カラオケ会社が「9年で業界7位」 第一興商が明かす“コインパーキングの裏側”
第一興商といえば、どんな会社を思い浮かべるだろうか。「え~と、どこかで聞いたことがあるけど、思い出せないなあ」「カラオケボックスを運営しているよね。テレビCMで見たことがあるよ」などと思われたかもしれない。 【画像】街で見かけるこの駐車場、実はカラオケ会社が運営(8枚) 業務用カラオケ機器を販売したり、カラオケボックス「ビッグエコー」を運営したり。その会社がいま、“畑違い”ともいえる事業で、存在感をじわじわ高めていることをご存じだろうか。「コインパーキング事業」である。 駐車場のブランド名は「ザ・パーク」。2016年に事業をスタートし、昨年12月には車室数が5万車室を突破した。施設数も4367カ所まで広がり、約3000社が参入するパーキング市場で、同社はわずか9年で業界7位に浮上したのだ(日本パーキングビジネス協会の調査をベースに、第一興商が算出)。 それにしても、なぜカラオケ企業が駐車場の運営を手掛けているのか。カギを握るのは、カラオケで培ってきた営業ネットワークである。地元の不動産会社や土地オーナーとの関係構築といったノウハウが、駐車場の事業でもそのまま生きているという。一見すると、異業種への進出に映るが、同社にとっては「延長線上のビジネス」と捉えているようだ。 なぜ、第一興商はコインパーキングに参入したのか。また、なぜ短期間で規模を急拡大できたのか。その秘密について、駐車場ビジネスを担当している鹿島竜也さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。
コインパーキングを始めたきっかけ
土肥: 第一興商といえば、やはりカラオケですよね。本社は、JR山手線の大崎または五反田の駅から徒歩10分ほどのところにありますが(2026年3月、新本社に移転)、建物からどことなく“音楽”が聞こえてきそうですよね。 ところどころに金色が施されていて、建物の中に入っても、あちこちに光沢のある装飾が目に入る。今回、取材のために、ある部屋をご案内いただきましたが、ココにはなんとカラオケの設備がある。しかも、大音量で歌えるそうで♪ では、コインパーキングの話をうかがう前に、十八番の『悲しい色やね』(上田正樹)をひとつ……と言いたいところですが、まだ昼間で“明るい色”なので、仕事を優先しますね。 第一興商は、カラオケを中心に事業を展開しているわけですが、なぜコインパーキングを始めたのでしょうか。しかも、車室数がどんどん伸びている。その秘密を聞かせてください。 鹿島: 駐車場の事業は2016年にスタートしまして、当時、業務用カラオケは1曲200円ほどでした。いわゆる“コインビジネス”ですので、コインパーキングと親和性があるのではないか。また、カラオケ事業を展開するにあたって、各地域の不動産会社との関係は欠かせません。新しい店舗を出店するにあたって、いい物件の情報は、不動産会社から手に入ることが多いんですよね。 他社よりも早く情報を手に入れるのには、どうすればいいのか。そのことにチカラを入れてきたわけですが、こうしたノウハウをコインパーキングにも生かせるのではないかと考えました。当社は、夜の繁華街に強みがあったので、そうしたエリアを中心に少しずつ駐車場を増やしていきました。 土肥: カラオケ事業と違う点はたくさんあるかと思いますが、商慣習などでどのような違いがありますか? 鹿島: 一般的な不動産取引では、売主や貸主が金額を決めますよね。例えば、東京の〇〇駅から徒歩5分、3LDKの築5年のマンションを所有しているので、〇〇〇万円で売りたいといった具合に。しかし、コインパーキングの場合は、借りる側が提案するんですよね。 もちろん、土地のオーナーから「〇〇万円で貸します」といったケースもありますが、多くの場合は「この土地で駐車場を運営するので、このくらいの賃料を支払えます」と伝えなければいけません。人気の場所であれば、複数の会社が手を挙げるので「入札」という形で話が進んでいきます。