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ギスギスオンライン  作者: ココナッツ野山
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君の笑顔

 1.海上都市ニャンダム


 散々ヒモだヒモだと言われてきた俺だが、ここに来てまさか貢ぐ側になるとは夢にも思わなかったぜ。つまり俺は男に貢ぐことでヒモを脱却したという見方もできる訳で……。ダメだ。頭がおかしくなりそうだ。この件を深く考えるのはやめよう。問題の仙人サマにしたってヒモって訳じゃねーしな。むしろ飲み代で雇えるならお得感すらある。

 スィシーの傍らに浮かんでいる歯車がゴリリと重たい音を立てて回る。赤い爪のようなものが【ギルド】をまとめて撤去して煙のように消える。サトゥ氏はラグワープの原理に近いと言っていたが……何をしているのかさっぱり分からない。エンドフレームを使ってるのは分かるが、こうまで連発しても残機が底をつく様子が一切見られない。

 無人の荒野を行くがごとく歩を進める仙人サマに、興奮した中国ゴミが盛る。


「〜〜〜ッ、仙人! 俺と戦え! もう我慢できねえ!」


 ホモなのかな? 俺はうんざりした。

 このゲームをやっていると、時おりこうしてたくましい男に惹かれる男が突発的に出現する。

 ホモをチラ見した仙人サマの眼差しは道端のゴミを眺めるように無関心で冷たい。


「勝手にしろ。降り掛かる火の粉は払う」


 そう言って俺の腕を掴んだままどんどん先へ歩いていく。

 ホモはベロリと舌舐めずりして総身をぶるりと震わせた。


「OKってことだな? 堪んねえ……。アンタらと一度でいいからヤッてみたかった」


 台詞がヤバい。俺が曲解するまでもなく完全にホモのそれだった。


「イクぜ。アッー!」


 仙人サマのお誘いに我慢できなくなったホモが嬌声を上げてスィシーに襲い掛かる。

 スィシーの歯車がゴリリと回る。激しい衝突音。赤い爪を矛で受けたホモが冗談みたいにブンブンと回りながらも【スライドリード】を駆使して着地する。あまりの衝撃に身体のどっかがイカれたらしい。血反吐を撒き散らしながらも楽しそうに笑う。


「見切ッたァ!」


「そうか。良かったな」


 スィシーはにべもない。地を蹴って飛び掛かってくるホモの頭を無造作に掴んで顔面から地面に叩き付けた。

 びくりと一度痙攣したホモが動かなくなる。

 ……まただ。俺は小動物のように可愛らしく怯えた。ミドリの強襲をあっさりといなした時もそうだった。スィシーの肉弾戦には対戦者が突然手抜きをしたかのような不自然さがある。あるいはエンドフレームの一撃は仙人サマにとって小手調べ程度のものでしかないのかもしれない。

 俺は感嘆の声を上げた。

 相変わらず強えなぁ〜。そんなに強えなら幾らでも稼げるだろ。俺から金を借りる必要ある?


「何を言っている。チェンユウ。私がお前から金を借りるのは酒を飲むためだ。金を稼ぐということは働くということだろう。酒を飲むために酒を飲めない時間を作ってどうする」


 何やら世のサラリーマンがドキッとするようなことを言い出したぞ……。

 スィシーは溜息を吐いた。


「先ほどのあれなどは、足し算のテストを受けるようなものだ。私とて切磋琢磨することの重要性は理解している。マジュン殿やジョン・スミス……。それに、サトゥか。あのクラスの敵手ならば学べるものもあるのだが」


 そうか? 俺から見たら、ジョンですらあんたとマトモにやり合えるとは思えないが。


「お前はジョン・スミスの全力を見たことがないのだろう。カートリッジで武装したあの男を一度でも目にしたならばそのような感想が出てくることはない」


 俺は何も聞かなかったことにした。

 友情を長続きさせるコツは、友人の意外な一面を見て見ぬふりをすることなのだ。



 2.海上都市ニャンダム-総督府


 中国産のモブキャラがとてもよく働いてくれたので、俺と仙人サマはさしたる障害もなく総督府に辿り着いた。

 俺が半端ロリの太ももに抗っていた間にも事態は進行していたらしく、大変なことになっていた。

 まず金髪ロリのオムスビコロリンは死に掛けていた。地面に四つん這いになってコホコホと咳き込むたびにボトボトと吐血する。

 リチェットはマナが枯渇していた。気怠げに寝そべっていて、汗で肌に張り付く長い髪がイヤに艶かしい。時おりびくりと震えては色っぽい呻き声を上げている。

 サトゥ氏とマジュンくんは母体の力を引きずり出したらしく機械化していた。すでに限界が近いらしく、脱落した皮膚の再生が始まっている。俺が赤カブトさんとガチでやり合った時と同じ症状だ。ロストが近い。


 総督府の門を潜った先にある境内のような広場を、【ギルド】の残骸が埋め尽くしていた。足の踏み場もないほどのひどい有様だった。まるで夢の島だ。

 ガラクタの山の頂点に、ポケットに片手を突っ込んだ社長さんが立っている。もう片方の腕に、ぐったりとしたメイヨウを抱えて。

 め、メイヨウ……。

 俺は言葉を失った。

 ……俺がスズキの太ももに溺れている間に、まさかこんな……。

 俺はズキリと良心が痛むのを感じたが、このゲームの痛覚はカットされているので気にならなかった。仕様だから仕方ない。

 俺は軽く手を上げて挨拶した。

 おっす。オラ、コタタマ。

 剣を杖にしているサトゥ氏が肩で息をしながら悲鳴を上げた。


「遅すぎィ! 最後までコタタマ氏が来ると信じると言ってたリチェットがやがて無言になりそして力尽きた一時間後の現場です!」


 いや、だってお前。何だって俺待ちよ? 俺が一体お前らに何をしてやれるの?

 マジュンくんが社長さんを見据えたままコクリと頷いて同意してくれた。


「そう、だぞ。サトゥ……。もう、チェンユウには頼らないと、決めたじゃないか……」


 あれっ、マジュンくんもしかして怒ってる? 俺が遅刻したから?

 いや、でもさ。俺にだって俺の事情があるじゃんね。呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンとは行かねえっスよ。

 一方、仙人サマは自由だ。俺の袖をくいくいと引っ張って悪のラスボスに囚われているメイヨウを見る。


「よし、チェンユウ。金だ。金を借りてこい」


 お、お前な……。気絶してるヤツから金を借りるのは困難を極めるぞ。プレイヤーには所有権っつー面倒臭え縛りがあってだな。殺して運が良ければ財布をドロップするくらいしか思い付かねえよ……。まだ意識があれば擬似的に手渡した形を取って抜き取るという手段もあるのだが。

 とにかくメイヨウを起こさないことには話が先に進まねえ。この場はひとまず……。

 俺は社長さんに声を掛けた。

 よう。察するにスカウトの真っ最中かな? 邪魔して悪いな。しかし随分と派手にやりなすったね……。何か不幸なすれ違いでも?

 クロホシ社長はニコリと笑った。


「やあ、ラック。いやね、そこの【賢者】クンがスカウトに乗り気だと言うから少し張り切ってしまったよ」


 金髪ロリがドロリとした血を吐きながら剣呑な眼差しを社長さんに向ける。


「何を、してる。さっ、さとコイツらを、殺せ。そうすれば……約束だ。俺は、あんたと一緒に行ってやってもいい……」


「そう!」


 社長さんは嬉しそうに指を鳴らした。


「そこだ。オムスビコロリン。まさしくそこなんだよ。そこのラックには言ったが、私は娘やョレほど賢くなくてね。ずっと考えていたんだ。オムスビコロリン。もしかして君は私に嘘を吐いていないかな?」


「……嘘? バカげてる。手札も分からない、ような相手に、か? 俺は、そこまでバカじゃねえよ……。あんたも、プッチョやムッチョみたいに、持ってるんだろ? 上位権限、ってヤツを……」


 すると社長さんはあっけらかんと言った。


「ああ、それね。【賢者】には適用されないんだよ」


 金髪ロリが苦笑を漏らした。


「……へへっ。少し、その気が失せちまったよ。トップの口が、軽い……。これから、一緒にやって行こうかっつー……会社の、先行きが思いやられるぜ……」


 社長さんは大袈裟に驚いてみせた。


「それは大変だ。じゃあ少しイイトコを見せないとな」


 言下に社長さんの陰からカゲロウと似た形をした【ギルド】が這い出る。クロホシが短く命じた。


「衛生兵。彼女を治療しろ」


 衛生兵とやらが金髪ロリの背中に取り付く。長い脚を金髪ロリの未成熟な肢体に這わせ、脚の先端部を肌に突き刺していく。

 頬を赤らめて苦しげにうめくオムスビコロリンを、クロホシは人が変わったように無表情で見下している。すぐに興味を失ったように視線を逸らし、サトゥ氏とマジュンを見た。


「RPGに例えるならば、君たちはようやく第一章を終えたばかりのパーティーだ。私は君たちが生まれるよりもずっと前からこのゲームをプレイしていて、これからラストダンジョンに向かおうかといったところか……。仲間を揃え、レベル上げも限界に近い。その私に、ほんの少しでも敵うとでも思ったか? どうやって? 都合良くこの私を倒せるアイテムが手に入るとでも?」


 でもよ、社長さん。

 俺は反論した。

 あんたはこのゲームの攻略本を持ってねーんだろ? だったら勝てるかもな。あんたも知らないような裏ワザがあるかもよ。コナミコマンドは試してみたかい?

 挑発だ。……サトゥ氏とマジュンくんはマジでヤバい。コイツらがロストしたら俺がリチェットやリンリーに怒られそう。それは勘弁して貰いたい。だから、せめて俺とは関係ないところでひっそりとロストして欲しい。

 悪のラスボスがじっと俺を見つめて、不可解そうに首を傾げた。


「面白いヒューマンだな。何故か君とは将来的に対立関係になる気がしない。良心というものがないのか?」


 照れ屋なんでね。悪事に手を染めながらも陰ながら恵まれない子供たちを支援する……それが俺だ。そこに居るサトゥ氏やマジュンくんがラストバトルに挑んでる時に大司教様辺りの肩をそっと抱き寄せて一緒に空を見上げる……それが俺だ。

 サトゥ氏がぽつりと呟く。


「無理でしょ……。割と初期の段階でルート変更ミスってる」


 そんなことはない。

 ハッ。メイヨウのまぶたがぴくぴくしている。俺はびょんと飛び上がってガラクタの上に片膝を付いた。苦しげにうめいて悪のラスボスに怒りをぶつける。

 メイヨウをどうするつもりだ……!

 パッと目を覚ましたメイヨウがじろりと俺を見る。


「お前ずっと居なかっただろー!」


 くそっ、バレてる。情報が少なすぎて演技の質を高めることができなかった。

 金の亡者と化した仙人サマがすかさず俺を急かしてくる。


「今だ。チェンユウ。行け」


 マジか。この場面で俺はメイヨウから金を借りねばならんのか。くそっ、だがこの場で使い物になりそうなのはコチラの堕落した仙人サマしか居ない。帰られては困る。前向きな姿勢を見せねば。

 俺は素早くオムスビコロリンに目配せした。何を企んでいるのか知らないし何がどうなってこうなってるのかもほとんど分かってないが、俺は先生と同じ称号を持つ金髪ロリに賭けるぜ。

 俺はスィシーにコクリと頷き、社長さんとメイヨウに近寄っていく。一歩。二歩。社長さんが何か言い掛けたタイミングで俺はキッパリと言った。


「メイヨウ。金を貸してくれないか」


「金!?」


 メイヨウがびっくりして叫んだ。


「何故!?」


 俺はメイヨウの目をじっと見つめてコクリと頷く。合わせろというサインだ。

 正直、俺にはこの問答の出口が何も見えていない。だが何かあると思わせることができれば……。

 メイヨウは決してバカではない。低スペックなCPUを積んでるウチのAI娘辺りだとかなり怪しい高次元の遣り取りではあったが、メイヨウは察してくれた。さすがはメイヨウ様である。


「……ま、まぁいいだろう」


 メイヨウ様はお財布をいそいそと取り出して金を放り投げた。


「ほれ、拾え」


 ごっつぁんです。俺は地べたに放り投げられた金を拾って、待てのできない犬のように俺のあとに付いてきた仙人サマに金を手渡した。

 スィシーが手のひらで金をジャラジャラと鳴らして愛しげに見つめる。

 射程距離だぜ。

 俺と金髪ロリと腹黒社長のカットインが交差した。

 俺と金髪ロリが叫ぶ。


「やれ!」


 この場でクロホシに対抗できるとすれば、それはスィシーを置いて他には居ない。

 図らずもクロホシをスィシーの射程距離に収めたことで、俺はオムスビコロリンの策略を信じた。おそらくは最初からそのつもりだったのだろう。

 だがオムスビコロリンもまた俺と似たようなことを考えたらしい。つまり俺とスィシーが結託していると気付き、クロホシの虚を突くために一芝居打ったという新説だ。そう考えれば俺がクソ遅れて現れたことも筋が通る。俺の登場を信じて戦い続けたリチェットが段々無口になっていったのもクロホシの油断を誘うために必要なことだった……!?

 そう、全ては今この瞬間のため……!


 しかしそのような事実はなかったので、俺から借りた金を懐に収めた仙人サマは満足そうに去って行った……。

 ……いや! まだだ! 退場間際の仙人サマがぴたりと立ち止まって振り返る。クロホシを見据え、


「そうか。お前が母体の操り手か」


 クロホシは答えない。

 スィシーの眼差しは鋭い。


「我々にとって強制召喚ほど厄介なものはない。己自身を改造し、苦行を自らに課したのも元を正せばそこだ」


 クロホシがニヤリと笑う。


「言いたいことはそれだけか?」


 スィシーはコクリと頷いた。


「それだけだ。要望は確かに伝えたぞ」


 それだけ言って仙人サマは今度こそ……完膚なきまでに……退場して行った……。

 ……な、なんだ? ここから……どうしたらいい?

 俺は金髪ロリをチラリと見た。金髪ロリも俺をチラリと見た。目が合った。


「えっ」


 えっ。

 ……ええ? ちょっ……ちょっと待て。待とう。

 俺は提案した。

 シャッチョさーんも。ちょっと。

 あ、あのな。正直に言う。俺は正直に言うぞ。なんか、あれだ。俺は全然まったくと言っていいほど出口が見えてない。お前らがなんで争ってるのか。誰が何を目的としてるのか。俺には何も分かってない。分かれというほうが無茶だ。俺はついさっきここに来たばかりなんだぞ。ノリと勢いで乗り切ろうとしたが、今しがた守銭奴仙人にその流れをブッタ斬られた。もう何をどうすればいいのか分からない。無明の闇だ。せめて光の差す方向に歩いて行きたい。お互い立場をハッキリさせよう。

 まずオムスビコロリン。お前だ。この中でお前が一番怪しい。というかお前さえ吐けば全てが丸く収まるような気がする。シャッチョさーんを利用してコイツらを殺すよう言ったんだな? それなのにどうしてスィシーにシャッチョさんの殺害を命じた? 吐け! 吐くんだよ! 何を企んでやがる!


 金髪ロリは顔を真っ赤にして身悶えしている。


「あああ〜……!」


 おい! 俺の話を聞いてんのか!


「き、聞いてるよ! うるせーな! お、お前っ……! お前何しに来たんだよ! マジで金借りに来たのか!? お前っ……! お前は何なの!?」


 ははん? なるほどな。無駄に深読みしてドツボにハマりやがったな。そうだろうと思ったぜ。

 ふん、生憎だったな……。俺が遅刻したのに深い意味はねえのさ。あえて言うなら試験前日のスラダン読破ってトコだ。おっと誤解しないでくれよな。俺はメイヨウのためとあらば野越え山越え駆け付けるつもりだ。メイヨウが危ないと聞けば万難を排して参上する心持ちよ。しかしながら、だ。さっきも言ったが俺には俺の事情があらぁな。例えばの話だが、野良パしてっトコに急にささやき入ってヤバいから来てっつーのはちぃーとばかり無理がねえか? ある。だろ? これがリアルなら話は別だが、これゲームだぜ? マジでヤバいことなんてねーだろ。むしろ多少遅刻しようが律儀に駆け付けた俺はなんて忠誠心あふれる男なんだ。ホントお前らはろくに事情も説明しねーでよぉ……。ガン無視されても文句言える立場じゃねーぞ? まぁそこは余裕がなかったんだろうと空気を読めるコタタマさんは察して今まで言わなかったけど。天使かよ。

 で? 無駄に深読みしちゃって完全にシャッチョさんを騙そうとしたことがバレた金髪ロリさんはどうするの? もう言えよ。言っちまえ。言って楽になっちまえよ。

 いいや、言わなくていい。俺には分かる。俺には分かるぞ〜。ティナンのためだな? お前はゲートキーパーだからな。お前の行動原理はティナンを守ること。それが第一だ。この甘ちゃんが。ワルぶってんじゃねーよ。おらっ。どーん。

 軽く小突いてやると、金髪ロリは涙目になって俺をキッと睨みつけてきた。


「ばか! ばーか!」


 バカでぇーす! 俺は舌を突き出してぴろろろろろと効果音を発した。


「死ね!」


 悪態を吐いた金髪ロリがぴょんとシャッチョさんに飛び付いて高価そうなスーツをよじ登る。


「もういい! 俺は社長に付いてく! お前っ、チェンユウ! 覚えとけよ! もうぺろぺろしてやんないからな!」


 それは残念ですなァー!

 ぴょんぴょんと飛び跳ねながら煽る俺を、マジュンくんが突き飛ばした。手に持つ矛を放り捨てて金髪ロリを呼び止める。


「コロリン……!」


 おや、これはお涙頂戴の流れですな。ハイハイ、またどうせ俺が悪者ですよ。やってらんねーよなァー!

 ヘソを曲げて寝っ転がる俺を、ぬっとリチェット隊長が覗き込んでくる。

 あ、お目覚めですか。俺は姿勢を正した。おはようございます。俺は深々とお辞儀をした。

 リチェット隊長はフフリと微笑んだ。


「コタタマ。来てくれたんだな。私は信じていたぞ」


 あたぼーよ! 俺は調子に乗った。

 オメェらはホントに俺が居ねえとダメだな! 世話の焼けるヤツらだぜ!

 リチェット隊長はにこにこと笑いながら壁際に立て掛けてある三脚カメラを回収した。

 俺はギョッとした。何ソレ!? 撮影してたの!? 据え置きで!? そんな課金アイテム、俺は知らねーぞ! あっ、無能! 俺の脳裏を六人衆の言葉が過った。


(ペタ氏ー。ペタ氏ー)

(6sTVへようこそにゃんっ)


 何故か俺の記憶の中で更にバカっぽくなっていた。

 か、課金の段階解放か……。

 ……いや、まだだ。まだ終わらんよ。俺はキリッとした。サトゥ氏に手を差し伸べて言う。

 サトゥ氏。立てるか。

 サトゥ氏はニコッと笑った。

 俺もニコッと笑った。




 これは、とあるVRMMOの物語。

 オムスビコロリン、そらへ!



 GunS Guilds Online


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[一言] ヒーローは遅れてやってくる(事後)
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