東日本大震災3年

政局に明け暮れた政権、今も憤り 家族と秘書失った黄川田代議士の3年

両親、妻、長男が眠る墓に手を合わせる、民主党の黄川田徹・衆院議員=岩手県陸前高田市
両親、妻、長男が眠る墓に手を合わせる、民主党の黄川田徹・衆院議員=岩手県陸前高田市

東日本大震災で両親と妻、長男、秘書を失った民主党衆院議員、黄川田(きかわだ)徹(60)は9日、地元の岩手県陸前高田市で家族の墓参りをした。平成23年3月11日から3年、政権が交代し、中央政界の風景は様変わりしたが、政治と被災地の大きなギャップを国会議員として被災者として身をもって体験してきた。(千葉倫之)

現地の情景

「ほら、地震で倒れたままの墓石もあるでしょう。墓を直すにも至ってない人がいるわけだ。転居して墓を移した人もいるし、一家全滅のところもある。再建できる者、できない者…3年の中にいろんな人生があるんだ」

黄川田は、陸前高田市内の小学校で催された市主催の追悼式に参列した後、先祖代々の菩提(ぼだい)寺を訪ねた。市の死者・不明者は約1800人。この寺の檀徒(だんと)だけでも303人。「あの日」を没年月日に刻んだ墓石があちこちにある。

黄川田の3年は、苦悩の一言に尽きる。

震災直後、市街地はがれきの山だった。黄川田も家族の行方を捜しながら、かつての同僚である市職員に交じり、医療や物資の確保へ駆け回っていた。悲しみに暮れる余裕はなかった。

かつての市街地には雑草だらけの空き地が広がる。街の名残をとどめるのは道路だけで、信号のない交差点をダンプが行き交う。あちこちに重機やかさ上げのための土盛りが散在するが、本格復興というにはほど遠い。黄川田はいまも、2間の仮設住宅で暮らす。

黄川田は、亡き家族の戒名を刻んだ墓に線香を供え、冥福を祈り、今後の決意をこう語った。

「まだ街の将来は見えていないが、自治体の目線で復興とともに歩む。国会議員だけど元は市職員だ。国と自治体をつないでいくのが自分の仕事だから…」

政局に翻弄され

「震災復興に与党も野党もない。政局をやっている暇はなかったんだ」

黄川田は、民主党政権が党内政局に明け暮れたことを今でも残念がる。しかも、自身が所属していた元代表、小沢一郎(生活の党代表)のグループが政局の震源だったことに今でも憤りがこみ上げてくる。

黄川田は復興の最前線にいた。小沢らは違った。

震災から間もなく、黄川田は東京・深沢の小沢邸に呼ばれた。

「小沢先生が被災地のために走ってくれれば復興は進む」という期待を抱いていた。だが、集まったグループ議員が交わす会話は、菅直人内閣をどう倒すかという謀議ばかり。小沢も、いたわりの言葉どころか復興や原発事故について一言も口にしなかった。

「おい、(目の前の)この机ひっくり返していいか?」。怒りがこみ上げ、隣の同僚議員にそう漏らしたことを覚えている。「徹ちゃん、こらえろ」と制止されなければ、本当にそうしていたかもしれない。

小沢家と黄川田家は50年以上の付き合いがあり、そう簡単に小沢と縁を切ることはできなかった。

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