ククリ配列を作った
(2026/02/19 追記)
作者は現在ククリ配列の次に作った雲乃井配列を使用しています。
左右分離でもなく、同時押しシフトでもないローマ字入力配列を作った。
概要
論理配列という沼があります。普段使っているキーボードの文字の並びの事です。キーボードに刻印が捺されるほどに普及しているローマ字入力配列はQWERTY配列と呼ばれ、同じく刻印されているかな入力配列はJISかな配列と呼ばれます。キーボードを持っていない人は電気屋にでも行って店頭で見てください。
この配列の普及にはさまざまな歴史的経緯があるようですが、説明が長くなるので解説は他記事へ譲ります。
重要なのは、デファクト(慣習的に定着したものの意)の配列が非合理な製品だと主張し、自作の配列を生み出し続ける界隈があるという事です。
以前からキーマッピングの概念は知っていましたが、karabater-elementsというソフトの導入が上手く行かず、そのままになっていました。先月のある日に一念発起して、どうにかファイルの設定をこなし、新しい配列を入れてみたところ、それに魅せられ、いつの間にかどっぷりと沼に浸かり、いくつかの配列を渡り歩き、しまいに自分で配列を作ってしまったのが私です。そして最後に作成し、今導入して使っている配列がタイトルにもなっている「ククリ配列」です。
渡り歩いた配列とその経緯の簡単な説明
始めに手を付けた配列は大西配列でした。左右分離かつゆび移動が少なくなる事で有名な配列で、清濁の配置が規則正しい場所に置かれています。このおかげか実際に覚えやすかった気はしています。同指連続を減らしていのも印象的です。
色々な記事を見ていくうちに、アルペジオ打鍵という概念を知り、アルペジオ打鍵重視の配列を触りたいなと思うようになりました。
薙刀式を検討しましたが、かな入力の設定ファイルと言うものがローマ字のそれに比べてとんでもなくでかくて複雑なものであり、触りづらそうで断念。薙刀式の作者である大岡俊彦さんが過去に作成したカタナ式を試してみる事にしました。
カタナ式についてですが、母音とyキーの並びは素晴らしかったです。しかも大西配列よりも覚えやすかった。濁音子音がシフト裏にある事がどうしてもネックでした。シフト裏面のアルファベットを、表面に持ってきてみたりといろいろやりましたが、それならカタナ式じゃなくていいなとなり、丁度見つけたとかげ配列に移行しました。
とかげ配列の作者のめんめんつさんの、左右交互には限界があり、準交互打鍵を大事にすべきだという言説には蒙を啓かれた気分になりました。過去ドラムをやっていたので、シングルロールよりダブルロールの方が速いのは当たり前だと違和感なく納得できました。そりゃそうだわと。
そのとかげ配列を改変して、バックスペースやエンターの中指に位置を変え、母音の位置を変え、促音を入れ込み、いもり配列と名前を付けました。
その基本思想はそのままにして、右手に頻度の高いキーをと持ってきたのが今のククリ配列です。
現在のククリ配列v2
※例外処理1(二打拗音):逆手の子音と、人さし指担当の子音でゃゅょの拗音化
例 mn=みょ sk= しょ
例外処理2(メジャーキーのスワップ):頻度の低いかなと高いかなで交換
「mi=し」「si=み」/「ku=ぬ」「nu=く」/「ro=と」「to=ろ」
ククリ配列の特徴
①片手アルペジオの重視
何といってもこれに尽きます。Ω型ホームポジションも、母子左右非分離も、人差し指に強子音を置き中指薬指に母音を置いたのも、全てはアルペジオのため。母音の並びも最頻出の連接が打ちやすいようになっています。新しく導入した例外処理も頻出かなをアルペジオでとれるように作ったものです。もっとアルペジオできる配列が在れば参考にするので教えてください。
②小指不使用
ホームポジションに構えた時に小指辺りに来るキーがありますが、全て薬指で打ちます。小指不使用なのは、小指を上げてないと薬指が動かしにくいからです。神経系の問題だと思いますが、詳しい事はよく分からないので、詳しい人に聞いてください。
③右手の母音を左手より多くした理由
右手の負担を増やし、左手の負担を減らすためです。「利き手に負担を集中したほうが合理的では?」という素朴な発想を形にしました。
④バックスペースとエンターの場所
カタナ式、とかげ式のフィンガーに置くと言う発想をそのままに、配列に取って都合のいい位置に置くとこうなりました。とかげ配列ではバックスペースも端の方にありますが、創作文やるのであれば絶対にこれらは打ちやすい位置に持ってきたかった。
さらにシフト裏で句読点(しかも確定付き)を打つと言う発想は、句読点で一息入れるという薙刀式のブレーキの発想を参考にしています。
⑤撥音促音拡張
ただでさえ同指打鍵が増えそうな配列ですので、規則的に同指連打を要求してくるこの二つは別置一択です。長音含めてローマ字テーブルの編集で導入したわけですが、これは英語を打つ時の無駄を減らすため、つまり日本語でしか打つ事のないキー(ん、っ、ー)で、英語でしか打たないアルファベット(c、l、j)を打てるようにです。
⑥二打拗音
「やゆよ」の拗音を「子音+逆手の人差し指」でとれるようにするシステムです。ローマ字テーブルで実装しています。「しょう」や「しゅう」が爆速でとれるようになります。一番打ちやすいかつ統一的な規則で覚えやすいと思い、逆手の人差し指にしていますが、もっといい位置があればそちらに移します。上手くいきそうだと思えたらてぃやとぉなどの、hやwでとる拗音も導入を検討しようと思っています。
⑦ヒートマップ
忘れてました。ククリ配列を頻度分析にかけると、折れ曲がった直線状のヒートマップを呈します。これがグルカ族の武器、ククリナイフに似ているということでこの名前に。中指、人差し指の延長線上に頻度の高い文字があると言う事で覚えやすさに多少は寄与にしている気がしています。(慣れてきてわかりましたが、左手人さし指の下段が右手に比べて格段に可動域が狭く、左手ではこれが通用しませんでした)
⑧B位置の使用
Qwertyでいうty位置を指伸ばしてとるより手首から内旋させてb位置をとる方が良いように感じられるのです。よってty位置を廃して手首回転によるb位置を採用しています。手首を振った方が合理的だろうという考え方は、薬指で外子音をとるという考え方にも現れています。
⑨外ロールの採用
自分がカホンを叩く時にダブルロールするには、必ず内ロールです。そうじゃないと滑らかに動きっこありません。指だけでじゃらっとたたくんやったら内ロールがいいです。ですが、内ロール主体で隊列組むんやったら配列の人差し指の稼働域やらなんやらが狭まり、薬指の使用度が爆発しそうやとしか思えなかったので、結局消去法的に外ロール採用と相成りました。手首ごと回せば滑らかに打てない事もないしこれでいいんじゃないかと思わんでもない。一応、濁音打つときは、外からの内ロールになることが多いのでそれでいいかなと思ったりしています。
⑩欠点及び例外処理
ローマ字なのに導入コストが高い。
リマッパーだけじゃなくIMEでテーブルをいじらなくてはいけないという一見さんお断りな仕様になっている上に、例外処理をいくつかかませるため、最初超覚えにくいんですよね。記憶コストがががががが。二打拗音はまだいいんですけど、ローマ字の例外処理がやばい。覚えにくすぎる。何で過去の俺はこんなものを導入してしまったんだろう。「と」と「ろ」の入れ替えと、「く」と「ぬ」の入れ替えと「し」と「み」の入れ替え。この三つのシンプルな例外処理がローマ字の手続き記憶という不可侵のパンドラに手を突っ込んでるせいで、今めっちゃ苦労しています。混乱不可避です。絶対人にはお勧めしません。
理論的には絶対こっちの方がいいんですけどね。体得コストを低く見積もりすぎました。
あと、折り返し運指のコストを不法に低く見積もっているかもしれません。小指不使用でいろいろ回避した気になっています。
しばらくはこのままどこまで行けるか進んでみると思います。また変なことを思いついたら改良したり再設計したりするんじゃないかなーと。


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