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デジタル化が進むほど「置いていかれる人」が増える。これ、放置すると国が弱くなる話だと思う。

政府のデジタル化は、間違いなく便利です。役所に行かずに手続ができる。書類のやり取りは早い。コストも下がる。現場で仕事をしていると、その恩恵は日々感じます。
でも同時に、最近ずっと感じていることがあります。
デジタル化が進めば進むほど、ついていけずに『締め出される人』が増えている。
これは、本人の努力不足とか能力の問題じゃないと思っています。社会の設計が「オンライン前提」になっていく一方で、現場には目に見えない“詰まり”が山ほどあるからです。
たとえば、

  • 何がどこに書いてあるか分からない

  • 読んでも結局、何をすればいいか分からない

  • 間違えたときの手戻りが怖い

  • そもそも調べる時間がない

  • 書き方や添付のルールが細かくて不安

  • 問い合わせ先が分からない、電話がつながらない

  • 「これで合ってる?」の確認ができない

こういう詰まりは、現場にいる人ほど分かります。しかも厄介なのは、今の時代は「情報が足りない」わけじゃないことです。むしろ逆で、情報が多すぎる。 必要な情報は確かに公開されているのに、必要な人ほど辿り着けない。辿り着いても、読むのが大変で、判断が怖くて、結局動けない。
ここが情報格差の本質だと思っています。

情報そのものの差というより、情報を行動に変えるまでのコストの差が、人によって違いすぎる。
時間のコストもあるし、心理的なコストも大きい。
「間違えたらどうしよう」「差し戻されたら期限に間に合わない」「取引先に迷惑がかかる」「行政に聞くのが怖い」。こういう不安は、行動を止める。結果として「詳しい人に任せる」「分かる人の言う通りにする」が最適解になってしまう。これは怠けでも何でもなく、現実的な防衛反応です。

ただ、この状態が続くと社会はどうなるか。
「知っている人」や「使える会社」だけがどんどん強くなる。
一方で「忙しい中小零細企業」や「デジタルに慣れていない個人」は、結局、誰かに頼らざるを得ない。

ここで問題になるのは、“頼ること”そのものじゃありません。支援が必要な場面は必ずあるし、むしろ今後は増えます。問題は、頼り方が~依存(丸投げ)~に固定化してしまうことです。
依存が固定化すると、制度があっても使われない。権利があっても届かない。挑戦する余力が消える。経営者は本業以外の手続に疲れてしまい、次の投資や採用や改善に回すエネルギーが枯れていく。これが積み重なると、静かに国力を削る。私はそう感じています。
だから、私が目指したい方向は明確です。
依存から協調へ。

自力だけで全部やれ、という話でもない。
全部任せてください、という話でもない。
その間にある、もっと健全で強い形を社会に増やしたい。
協調というのは、役割分担です。

  • 本人ができるところは本人がやる

  • 分からないところ・怖いところは一緒に整理する

  • 判断の分岐点を共有する(何が要件で、どこが例外か)

  • 手順や根拠を残して、次回は迷いにくくする

  • リスクが大きいところは専門家が責任を持って押さえる

これが回り始めると、支援を受ける側は「できる」が少しずつ増えていきます。支援する側も、ただの作業代行ではなく、仕組みづくりに力を使える。依存ではなく、協調です。

ここで行政書士の役割が大きくなると感じています。
行政書士という仕事は、昔から「手続の専門家」と言われてきました。でも私は、これからの行政書士は、単なる代書屋で終わるべきじゃないと思っています。デジタル化が進むほど、むしろ価値が上がる領域があるからです。
デジタル化や生成AIの導入で、確かに『作業』は軽くなります。入力、転記、整形、文章作成、チェックリスト化。こういう部分は、AIやツールでどんどん速くなる。ここだけを見ると「自力でできるなら行政書士いらない」という話になりかねない。
でも、現場で本当に詰まるのは、そこじゃない。

  • 自分のケースに当てはめたとき、どの要件に該当するのか

  • 例外や分岐点はどこか

  • 何を優先して準備すべきか

  • ミスしたときの影響はどれくらいか

  • どこまで本人がやり、どこから専門家が担うべきか

  • どうすれば社内で回る仕組みになるか

ここは「作業」ではなく、判断・設計・品質保証・リスク管理の領域です。
デジタル化が進むほど、ここが相対的に重くなる。
だから行政書士の仕事は「奪われる」のではなく、役割が変わるのだと思っています。
私はこの役割を、こう呼びたい。
情報の翻訳者であり、協調の設計者。

制度は、基本的に専門用語で書かれています。例外も多い。手続の入口も複数ある。これをそのまま現場に渡しても動けない。だから、制度を現場の言葉に翻訳して、行動できる形に整える。そして、本人や企業が次から迷いにくいように、型として残す。これが「一人一人への手当て」です。
こういう『手当』が増えるほど、人も会社も強くなる。重要なのは、強くなるのが一部の人だけじゃないことです。
置いていかれる側にこそ手当てが届き、協調が回る社会にする。
生成AIは、ここで強力な道具になります。
ただし、私は生成AIを「代行の自動化」にはしたくない。目指したいのは、協調を作るための道具としての生成AIです。
生成AIが得意なのは、次のような部分です。

  • 難しい文章を、相手の前提に合わせて言い換える(翻訳)

  • 大量の情報を整理して、手順に落とす(構造化)

  • チェックリストやテンプレを作って“型”にする(標準化)

  • 想定質問を洗い出して、事前に潰す(先回り)

  • 共有資料を作り、社内で回る形に整える(資産化)

一方で、AIは「それっぽいこと」を言うことがある。だから一次情報の確認や、最終判断の責任は人が持つ必要がある。ここに行政書士がいる意味がある。

行政書士が制度の裏取りとリスクの見張りをしながら、AIで翻訳・整理・型化を加速する。
そうすればAIは、依存を増やす道具ではなく、本人と専門家が共同で前に進むための道具になります。

私は、デジタル化が加速するほど「翻訳者」と「協調の設計」が必要になると思っています。置いていかれる人が増えるのは、本人の問題ではなく、心理的コストが高すぎるから。そこに手当てをする役割が、社会に必要です。
依存を否定するのではなく、依存の固定化を減らす。

自力を押しつけるのではなく、できるを増やす。
支援する側/される側で分断するのではなく、役割分担で協調する。
この方向に社会が進めば、制度は機能し、権利は届き、挑戦する余力が生まれる。静かだけど確実に、国の底力になる。私はそう信じています。
行政書士として、そして生成AIアドバイザーとして。
一人一人への手当てを厚くしながら、協調で底上げする支援を続けていきたいと思っています。


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デジタル化が進むほど「置いていかれる人」が増える。これ、放置すると国が弱くなる話だと思う。|行政書士ARISEリーガルオフィス/行政書士 伊敷紀巳雄
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