女性用便器の数を男性以上に トイレの行列解消へ、国が初の指針案

増山祐史 編集委員・山下知子

 駅や商業施設など多くの人が使う施設で、利用者数が男女でほぼ同じならば、女性用トイレの便器の数は男性以上とする――。国土交通省は13日、トイレの設置数や基準に関するガイドライン案を初めて取りまとめた。女性用トイレの行列解消をめざし、待ち時間が男女で平等になるような対応を事業者などに促す。

 ガイドライン案では、多くの施設で女性用の便器が男性用よりも少ない一方で、女性の社会進出などで外出先でのトイレ利用が増え、男女の便器数が「乖離(かいり)」していると指摘。「男女問わず快適に利用できる」ことを前提に、利用者数が男女でほぼ同じ施設では、女性便器の数を男性(個室と小便器の合計)以上とする基準が必要だとした。

 また、イベントによって利用者の男女比が大きく変わるスタジアムやアリーナ、劇場などでは、「新設段階から柔軟に調整できる取り組み」の必要性を指摘。男性用と女性用のトイレの間仕切りの位置を動かせる方式や、男女を切り替えられるトイレの構造を例示した。

 トイレの面積比も柔軟な運用を求め、トイレ外の倉庫やポンプ室をトイレに改修し、便器数を増やした事例を紹介した。

 そのほか、商業施設ではフロアごとの利用者数のばらつきも大きく、デジタルサイネージなどでトイレの空き状況を可視化し、比較的空いている階を示すなど、分散を促す工夫も効果的だとしている。

 待ち時間を減らす点では、個室における化粧やスマホの利用など「不要不急」の行動を控えるように行動変容を促すことも重要だとしている。

 女性用トイレの行列対策は石破茂前首相の肝いり施策で、昨年6月の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に「女性トイレの利用環境の改善」と明記。これを受けて国交省が昨年11月から有識者協議会を設置し、ガイドライン案の作成をすすめていた。

 協議会の座長で、ガイドライン案の策定に関わった日本トイレ協会の小林純子・名誉会長は13日の会合で、「大量のデータを収集して、より俯瞰(ふかん)してトイレ待ちの問題をみることができた。継続しながら、定期的にこういう会議ができるといいなと望んでいます」と話した。

「待ち時間の平等」の明記 「大きな一歩」

 ガイドライン案について、国交省は今月中に意見公募を行い、正式決定する。

 「トイレの『待ち時間の平等』が明記された。大きな一歩だ」

 公共空間のトイレの男女別便器数を数え、発信してきた東京都在住の行政書士、百瀬まなみさん(61)はそう語る。

 女性トイレの行列に苦慮した経験から、2022年から便器数を数えている。今年3月4日までに1261カ所のトイレを調べたところ、女性の便器数1に対して、男性の便器数(小便器含む)は1.69。女性用便器の数が多いトイレは89カ所だった。

 常々、「面積の平等」では解決しないと考えてきた。個室は場所をとる上、そもそも女性の方が衣服の上げ下げや月経時のナプキン交換などで時間がかかる。国際赤十字などが災害避難所を想定して定めた「スフィア基準」では、最低限必要なトイレ便器数の男女比として、1:3とする。

 「多くの女性が長年、行列を我慢しつつ『そういうもんだ』と諦めてきた。声を上げて変わる社会があることがうれしい。このガイドラインを機に、改修や新築時に待ち時間を意識したトイレの設置が進むことを期待したい」と話した。

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この記事を書いた人
増山祐史
東京社会部|国土交通省担当
専門・関心分野
運輸行政、事件事故、独占禁止法、スポーツ
山下知子
編集委員|週刊アップデート編集長
専門・関心分野
教育、ジェンダー、セクシュアリティ、歴史

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