動▽差別的な言葉や呼び名▽無視や排除――など6項目を例示し、「本当にあると思うか、なぜそう思うかを考えてみよう」と問いかけた。
児童らからは「うちのクラスならいじめは起こらない」「悪気はなくとも『女のくせに』とか言ってしまいそう」「あだなはつけるかも」などの意見が出た。
また、AIは「みんなが葵さんにできること」も示した。「一緒に遊ばない?」という歓迎の声かけ▽「葵が選んだ服装、すごく素敵だと思う」とする尊重と理解の表現▽「教えてくれる?」といった相手に興味を示しているような態度――などの7項目だ。
大西さんは「AIが必ず正しい回答をするとは限らない」と説明したうえで、「自分だったらどうする?」「もっと良い方法はないかな?」と問いかけた。児童からは「友だちになれるよう話しかけたい」「普通に接するのが一番じゃないかな」との意見が出た。
授業の終盤には、戸籍の性別を女性から男性に変えた入間市の前市議細田智也さん(32)が講演。学校の違う子どもが集まる塾で「あいつ、男なの女なの」などと言われ傷ついた体験を紹介し、「幸せの価値観は十人十色。それぞれを尊重することを大事にして」と呼びかけた。授業後、児童らは「一言一言を大事にしたいと思った」「その人にとって何がうれしいのか、考えてから行動したい」など感想をまとめた。
県東部の元中学校長で、ICT(情報通信技術)教育に取り組み、デジタル庁のデジタル推進委員も務める大西さんは「今の子どもはAIの使用が当然になる。ジェンダー問題を通してAIとどうつきあうか考えるきっかけにしてほしい」。
21日には、両小の児童の多くが進学する吉川中学校の1、2年生にも同様の授業をするという。