難病と闘った声優・松来未祐さんの遺志つなぐ 国際シンポ初開催へ
成人の9割以上が感染しているとされるウイルスが引き起こす、極めてまれな疾患に関する初の国際シンポジウムが20、21の両日、東京都内で開かれる。開催に至る道のりには、一人の声優の死があった。
「元気になったら、手記を発表してこの病気を知ってもらって、一人でも多くの命を救いたい」
声優の松来未祐(まつきみゆ)さんは友人にそう言葉を残し、2015年10月に世を去った。38歳だった。
「慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)」という病と闘っていた。医療関係者の間でもあまり知られていない病気だ。
身近なウイルス
EBウイルスは、食器の共有や飲み物の回し飲み、せきやくしゃみといった飛沫(ひまつ)など、唾液を介して乳幼児の頃に親から子、子ども同士の接触でうつる。
日本では成人までに8~9割が感染しているとされる身近なウイルスだ。
体内に侵入し、主にリンパ球の一種のB細胞に感染する。乳幼児ではほとんどが無症状だが、思春期以降に初感染した場合は、発熱や疲労、肝機能異常などが一過性に起きる「伝染性単核球症」を引き起こすことがある。
一度感染するとEBウイルスは生涯にわたりB細胞に潜伏するが、めったなことでは症状は出ない。しかし、ごくまれにリンパ球のT細胞やナチュラルキラー(NK)細胞に感染すると、発熱や内臓・血管などの炎症、目の炎症(ぶどう膜炎)、皮膚炎など多岐にわたる症状を引き起こす。さらに、リンパ腫や白血病へ進行することもある。これがCAEBVだ。
治療としては抗がん剤を用いる化学療法があり、既存の薬剤を転用する臨床試験も実施されている。唯一の根治療法としては造血幹細胞移植があるが、患者への負担が大きい。
認知度は低く
厚生労働省研究班の調査によると、国内発症数は年間20人前後。そのため医療関係者の間でも認知度は低く、診断や治療を行える専門施設は限られている。
初期は風邪の症状と似ていることもあり、診断がつかず病院を転々とする患者も多い。
松来さんもそうだった。…
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