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【C86】おうさまとわたし【新刊サンプル】/Novel by タカムラヤヨイ

【C86】おうさまとわたし【新刊サンプル】

2,333 character(s)4 mins

夏コミスペース頂けました! 日曜日 西地区 "す" ブロック 13b「Melancholie」です、よしなに~。

今回は金弓本です。しかも表紙を水田さん(user/387814)に描いて頂きました!有難うございます!!どうだ可愛いだろうひゃっはーーーーーー!!(落ち着け

お値段もろもろは後日お品書きを上げますので少々お待ちください…。
最初に言っておく、R18じゃありません。

そう言えば先日Fateのアニメやら劇場版やら色々発表されましたね!アニメはUBWかー楽しみだなー!!!楽しみ過ぎて今から動悸息切れが(*´Д`)ハァハァ

*10日追記
通販タグ有難うございます!書店委託などは現在予定しておりません。
夏コミ終了後、在庫があるようならBOOTHでの通販を検討しようかと思います。

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おうさまとわたし 本文サンプル


 タンタンタンと小気味よく響く包丁の音。
葱とチャーシューを細かく切った後、アーチャーは熱せられた中華鍋に白飯を入れ強火で手早く炒め始めた。
 各種調味料と先ほど切った具材を混ぜ、最後に予め用意しておいた玉子を投入し焦げ付かないように注意しながら中華鍋を振るう。溶き卵を入れても良いのだが、本日の食材提供者の好みに合わせて先に半生程度のスクランブルエッグ状にしたものを今回は使用している。
 火力が弱く炒める時間が短いとべったりとしたものになってしまうし、炒めすぎると焦げて風味が失われてしまう炒飯はタイミング勝負だ。程良くご飯がパラパラで、葱の緑や玉子の黄色が鮮やかな頃合いで火から離し、深めの皿へと盛りつけた。
 美しいドーム状に盛られた炒飯の上にかけられたのはとろりとした蟹のあんかけである。
「よし」
 そのままレストランにでも出せそうな出来にアーチャーは満足げな声を漏らすと、盛りつけた二つの皿を持って居間の方へと移動した。
「待たせたな」
「あと幾分か遅ければその首落としていたぞ」
「急に来て食事を要求してきた者の言葉とは思えんな」
 ふん、と鼻を鳴らす金髪紅瞳の青年―ギルガメッシュの前にアーチャーは出来立ての蟹あんかけ炒飯を置く。あんかけと炒飯の食欲をそそる匂いにそれまで不機嫌そうだったギルガメッシュの表情もやや和らいだ。

 あんかけに使った蟹はギルガメッシュの提供品である。
何でも気まぐれに出した懸賞の特賞を当ててしまったのだが彼にとっては無用の物で、捨てるぐらいなら施してやろうとアーチャーの居る衛宮邸に押し掛けたのだった。
 こうしてめでたくギルガメッシュが当てた高級蟹缶セットは衛宮家の食卓に納められる事になったが、当然ギルガメッシュもノーリターンで提供したわけではない。
 これを使って我に食事を献上せよ!と蟹缶の入った小包をゲート・オブ・バビロンからテーブルに向かって射出しながらギルガメッシュは尊大に言い放った。
 ドン、と重い音を立てて着地もとい着卓する小包とふんぞり返った英雄王を見比べ、アーチャーが深いため息を吐いたのは言うまでも無いだろう。
 あまり待たせても文句を言い始めるので、アーチャーは冷蔵庫の中身から時間を掛けずに調理出来るメニューを選び出し、今から手の込んだ物は作れないからなと言いおいてから蟹缶の入った小包を手に台所へと立った。
 そうして出来上がった熱々の炒飯をレンゲに盛りはふはふと口に運ぶギルガメッシュを横目に、先に昼食を終えていたアーチャーは湯呑みに緑茶を淹れ彼の食事が終わるのを待っていた。
「ふむ、今日の出来も悪くなかった」
「それは重畳の至り」
 ちゃっかりお代わりまで要求しておいて悪くなかったと言うのも通常であれば失礼な話だが、相手は傲岸不遜の英雄王である。文句を言われなかっただけマシというものだ。

 食事を終えたギルガメッシュに湯呑みを差し出し、空になった食器を片付けにアーチャーは再び台所へと向かう。
 居間で一人になったギルガメッシュと言えば勝手にテレビの電源を付け、適当な情報番組にチャンネルを合わせては面白くなさそうに眺めていた。
テレビの中ではちょうど有名テーマパークの特集を流しており、台所にいるアーチャーの耳にも賑やかな音楽と少し甲高い女性リポーターの声が届いた。
 水切り台に置いていた食器と調理器具も棚に戻し、十分ほどでアーチャーが居間に戻ると、もうテレビに飽きたのかギルガメッシュがごろりと横になっていた。
「そんな所で寝転がるな、行儀の悪い」
 ギルガメッシュの向かい側に座りながらアーチャーが苦言を呈する。だが言われた当人はどこ吹く風。聞く耳持たぬわと言わんばかりに寝返りを打った。
 これで他の住人が居れば無理矢理にでも起こすか、さもなくば追い出す所ではあるが、生憎と衛宮邸には現在彼とギルガメッシュの二人しかおらず、見咎める者が自分しか居ないことを思えば無駄な労力だとアーチャーは早々にギルガメッシュの態度改善を諦めた。

 付けっぱなしにしていたテレビはテーマパーク特集を終え、今度は有名ホテルのレストランで食べられる極上ディナー特集にコーナーを移している。先ほどとは異なる女性レポーターがフレンチのコース料理を口にしながら「美味しい」「このお値段でこんな豪華な料理を食べれるなんて!」を繰り返し伝えていた。
 彼女の食レポートの出来はともかく、ホテルの最上階に店を構える高級レストランともなれば見た目からして素晴らしい。肉の切り方や野菜の盛りつけ方も美しく、ケーキを囲うように飾られた飴細工が施されたデザートなどは最早芸術品のようであった。
 このような場で食事をした経験はアーチャーには無い。もしかしたら磨耗し忘れてしまっているだけかもしれないが、少なくとも現在アーチャーが思い出せる限りの範囲では高級レストランでディナーなど覚えがなかった。
 さぞかしああいった場所は味もサービスも一級品なのだろうな、などとぼんやりテレビ画面を見ていたアーチャーだったが、ふと視線を感じ顔をそちらへと向けた。
 視線の主が誰かなど分かりきっている。此処には自分ともう一人しか居ないのだから。
「起きたのか」
「我を放ってテレビなどに現を抜かすとは良い度胸だな贋作者」
「寝ていたのは君じゃないか」
「だから何だ。我をもてなすのが貴様の仕事であろうが」
 そんな仕事を持った覚えは無いのだが、と言い返そうとしてアーチャーは口を噤んだ。

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