【開幕】特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」国立科学博物館で6月14日まで 「肉弾攻撃系」「特殊攻撃系」どちらもおもしろい 生物の必殺技に刮目!
国立科学博物館で特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」が開幕しました。人間にとって時に脅威となる生態、能力を持つ生物を「危険生物」として紹介し、その「必殺技」の数々を科学的な視点から解き明かす展覧会です。まあとにかく面白い。危険じゃない生物なんかいないのでは?と思うほどです。大人も十分楽しめます。
| 特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」 |
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| 会場:国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20) |
| 会期:2026年3月14日(土)~6月14日(日) |
| 休館日:月曜日、5月7日(木) ※ただし3月30日(月)、4月27日(月)、5月4日(月・祝)、6月8日(月)は開館 |
| 開館時間:9時~17時(入場は16時30分まで) |
| アクセス:JR「上野駅」公園口より徒歩5分/東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」より徒歩10分 |
| 詳細は、展覧会公式サイトまたは国立科学博物館公式サイトまで。 |
オープニングセレモニーで、総合監修を務めた国立科学博物館の川田伸一郎さん(動物研究部脊椎動物研究グループ研究主幹)は「3年かけて準備しましたが、危険生物は実によく研究されています。象の鼻は何百年も研究されていました。この展覧会を動物学への入り口にしてください」と述べました。アンバサダーを担ったお笑いコンビ・麒麟の川島明さんは「草食でおとなしいイメージのキリンも、相手を死に至らしめるくらい戦う映像を見て驚きました。麒麟として25年やってきて、勉強になりました」と盛り上げていました。
驚きの映像、剥製・骨格展示
「危険生物」の分類がこの展覧会は何と言ってもユニークです。打撃を与える「肉弾攻撃系」が最初のカテゴリー。中でも「パワーファイター型」の象やゾウアザラシ、オオアナコンダなどの大きさには目を見張ります。
意外といえば、川島さんの言った通り、キリンが戦っている映像には目が釘付けになりました。メスの取り合いをしているときなど、2頭が並んで、首をむちのようにしならせて自分の頭を相手の首や胸に打ち付けて打撃を与えるのです。これを「ネッキング」と呼ぶのがまたすごい!
キラーバイト型 咬みつきは最大の攻撃
咬みつき攻撃はパワーが弱い動物でも効率的に力を集中させて、強力な攻撃力を発揮します。ライオンやトラ、ジャガー、オオカミ、ゴリラ、ワニ、サメなどがここで展示されています。アフリカの鉄道建設現場では2頭のライオンに推定135人もの人が襲われたという話も紹介されていました。ゴリラはおとなしいのですが、咬みつく力は人間の10倍だそうです。キングコングのイメージで凶暴なイメージを与えられているのが気の毒です。ワニは、咬みついておいて体をローリングさせて相手の肉体をねじり切るのが必殺技です。このローリングには物理学的な秘密があるそうです。
実は最強!?のイタチ類
筆者が興味を引かれたのがイイズナという小型のイタチでした。11~20㌢の小型哺乳類で、北海道や東北北部にも分布。カワウソやラッコも仲間だそうです。咬みつく力は哺乳類最強。自分より体重が5倍あるノウサギも捕食しているといいます。
イイズナと同じイタチの仲間でアフリカにいるのがラーテルです。7~10㌔というアフリカ最大のイタチですが、皮が6㍉と分厚くて防御に強く、ライオンやハイエナにも果敢に挑むファイターだそうです。特殊能力があって、なんと毒に強い。コブラの神経毒にも筋肉が耐えられるそうで、食事の25%は毒ヘビだそうです。
「武装型」危険生物のヤマアラシの攻撃力を説明するコーナーに、分厚い皮膚を刺されたラーテルの写真がありました。見ていたら川田研究主幹が通りかかって、「このラーテル、体の一方じゃなくて全体を刺されているでしょう。しつこく戦ったんでしょうね」と笑っていました。
「危険生物」の被害証言も生で
咬みつく魚はフグとかアナゴとか結構多いですが、日本にもいるウツボはかなり危険です。この展覧会では「アニマル新聞」のタイトルで「危険生物事件簿」を展示しています。中でもウツボ被害者は、科学博物館の中江雅典・研究主幹でした。会場に本人がいて、「傷が膿んじゃって大変でした」と話してくれました。ウツボはこちらが平和主義者でも、先制攻撃して来るそうです。中江さんを襲ったウツボも展示されています。
必見!シャコのハンマーパンチ!
「武装型」で面白かったのが、シャコでした。動物界最速といわれるシャコパンチでカニをノックアウトして捕食します。ひげの下に下がっているハンマーのような武器を、時速80㌔でお見舞いするとカニの甲羅や貝の殻も破壊されてしまいます。会場の動画でご覧ください。
「特殊攻撃系」が曲者ぞろい
「肉弾攻撃系」と別分類となるのが「大群系」と「特殊攻撃系」です。大群型で紹介されていたのはアリとバッタ、ピラニアでした。ピラニアは咬みつくので肉弾攻撃型でもありますが、実は臆病な魚で、大群で襲うのはまれだそうです。卵を守っているときに、単発で咬みつく事例が多いのだそうです。
「特殊攻撃系」の筆頭は猛毒型の代表選手、キングコブラです。展示で学んだところでは、毒の強さもさることながら、毒の量が飛びぬけて多いようです。また、ドクフキコブラは目を狙って毒を吹いてくるそうです。これは恐怖です。
大きなムカデも展示されていましたが、載せると失神する人が出かねないのでやめておきます。サソリは砂漠のデスストーカー。意外に大きいことに戦慄します。サソリは毒の強さと体の大きさが反比例する法則があると教えられました。小さなサソリの方が猛毒で、大型のサソリははさみを武器にしていて毒は弱いそうです。麒麟の川島さんも「人間も、弱い奴ほど態度がデカいですからね」と言っていました。
特殊攻撃系でも「化学攻撃型」に分類されるのがスカンクです。肛門腺からとんでもない臭いの液体を噴射すると、クマも逃げ出すそうです。ただ、スカンクは専守防衛ですね。アメリカでも、高速道路では日本と同じようによく動物がはねられるそうですが、スカンクがはねられたときは最悪なんだとか。走っているとすぐわかるから、窓を閉めるそうです。友達に聞いた話ですが。
この後も「電撃型」のデンキウナギ、シビレエイ、「吸血型」のナミチスイコウモリとラインアップが続きました。ものすごいボリュームの展示には、「まだあるのか」と思ったほどです。家族で楽しめる、春休みにぴったりの展覧会でした。(読売新聞美術展ナビ編集班・丸山謙一)
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