統一教会「解散命令」で“政治家への裏献金”はどこまで暴かれるか? 鈴木エイト氏が注目する「消えた400億円」と「裏帳簿の存在」
3月4日、東京地裁に続き、東京高裁でも『世界平和統一家庭連合』(以下、統一教会)の宗教法人としての解散が命じられた。 【画像】当時17歳で23歳上の“教祖”と結婚した韓鶴子氏 即日、清算人が選任され清算手続きが開始。教団の資産を管理・処分する権限を有する清算人は、数百人規模で約300カ所に上る教団施設を封鎖した。今後は、被害者への弁済のために教団の現有財産・資産が洗い出される。教団の全資産は清算人の管理下となり、弁護士のほか、会計士、税理士、不動産鑑定士らからなる清算人団が帳簿や財産目録に基づく現有資産の把握を進めていくことになる。 だが、解散命令を見据えて教団が資産隠しを行っていた疑惑もある。
約400億円の資産はどこへ消えたのか
不動産に関しては、少なくとも処分するひと月前までに所轄庁へ届け出る必要があり、簡単には現金化できなかったとみられる。一方、移動が容易な現金については、隠匿や離散の可能性も指摘されている。 というのも、2022年度末に1200億円近くあった教団の総資産は、解散命令決定文と入手した内部資料によると、清算開始時点で約800億円まで目減りしている。類推される総被害額からは、数千億円規模の弁済費用が必要と試算されており、弁済には、関連団体や韓国本部、教祖の子息による分派組織への資金流出などについても調査が不可欠だ。 もう一つ、調査過程で注視すべきは、教団から政治家へのカネの流れである。
トランプ氏は3億円、では日本の政治家は?
教団と政治の関係といえば、運動員派遣による選挙協力などと引き換えに政策協力や体制保護を求めるのが定番だが、裏献金の可能性も否定できない。 文鮮明教祖は、自民党が大勝した1986年の衆参同日選挙で「60億円以上使った」と豪語したとされる。韓国では、日本の政界工作を成功例とし、複数の政治家に多額の選挙資金を提供したことが判明している。2023年には、韓国の教団幹部がメディアの取材に「教団イベントでスピーチしたりビデオメッセージを送った政治家のギャラはアメリカや日本で決められている」と発言。21年〜22年には、関連団体「UPF」のイベントへの計3回のビデオ出演でトランプ米大統領が約3億円を受領したと毎日新聞が報じた。同じイベントには安倍晋三元首相もビデオメッセージを送っている。 全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士はこう指摘する。 「教団には表の帳簿と裏の帳簿があるとされ、政治家などへの出金は裏帳簿に記載されているとみられるが、裏帳簿に行き着くのは困難を極めるだろう」 今回の解散命令が被害者救済はもちろん、被害拡大に加担した政治家の責任追及に寄与することを期待して止まない。
鈴木 エイト/週刊文春 2026年3月19日号